老舗呉服商から造り酒屋へ

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齊藤酒造は明治28年(1895年)に操業。その前身は元禄年代に大阪・泉州から伏見に移り、井筒屋伊兵衛として8代にわたり呉服商を営んでいました。創業当時の銘柄は「柳正宗」「大鷹」でしたが、大正天皇の御大典を記念して「英勲」となりました。

戦中戦後の混乱を乗り越え昭和35年(1965年)に法人化し、昭和49年には近代設備を持つ蔵を伏見区横大路に建設し今に続いています。平成2年、齊藤徹氏が12代目蔵元に就任し、普通酒中心から特定名称酒中心の酒造り、販売に路線を変更しています。

京都の酒造好適米「祝」を積極使用

全国新酒鑑評会では平成23年度まで14年連続金賞受賞という最多記録を誇り、確かな技術を持つ銘酒蔵です。同蔵は京都産の酒造好適米「祝(いわい)」を積極的に使用しています。低蛋白質で酒造適性の高い、吟醸造り向きの酒米の「祝」は昭和8年、「野条穂」の純系分離によって誕生しました。

昭和21年(1946年)まで奨励品種でしたが、戦後の食糧増産の中で収穫量が少ない祝は次第に生産されなくなり同49年(1974年)には姿を消します。しかし、昭和63年以降、京都府や伏見酒造組合が試験栽培を始め、平成4年(1992年)に製品化にたどり着きました。その中のひとつが齊藤酒造でもありました。

切れのある辛口の中にもふくよかな味わい

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歴史ある京都にちなんで名付けた「古都千年」シリーズ全量「祝」を使用しています。今回紹介の純米吟醸酒は「祝」を55%まで磨いて醸されています。純米大吟醸はふくらみとインパクトも感じる味わいですが、こちらはキリッとした口当たりを重視して、キレの良さと程よい辛さを引き立てた味わいです。

しかし、その締まった味わいの中にも米のふくらみ、旨みも感じ、適度な吟醸香が心地よい食中向きのお酒だと思います。全国のデパートなどにも置いてあるのを見かけたこともあるかと思います。比較的、手に入れやすい銘酒と言えるでしょう。

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