岐阜県産米で醸したリーズナブルな「美濃菊」

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美濃菊は紹介した醴泉と同じ玉泉堂酒造で醸されています。「醴泉」ブランドとの違いは、醴泉が最高級の兵庫県産特A地区山田錦や富山県産「雄山錦」を使用し、全量手洗米、蓋麹、など蔵の技術の粋を結集して醸す最高級ブランドの位置づけに対し、美濃菊は地元・岐阜県産の米で醸して、リーズナブルな地元の酒という普段呑みのお酒というイメージで区分けしているようです。また、醴泉と同様「冷蔵瓶囲い蔵」とあるように、瓶詰めしてから蔵の冷蔵庫で貯蔵し、熟成の味乗りがベストとなったタイミングで出荷されます。

県の代表的な酒造好適米「ひだほまれ」

それでも、美濃菊ブランドの大吟醸などは特A山田錦が使用されていますが、この特別純米や純米吟醸酒は岐阜県産の酒造好適米「飛騨誉(ひだほまれ)」が使用されています。「ひだほまれ」は岐阜県を代表する酒米。昭和47年(1972年)に開発されています。岐阜県高冷地農業試験場で、「ひだみのり」「フクノハナ」を掛け合わせたものを、さらに「フクニシキ」と交配して誕生しています。昭和56年(1981年)に同県の奨励品種に指定され、翌57年(1982年)に品種登録されています。大粒で蛋白質が少なく、心白の発現率が高く、吟醸以上の高級酒造りに向いています。年間1万4000俵が生産されており、県内40社以上の蔵元に出荷されています。できれば、「美濃菊」のどの銘柄も岐阜県産米で醸してほしいというのが、筆者の正直な感想です。

スタイリッシュな「醴泉」に対し飾らない普段着の食中酒

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このお酒は「ひだほまれ」を58%に精米して、最低半年以上の熟成を経て出荷されます。香りは穏やかで、口に含むとまろやか米の旨み甘味がしっかり感じられます。熟成によって、非常にこなれた味わい。ゆるゆると呑み続けられるタイプと感じます。スッキリとしたバランスの良さを感じる醴泉と比べて、味わいが太く、冷やもいけますが、温度を上げて、常温、お燗にしてホッと一息つけます。しっかりとした味わいの酒肴にも対応できる食中酒として楽しめると思います。

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