山形の若手4蔵元が集まり立ち上げたユニット

近年、若い蔵元を中心に、複数の蔵が知恵を出し合って共同醸造を行うなど、蔵の垣根を超えたさまざまな取り組みが行われています。秋田県の5蔵が集結した「NEXT5」、宮城県7蔵の「DATE7」、青森県の「FUTURE4」などが、そうした取り組みを行う酒蔵ユニットです。

そして2016年、山形県でも"山形酒の新しい可能性を探ろう"と、4蔵の蔵元が集結し、酒蔵ユニット「山川光男(やまかわみつお)」を立ち上げました。一升瓶換算で約600本という小仕込みながら、今年の7月1日から関東の有力酒販店を中心に販売しています。

ほのぼのゆるキャラ「山川光男」誕生

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今回のプロジェクトに賛同した4蔵は「山形正宗」の水戸部酒造(天童市)、「楯の川」の楯の川酒造(酒田市)、「東光」の小嶋総本店(米沢市)、羽陽男山の男山酒造(山形市)。各代表銘柄の一文字を当て「山川光男(やまかわみつお)」と名付け架空のキャラクターを設定しました。ユニークなラベルの人物は頭に一升瓶を載せています。お辞儀をしながらお酒を注ぎ、お酒がなくなると不機嫌になる、山形の自然に囲まれボーっとするのが大好き、お風呂に入るときは酒が熱燗にならないよう頭は温めないなど、細かにキャラ設定されているようです。

このユニット最初の仕込みは「東光」の小嶋総本店が中心となりました。小嶋総本店の契約農家が栽培した酒造好適米「出羽の里」が使用されたそうです。麹と仕込み水は、ユニット以外の酒蔵・新藤酒造店の協力があったそうです。

洋食なら生ハムに、和食なら焼鳥に合う爽やかな夏酒

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「山川光男」は精米歩合50%という純米大吟醸クラスのスペックですが、飲み手の想像力を大事にするため、詳しいスペックは謳っていません。しかし、このほのぼのとしたラベルには、思わず手にしたくなる魅力があります。

香りは、林檎やミカンを想起させます。呑んでみると、やや硬い印象がありますが、その後にしっかりとした酸味を感じ、引き締まった味わい。適度な透明感とフルーティーさも心地よく、切れ味もありサッパリ爽やかな印象です。

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夏に発売されたお酒だけに、爽快感を重視しているようです。キャラクターの「山川光男」さんは、オリーブオイルをかけた生ハムと合わせるのが好きだそうですが、たしかに白ワインにも似た味わいは、カプレーゼやカルパッチョ、生オリーブなど、あっさりした洋食に合いそうです。和食では、ワカサギの南蛮漬け、塩味の焼鳥と相性抜群でしょう。

山川光男ユニットのHPには「創り出した私たちの手を離れて日本酒や、日本の農業や、世界の平和のために活躍してくれることを祈っています」と結んであります。今秋、冬にも新商品の出荷も予定しているといい、他県の取り組みと同様に、今後の活動に期待しましょう。

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