こんにちは。兵庫県の酒蔵で「女性蔵人」をやっていました。
現在は東京都在住、3兄弟の母親でもあります、あつこです。
東京都北区滝野川にあります、独立行政法人酒類総合研究所で行われる「清酒製造技術講習」。
今回は最終回「講義について」です。
講義は、酒造り概論酒造りに必要な計算外部からの講師を招いての講義、という内容に分かれています。
ひとつひとつ見ていきましょう。

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日本酒造りを論理的に学べる、酒造り概論

そもそも日本酒とは?という基礎の基礎から始まり、どのようにして米がアルコールへ変化していくのか、そしてどういった手順で酒が造られていくのかといった日本酒の知識全般を学びます。
普段酒蔵で働いているので理解はしているつもりでしたが、こうして順序立てて再度学べることで、日本酒への理解度が深まる貴重な講義。
微生物が織りなす複雑な工程を経て、様々な味へと変化していく様子を論理的に知ることもできました。

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造りだけでない、酒税についての計算演習

日本酒は他の酒類と同じく「酒税」がかかります。今年はどれだけの酒を造るのか、見込みを税務署へ申告するため、酒造計画をたてなければいけません。日本酒は「アルコール度数を20%で換算する」と決まっています。20%でこれくらいの量を仕込む予定で、そのためにどれだけの白米が必要か、そのためには玄米何㎏必要かすべて計算しなければなりません。
毎年新しい酒造年度が始まる7月1日以前の6月くらいに申告するため、全国各地の杜氏や蔵人たちは、その期間、一生懸命計算しているんですよ。
とっても重要なので、授業では何問も練習問題を解き、テストも出題されます。こんなにテストのための計算をしたのは受験勉強以来でした。

外部講師による、周辺産業についての講義

研究所の先生以外に、外部講師の話もあります。
具体的には、現役杜氏を招いての現場の話杜氏としての心得について、また酒造組合理事から日本酒業界の実情についてなど、普段社内では聞くことのできない貴重なお話を聞くこともできました。
また酵母や麹菌、ろ過材を販売されている業者の方たちも講師として話をされ、酵母、麹菌、ろ過に使用される活性炭などの知識をより深く知ることができました。

知識や技術に加え、熱い想いを体感できる清酒製造技術講習

以上が4回にわたってお話してきました「清酒製造技術講習」です。内容はもちろん重要なのですが、なにより他社の同じ製造に携わる者同士交流できる点でも貴重な経験でした。また、新卒者で、将来国税局の未来を担う優秀な若者たちとも一緒に研修を受けたので、彼らと日本酒造りについてざっくばらんに熱く語り合えたことは何よりの宝物となりました。

そのように、実習や講義を経て、40日間地元を離れて続いた研修も終了となりました。
今となっても貴重な経験となっています。

 

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