日本酒伝道師ジョン・ゴントナーさん、「玉川」を醸す木下酒造の杜氏 フィリップ・ハーパーさん、「南部美人」蔵元の久慈浩介さんらが出演するドキュメント映画「カンパイ! 世界が恋する日本酒」。

7月9日(土)に一般公開に先立ち行われた試写会にいってきました。

映画を通して今後の日本酒業界を考える

主な出演者は、日本酒伝道師 ジョン・ゴントナーさん、「玉川」を醸す木下酒造の杜氏 フィリップ・ハーパーさん、「南部美人」蔵元  久慈浩介さんの3名。

出演者の3名は、それぞれ日本酒に対して想いと情熱があり、彼らを取り囲む状況が紹介されていました。
日本酒の味わいにはほとんど触れていませんでしたが、彼らの想いを通じて日本酒について考えさせられる映画です。

そして、クラウドファンディングで制作されたというのも大きなポイント。クラウドファンディングによって、映画制作の可能性は広がりつつあります。今後はターゲットを絞って少人数で制作された映画が増えていくと予感させられる映画でした。

「玉川」を呑んだことがあっても、杜氏がイギリス人のハーパーさんだと知っている方は意外と少ない気がします。あの有名な「南部美人」も、久慈さんのお顔を見知っている方は少ないのではないでしょうか。本作は、お酒より人柄に密着したストーリーです。この映画から日本酒の世界へどっぷり浸かっていくのもいいでしょう。

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映画の中で「販売現場では日本酒についてわからない人も多いので、蔵元に来てもらえると助かる」という発言がありました。もちろん、お客さんにとって蔵元との会話は有意義ではありますが、本来は、飲食店や酒販店の従業員が造り手と消費者とのつなぎ役になるべきです。つなぎ役になる人たちは、知識を総動員させて、日本酒の魅力をよりわかりやすく伝えていかなければならないと強く感じました。そこに、今後の日本酒の生き残りがかかっているように思います。

そこで、本作に出演されている、アメリカ人ながら日本酒の普及に力を注いでいるジョン・ゴントナーさんにお話をうかがいました。

日本酒伝道師のジョン・ゴントナーさんへインタビュー

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ゴントナーさんは仕事のため、1988年に来日。1年後には、アメリカに戻ろうと考えていました。しかし、翌年の元旦に友人が持参した「浦霞」「司牡丹」「若戎」などを呑み、「なんて日本酒は美味しいのだ」と感動したそうです。その後「呉春」に出会って「日本酒はすごい!」とさらに驚愕し、以来すっかり日本酒にハマってしまったというわけです。

その後の経歴や活動は映画を観てもらえるとわかりますが、現在は主に日本酒の輸出に関わっています。在日外国人向けの日本酒通販からスタートさせた事業が海外輸出にかかわるほどに事業内容も拡大し、ますます日本と海外とをつなげてくれているのです。

飲食店や流通関係者にも講演を行っているゴントナーさんに、今後どういった従業員が増えればいいか聞いてみました。
「とにかく若い人。若い人が日本酒をカッコイイと思って、興味を持ってほしい。深く勉強する必要はないけれど、興味が湧けば自然と日本酒について知りたいと思うはず。そういう若い世代が増えてほしい」とおっしゃっていました。

若い人たちが興味を持ちながら意欲的に働ける環境は、やはり経営者による努力が必要不可欠でしょう。良い酒を良い状態で提供し、それを従業員全員で情報共有している飲食店が増えていけば、消費者も安心してお店に足を運ぶのではないでしょうか。若い世代が若い消費者に伝えていく、それが当たり前のようになってくれるといいですよね。

日本酒でカンパイしましょう!

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ゴントナーさんがハーパーさんに手紙を出したことからふたりの交流が始まりました。ゴントナーさんと久慈さんはアメリカで出会ったのをきっかけに親しくなりました。そして、久慈さんから紹介され、監督の小西さんに出会います。日本酒で広がった交友関係。お酒で広がった絆から映画製作に発展していったのは嬉しいことです。

私たちも日本酒でつながる喜びを大切にしようではありませんか。

本作は、日本酒愛飲家の方が「日本酒ってあんまり呑んだことないのよね」という方を引き連れて鑑賞してほしいです。そして見終わった後は、「玉川」と「南部美人」でカンパイして、酒を酌み交わす楽しさを体感しながら日本酒を広めてほしいと願っています。

「カンパイ! 世界が恋する日本酒」は7月9日より一般上映開始!
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(文/まゆみ)