みなさんこんにちは!
SAKETIMESライター兼名古屋で焼肉と日本酒という日本酒の新しいシーンの提案をしております「和牛焼肉じろうや 介」の渡邉貴都です。

今回は久野九平治氏に伺ったお話の第3弾です!

第1弾 「醸し人九平次」15代目 久野九平治氏にインタビュー!
第2弾 九平治氏に聞いた!日本酒造りにおける麹の重要性ーワイン造りとの対比を交えてー

前回は日本酒作りにける麹の重要性についてお話しいたしました。
今回は第2弾の日本酒作りにおける麹の重要性を踏まえた上でお米の大切さについてのお話を紹介いたします!

前回のおさらい

簡単におさらいをいたします!
大前提として、醸造酒は酵母がブドウ糖を食べ、その際に発生する発酵によってアルコールをつくります
その仕組みを自動車に例えました。
ワインの場合
ガソリン「ぶどう=液体のブドウ糖」+エンジン「酵母」=目的地「目指すワイン」
日本酒の場合

ガソリン「お米+麹=液体のブドウ糖」+エンジン「酵母」=目的地「目指す日本酒」

ワインの場合、ぶどうを潰すとすぐ液体のブドウ糖がつくれます。
しかし、日本酒の場合お米はデンプンですので、ブドウ糖の液体に変化させる必要があり、その際活躍するのが麹です。
どんなに立派なエンジン「酵母」があっても、ガソリン「液体のブドウ糖」の量と質を間違えると目的地にはたどり着けないので、日本酒造りにおける麹はガソリン「液体のブドウ糖」を造るので大切です、というお話でした。

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麹のつくり方によって味が変わる!

今回は、そもそも麹とはなにかというお話しを紹介いたします。
麹とは麹菌というカビを蒸したお米に繁殖させたものです!
このカビを繁殖させた麹は、酵素の塊です。酵素とは私たち人間の身体の中にもたくさんいます!
例えば、唾液や胃液に含まれる消化酵素等が代表的な例です。
消化酵素は、食べ物を溶かして消化の吸収を助けてくれる作用がありますよね!

麹に含まれる酵素の作用は
1 お米を溶かす酵素(消化酵素)
2 溶かしたお米をデンプンからブドウ糖に変える酵素(糖化酵素)
で成り立っています!

麹のお米を溶かす酵素の力が強ければよく溶け、味のボリュームが広がり、デンプンをブドウ糖に変える力が弱ければ、エンジン不足で目的地にたどり着けなくなってしまいます。よって、どういう日本酒にしたいか、というゴールがあり、原料のお米からゴールに近づくように麹の酵素のバランスや力加減を設計し造ります。なので、この麹の造り方の違いにより麹の酵素のバランスが変わり、ガソリン「液体のブドウ糖」の量と質の違いになり、最終的にはゴール「味と香りの違い」になってくるのです。ワインの場合は、ぶどう造り=ガソリン「液体のブドウ糖」なので品種と「土壌造り テロワール」がゴール「味と香りの違い」ということになります。

味を決めるのはお米のポテンシャル

今まで九平治氏は日本酒作りにおける麹の重要性について説いてきました。
エンジンが立派でも、ガソリンの量と質を間違えるとゴールにたどり着けないので、日本酒の味・香りを決めるのは、ガソリン「ブドウ糖」を生み出す麹ということです。
※エンジン「酵母」ももちろん大切です!優先順位で表すということです。

・麹はお米からできています。
・お米の品種、精米歩合によって麹の中身が変わります。
・ガソリンが変わります。
・ゴールが変わります。

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麹もお米からできており、ガソリン「ブドウ糖の液体」を作るために溶かすのもお米です。つまり、日本酒も原料であるお米が一番大切であり、最終的にはセパージュ「品種」とそれが取れたテロワール「土壌」が大切ということになります。

九平治氏は「やはり味を決めるのは主原料のお米のポテンシャルです。近代に入り、日本酒の醸造技術も様々に開発されました。しかし、つくづく思います。人間が、原料であるお米のポテンシャルをテクニカルに凌駕しようとすると、何処かに不具合がうまれ、その品の寿命は短命に終わるのではないかと。人間の手によってやれることには、限界がある。」と熱く語っていました。

品種と土壌で大きく変わる日本酒の味わい

麹も、米を溶かしてぶどう糖の液体に変えるのも、お米の力です。だからこそ、日本酒造りで最も大切なのはお米なのですね!!素材、つまり、お米のポテンシャルが、最終的なゴールである日本酒の香り・味に大きく影響を及ぼします料理の世界においても、食材のポテンシャルにフォーカスされていることと同様です。

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確かに、「醸し人九平次 山田錦 EAU DU DESIR」と萬乗醸造さん自社田の山田錦で造られた「醸し人九平次 黒田庄に生まれて」を飲み比べてみると同じセパージュ「品種」の山田錦と精米歩合にもかかわらず味わいが異なります
これは、やはり素材であるお米のテロワール「土壌」の違いが大きく影響しているのでしょうか。
ぜひ機会があれば飲み比べてみてください。

次回は第2弾、第3弾のお話を踏まえた上で、お米のセパージュについてのお話をご紹介できたらと思います!

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