酒販店や飲食店など業界関係者を対象とした試飲商談会「秋田の酒きき酒会」が、6/29(水)に大阪新阪急ホテルで開催されました。

同会はこれまで東京だけで開催されていましたが、今回は初めての大阪での開催となりました。秋田県内の24の酒蔵が大阪に集合。東京開催とほぼ同じ規模の700名が集まり、会場は大いににぎわいました。

「米の秋田は酒のくに」秋田の酒が人気を集める理由とは?

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当日はきき酒会の前にパネルディスカッションも行われました。

浅舞酒造の森谷康市杜氏、新政酒造代表取締役の佐藤祐輔氏、酒食ジャーナリストの山本洋子氏の3名が登壇し、「米の秋田は酒のくに」と題して、秋田の純米酒の魅力についてのお話されました。

山本氏は「秋田の蔵は個性派揃い」といいます。酒を醸す「人」において、山内杜氏(さんないとうじ)の伝統の流れもありながら、「NEXT5」のように共同醸造を始めたりと新進気鋭の造り手もいます。

荒走り・中取り・責めなどの酒を搾る過程を部分ごとに分けて製品化したり、遠心分離機で搾る方法を日本で初めて取り入れたり、秋田県特有の酒米や酵母を使った酒造りをしたり、それぞれの蔵が個性的な取り組みを行っています。また、秋田の蔵は秋田杉をよく使うなど、地域と連携した酒造りも特徴のひとつです。

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佐藤社長が自身の活動でもある「NEXT5」を紹介。これに対し、山本氏は現役で活躍されている秋田県の山内杜氏の70代の重鎮3人組を紹介しました。

その3人組とは、阿櫻酒造の照井俊男杜氏、日の丸醸造の高橋良治杜氏、齋彌酒造店の高橋藤一杜氏です。こちらを「3naiTRIO」と命名しよう!と提案。さらに、3人とも黄綬褒章を受賞されたことから、これを祝して「3nai GoldenTrio」としたらどうでしょうと会場を沸かせました。

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佐藤社長からは、新政から採取された日本最古のきょうかい酵母である「6号酵母」や秋田県産の酒米を使った酒造りを、森谷杜氏からは、仕込みと米作りに同じ水系の水を使う”蔵から半径5km以内”ですべてをまかなう酒造りををお話しいただきました。また、酒を醸すときに唄われる酒屋歌の披露もありました。

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このような取り組みの積み重ねが、秋田県の酒蔵が注目され人気となっている大きな理由と言えるでしょう。

秋田県の酒蔵24銘柄が揃ったきき酒会

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きき酒会場では、大阪をはじめ関西エリアの飲食店や酒販店の関係者が多く参加し、想像以上の大盛り上がり。発売前の日本酒を吟味したり、造りについて詳しく説明を求めたりと真剣にきき酒を行っていました。

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栗林酒造店「春霞」

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阿櫻酒造「阿櫻」

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浅舞酒造「天の戸」

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日の丸醸造「まんさくの花」

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秋田県が開発した「AKITA雪国酵母」を使った日本酒

会場からは「これほど多くの秋田県の日本酒を飲む機会はなかなかないのでうれしい」、「これから自分の店で取り扱いたい」という声も多く聞かれました。

秋田県の酒の人気は、日本全国でますます高まりそうですね。

(文/三浦環)

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