日本酒って、1つの名前に対して、たくさんの種類があって、あまり日本酒を飲まれない方からするとわかりづらい部分ではないでしょうか?

以前にも日本酒の特定名称酒についてはご紹介しましたが、今回は日本酒ファンからも絶大な人気を誇る「久保田」を例にご説明しようと思います。(特定名称については、こちらの記事も合わせてお読みください。

 

1. 久保田といっても、お酒は1つじゃない!?

新潟県のお酒で「久保田(くぼた)」というお酒があります。
1980年代後半の地酒ブームにより一躍有名になったお酒であり、新潟淡麗辛口の代表格でもあります。その人気は今でも衰えることなく、日本酒ファンからは根強い人気のある日本酒です。

しかし、久保田と言っても、たくさん種類があることをみなさんご存知でしょうか?
百寿(ひゃくじゅ)・千寿(せんじゅ)・紅寿(こうじゅ)・碧寿(へきじゅ)・萬寿(まんじゅ)、そして翠寿(すいじゅ)と「◯寿」シリーズで見てもたくさんあるのです。

日本酒の覚えにくいところではありますが、銘柄名だけではそれが何のお酒を指しているのかわかりません。
私も飲食店に勤めていたときはお客様から「〇〇という銘柄がとっても好きで、それに似たお酒が飲みたいんです。」とおっしゃっていただくことがありました。しかし、それだけ聞いても(銘柄での味わいの傾向はわかりますが)、結局何を求めているかを特定できない、ということが多々ありました。

ですので、ちょっと面倒かもしれないのですが、日本酒を飲むときは「〇〇という銘柄の△△」と覚えるようにするとよいでしょう。それが久保田の場合だと「久保田の萬寿」などとの覚え方になるのですね。

 

◎久保田の豆知識

30年ほど前に、高品質なお酒を全国のお客様にという想いのもと「久保田」を売り出した久保田を造る朝日酒造は、特定の酒販店のみが久保田を扱えるシステムを築き上げました。久保田の良さを理解してもらえる酒販店のみが「特約店」として久保田を売ることができる仕組みですね。これを「久保田会」といい、加盟した酒販店の力が、新潟を代表する銘柄へと育て上げる原動力となりました。

 

2. どうして同じ銘柄にも複数あるのか

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ではどうして、「久保田」という同じ銘柄でも複数に分かれているのでしょうか?
それは同じコンセプトを持ったお酒であることは変わりないのですが、製造方法が異なるのです。

先ほどあげた名前ごとにご説明しましょう。

百寿(ひゃくじゅ)特別本醸造で
久保田シリーズの基本形
千寿(せんじゅ)食事と楽しむ吟醸酒
紅寿(こうじゅ)冷やからぬる燗までの
温度帯で楽しめる純米吟醸
碧寿(へきじゅ)ぬる燗で楽しめる山廃純米大吟醸
萬寿(まんじゅ)純米大吟醸で
「久保田シリーズ」の最高峰
翠寿(すいじゅ)加熱処理を一切していない
大吟醸生酒(※4~9月限定)

(※◯寿と付かない、「生原酒」もあります。)

[久保田に関して、詳しくはこちら]

久保田はこのように造り方ごとに名前(百寿や千寿etcのように)がついていますが、多くのお酒は名前が付いていません。百寿や千寿などの代わりに、造り方の違いをそのまま銘柄名とセットに付けています。
例えば、八海山は「普通酒」「特別本醸造酒」「吟醸」「純米吟醸」のように付けられていますね!(銘柄名に付くこれらの呼び方は特定名称酒といい、全部の日本酒に共通した造り方別の名前です。)

 

3. どれが一番おいしい?

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1つの銘柄の中にもたくさん種類があること、みなさん分かっていただけたでしょうか?
久保田をとってもみても、こんなにたくさんの種類があるとは驚きですよね。

ぜひ今度日本酒を飲まれる際は、ある銘柄の何を飲んだかに注目してみてください!
今回ご説明した久保田を飲み比べていただいてもよく分かるかと思いますが、それぞれでまったく違う味わいになっているのです。ぜひ機会があれば飲み比べてみてほしいですね。

<千寿>
<紅寿>
<碧寿>
<萬寿>

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