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創業300年を越える老舗がなぜ中目黒に?しゃべる酒屋「伊勢五本店 中目黒店」の魅力に迫る

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「中目黒高架下」のオープンなどもあり、近年ますます注目を集める中目黒エリア。そんな中目黒に、一昨年オープンした酒販店が「伊勢五本店 中目黒店」です。

中目黒駅から徒歩4分!酒屋とは思えないスタイリッシュな外観

「伊勢五本店 中目黒店」は、中目黒駅から徒歩4分の好立地にあります。

黒を基調としたスタイリッシュな外観で、本当に酒屋なのか疑ってしまいました。以前はアパレルのお店が入っていたそう。

実は、この中目黒店は伊勢五本店の2号店。1号店は1706年に日暮里で創業した後、千駄木に移転しました。もともとは地元密着型の酒屋で、全国各地の地酒に特化し始めたのは、現9代目の篠田俊志氏からだそう。

長らく下町で営業を続けてきた伊勢五本店ですが、各地のお酒を取り扱うようになってから、都外など遠方からのお客さんが増え、それに対応するために、アクセスのよい中目黒への出店を決意。

2015年11月に、晴れてオープンとなりました。

散策の合間にふらっと。数百種類のお酒が迎え入れる空間

中目黒店で取り扱う日本酒は、なんと300~400種類!

ワインや焼酎・泡盛なども含めると、700~800種類のお酒が販売されているそうです。

ラインアップは基本的に千駄木店と同じですが、立地が変われば客層も変わるというもの。よく売れる銘柄は、千駄木店とは大きく違うとのことでした。

千駄木店は、飲食店の方やお酒に詳しい消費者をメインのお客さんとしたため、あえてわかりにくい住宅街の中にオープンしたそう。

しかし、中目黒店はその逆。日本酒にあまり馴染みのないお客さんにも来てもらえるようなお店づくりを心がけています。中目黒駅から代官山方面へ抜けていくコースの途中にあるので、ふらっと訪ねてくる方も多いのだとか。

また、近くには目黒川が流れており、花見シーズンになると、散策の途中で見つけてくれる人も多いようですね。お客さんの年齢層も若く、外国人の来店も多いそう。それに合わせて、ホームページも徐々に英語対応の準備を進めています。

ラインアップは同じでも、売れる銘柄は違う

店長の長澤暢昭さんに、中目黒店で扱っている日本酒についてお聞きしました。

―中目黒店ではどんな銘柄が人気ですか?

「千駄木は限定品や季節商品が多く出ますが、中目黒は『醸し人九平次』『澤屋まつもと』『梵』『黒龍』などの、少し高価格な銘柄がよく買われますね。各店舗の客層をよく反映しているかもしれません」

―仕入れのポイントはなんですか?

「まずはお酒そのものが美味しいことが大事ですね。味わいにマイナス要素が少なく、でも個性ははっきりしているようなお酒をそろえています。純米酒専門ではないので、お客さんにニーズがあると感じれば、本醸造酒や普通酒も仕入れますよ」

「あとは、蔵元のもっている思想も大切にしたいですね。実際に現地を訪れながら、蔵のバックグラウンドを知り、時間をかけて関係を構築していきます」

伊勢五本店で、最近取り扱いが始まったのは「江戸開城」を醸す東京港醸造。2016の夏に清酒造りを再開した、注目の東京蔵ですね。

―近年の日本酒に対して、どう思いますか?

「日本酒のラベルデザインもポップなものが増え、味わいの幅も広がってきています。単なる"フルーティー"ではなく、『リンゴのような』『パイナップルのような』など、さまざまな味わいに細分化されてきました。表現がより具体的になったことで、消費者にとってもわかりやすくなり、ライトに購入する人が増えたのではないでしょうか」

ちなみに、中目黒店のイチオシは愛知・藤市酒造の「菊鷹」。都内での取扱酒屋も数えるほどしかない、少量仕込みの貴重な逸品です。

中目黒店最大の魅力!明るい時間から角打ちで一献

「千駄木店とのいちばん大きな違いは、角打ちですね。口頭で伝えきれない魅力を知ってもらうのに、たいへん役立っていますよ」

そう言いながら、角打ちのカウンターへ案内してくれました。

明るいバーのような落ち着いた雰囲気のカウンターで、清潔感のある空間。女性も気軽に来てもらえるような角打ちを目指したのだとか。実際、お酒の購入ではなく、角打ちを目的に来店される方も多いそうですよ。

季節のおすすめ銘柄をはじめとする、手づくりのおつまみにぴったりのお酒を1杯(0.5合)から楽しむことができます。燗酒があるのもうれしいですね。

長澤さんのおすすめを試飲させていただきました!

まずは、「醸し人九平次」の愛知・萬乗醸造が2017年春に新しくリリースした「Le K(ル カー) rendez-vous(ランデヴー)」。

やわらかい口当たりと、ふわっと広がる甘酸っぱい香りで飲みやすいお酒でした。シャープな酸が後味をまとめてくれ、スッキリとした印象。

こちらは、今年から取り組んでいるという伊勢五本店オリジナルの銘柄、長野・大澤酒造「明鏡止水 すぷらいと」です。

「すぷらいと」という名前の通り、口に含んだ瞬間に爽やかな香りが広がります。しかし余韻は短く、キレの良い後口。すいすいと杯が進んでしまいそうです。

他にも、石川「獅子の里」や福岡「黒兜」、福島「ロ万」、山形「上喜元」とのコラボレーション商品があるそうですよ。

季節感のある、手づくりのおつまみにお酒が進む!

角打ちの魅力はお酒だけにとどまりません!すべて自家製という、こだわりのおつまみもぜひご堪能ください。

こちらは、お店イチオシの「珍味酒肴ちょこちょこ盛り」

おつまみが8品もそろって、なんと750円。これはお得ですね。

内容は旬の食材を大切にしながら日々変わるそうで、今回は「フキノトウ味噌」「マンゴー味噌」「南高梅とマスカルポーネ」「甘酒肉そぼろときゅうり」「こんにゃく醤油麹田楽」「セミドライたらこ」「落花生の醤油煮」「干しエノキのきんぴら」というラインアップ。

もうお酒が止まりません。

「生ハムチップ」(400円)も人気メニュー。1枚1枚に旨味が凝縮されており、お酒のアテとして抜群でした。

これだけのおつまみがそろっているおかげか、1杯だけではなく、3杯、4杯と飲んでいくお客さんが多いのだそう。

お客さんと向き合うことを大切に

最後に、伊勢五本店のポリシーについてうかがいました。

―伊勢五本店の魅力を教えてください。

「対面販売を大事にしていることですね。お客さんと顔を合わせてお話しすることを重視しているので、ネットの通販はやっていません」

「たとえば『辛口のお酒をください』という注文をされるお客さんも少なくないですが、きちんとヒアリングしてみると、甘口と言われているようなタイプのお酒が好きだったということもあります」

「お酒の説明をきっちりした上で、お客さんが本当に求めているものを提案したいですね。強いこだわりをもっている、寡黙な店主が切り盛りしているような酒屋ももちろん魅力的ですが、伊勢五本店はだれに対しても『しゃべる酒屋』でありたいと常々思っています。素晴らしき日本酒世界への門戸を、ひとりでも多くの人に開いていくのが、私たちの仕事でしょう」

そう語る、店長の長澤さんもまだ29歳。中目黒店で働くスタッフの平均年齢は20代後半と若く、店内には爽やかな風が流れていました。

歴史ある伊勢五本店、日本酒世界の奥深いところでその魅力を伝えているのかと思いきや、日本酒初心者にとっての水先案内人でありたいと語るその姿は、頼もしさすら感じさせました。

(文/小池潤)

◎店舗情報

伊勢五本店 中目黒店 (角打ちスペースのFacebookページはこちら)

  • 住所:東京都目黒区青葉台1-20-2 1F
  • TEL / FAX:03-5784-4584
  • 営業時間:11:00 ~ 21:00 角打ち:平日・土曜 15:00 ~ 21:00, 日曜 12:00 ~ 21:00 (L.O. 20:30)
  • 定休日:火曜、祝日、お盆、年末年始

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