「敵に塩を贈る」言葉の越後の名将から命名

「謙信」を醸す池田屋酒造は、新潟県の最西端・糸魚川市にあります。糸魚川市は、2016年12月に家屋など建築物約150棟が被害にあった大火が記憶に新しいところですが、池田屋酒造は幸いにも被害をまぬがれました。

文化9年(1812年)に創業した池田屋酒造。銘柄名「謙信」の由来は、越後の名将・上杉謙信が川中島の合戦の折、武田方に塩を贈る際に通ったと言われる「塩の道」(千国街道)のそばに酒蔵があることから命名されたそうです。生産石高は900石弱で、その半分は地元消費という地域に根差した酒蔵です。

蔵のある糸魚川のお隣は、酒造好適米「五百万石」の一大産地、富山県。そんな土地柄のせいか、池田屋酒造のお酒は、新潟の主流である淡麗辛口というより、富山県のお酒に似た、きれいながらも米の旨みやふくらみも併せ持つ味わい、という印象を持ちます。そして、近年の「謙信」も淡麗辛口とは一線を画した味わいで、人気が上昇してきています。

蔵元6代目の新しい「謙信」が人気上昇中

若き蔵元6代目の池原達弘さんを中心に、味わいは芳醇かつ綺麗な甘みがあるお酒を目指しているそうです。平成21年(2009年)から原料処理など仕込み内容を見直し、蔵のベテラン杜氏とともに自らの理想の酒造りを始め、同26年に杜氏の引退により、製造責任者として酒造りに取り組んでいます。蔵人は地元農家の方が中心で、酒造りのない時期は、自社で使う「五百万石」や「越淡麗」を栽培しています。

この純米吟醸酒は地元産の五百万石を50%まで精米。新酒を直汲みした無濾過生原酒です。香りはマスカットに似た果実香で、口に含むと、ほどよいフレッシュ感に綺麗な酸とジューシーな旨みの中に、優しい米の甘味も感じられ、バランスが良い味わいです。ボディはシャープさとふくらみのバランスが良く、透明感や爽快感もあり、切れ味も上々。凛とした味わいです。生原酒ですが、バランスも良く、食中酒としても上々です。カニのしゃぶしゃぶ、刺身などに合いそうです。また、鶏つみれ鍋など、冬の鍋のお供にも良さそうです。生酒ですが、ぬる燗にしても美味しいですよ。

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