9月1日に大阪・なんばにて吉村秀雄商店さん(和歌山県)醸造の「車坂」テイスティング会が行われました。
吉村秀雄商店は、和歌山県岩出市にあります。大正4年(1915年)創業、今年で創業91年になる、日本酒の酒蔵としては比較的新しい酒蔵です。女性杜氏の藤田晶子さんは「常きげん」で有名な鹿野酒造場(石川県)にて農口杜氏のもとで修業した方です。

3名のテイスタートとともに「車坂」をテイスティング

とりひめなんば千日前で開催された車坂テイスティング会では、料理とともに「車坂」5種類のテイスティングをしました。

季節の彩りちらしサラダ

鶏と魚介の白ワイン蒸し

今回、約30名の参加者の方と共にテイスティングを勉強させていただきました。テイスティングは、とりひめなんば千日前・専属テイスター 河社長、吉村秀雄商店・営業 古井さん、そして私、専属テイスター石黒の3名にて行いました。

(左)専属テイスター石黒と(右)とりひめなんば千日前 専属テイスターの河社長

吉村秀雄商店営業 古井さん

早速テイスティングデータを公開させていただきます。

日本酒テイスティングデータ
銘柄車坂 純米酒
香り華やかな香り(1~10) 2銘柄のラベル又は写真
爽やかな香り(1~10) 2
穏やかな香り(1~10) 4
ふくよかな香り(1~10)  4
味わい甘味(1~10)  4
酸味(1~10) 4
苦味(1~10) 5
旨味(1~10) 4
テイスティング者コメント香り主体となる香り 原料香主体、淡い柑橘系の香りとハーブ香有り
感じた香りの具体例 炊いた白米、カスタードクリーム、マシュマロ、甘夏、スダチ、クレソン、アンズ、スペアミント、レモングラス、若草、水あめ、千歳飴、アプリコットジャム、栗、カラメル、稲わら
味わい甘辛度中程度
具体的に感じた
味わい
 ふくよかでスッキリとした飲み口、繊細でふくよかな旨味が主体、後味はシャープにキレる、スペアミントや水あめを思わせる含み香、やや深みのあるふくよかな味わい、余韻はやや長く、旨味を感じる、熟成したふくらみがある
このお酒の特徴 ふくよかでスッキリ、シャープなキレ味を持つ醇酒
4タイプ分類 醇酒
飲用したい温度 15~20℃、50℃前後
温度設定のポイント ひや又は少し冷やして、キレ良くシャープな味わいを引き出すか
上燗にて、キレ良くふくよかな味わいを引き出すか
この日本酒に合わせてみたい食べ物 めはり寿司、柿の葉寿司、梅粥、イワシの梅干し煮、鱧落とし(梅肉にて)、シーフードパスタ、ピザ、蟹チリ、鶏の紫蘇天ぷら、クリームチーズ、葉物のお浸し
日本酒テイスティングデータ
銘柄車坂 黒潮 魚に合う吟醸酒
香り華やかな香り(1~10) 4銘柄のラベル又は写真
爽やかな香り(1~10) 4
穏やかな香り(1~10) 3
ふくよかな香り(1~10) 2
味わい甘味(1~10) 3
酸味(1~10) 5
苦味(1~10) 4
旨味(1~10) 3
テイスティング者コメント香り主体となる香り 原料香主体、淡い果実の香りとハーブの香り有り
感じた香りの具体例 炊いた白米、生クリーム、マシュマロ、グレープフルーツ、スダチ、和梨、白桃、スペアミント、若竹、水あめ、瓜、クレソン、青リンゴ、ライチ、バナナ、エステル香
味わい甘辛度 中程度
具体的に感じた
味わい
 キレ良くふくらみのある飲み口、ふくらみがあり柔らかい旨味が主体、キレ良くスッキリとした後味、スペアミントやスダチを思わせる含み香、旨味はあるが、適度な酸でバランスが良い
このお酒の特徴 ふくらみがあり柔らかくスッキリキレる爽薫酒
4タイプ分類 やや薫酒よりの爽酒
飲用したい温度 15℃前後、45℃前後
温度設定のポイント 15℃前後にて、キレ良くスッキリした味わいを引き出すか
45℃前後にてキレ良くふくらみのある味わいを引き出すか
この日本酒に合わせてみたい食べ物 鯛の塩焼、鯛しゃぶ、ヒラメの薄造り、カンパチの造り、キンキの煮つけ、キンキの一夜干し、豚の角煮(常温又は、燗にて)

 

日本酒テイスティングデータ
銘柄車坂 27BY 山廃純米 無濾過生原酒
香り華やかな香り(1~10)1銘柄のラベル又は写真
爽やかな香り(1~10)2
穏やかな香り(1~10)4
ふくよかな香り(1~10)5
味わい甘味(1~10)2
酸味(1~10)4
苦味(1~10)3
旨味(1~10)3
テイスティング者コメント香り主体となる香り 原料香主体、淡い柑橘系、淡い根菜系とハーブの香り有り
感じた香りの具体例 炊いた白米、ヨーグルト、マシュマロ、すだち、グレープフルーツ、クレソン、スペアミント、干し草、千切り大根、水あめ、千歳飴
味わい甘辛度 やや辛い
具体的に感じた
味わい
 キレ良くスッキリとした飲み口、柔らかく繊細な旨味が主体、後味のキレは良い、スダチや千切り大根を思わせる含み香、深みがあり余韻が長い、口当たり良く甘味があり、しっかり酸味が感じられ、渋味と苦味がある
このお酒の特徴 キレよく、柔らかく、繊細な味わいの醇酒
4タイプ分類 醇酒
飲用したい温度 20℃前後、45℃前後
温度設定のポイント ひやにてキレ良く繊細な味わいを引き出すか
燗にてキレ良くふくよかな味わいを引き出すか
この日本酒に合わせてみたい食べ物 ブイヤベース、焼き穴子の寿司、焼き蛤、サザエのつぼ焼き、ギョーザ、唐揚げ、焼き鳥(たれ、塩両方)、レモンチキン、タンドリーチキン、トマトソースの料理、アクアパッツア、鶏の唐揚げ

 

日本酒テイスティングデータ
銘柄車坂 純米吟醸酒
香り華やかな香り(1~10) 5銘柄のラベル又は写真
爽やかな香り(1~10) 4
穏やかな香り(1~10)2
ふくよかな香り(1~10) 2
味わい甘味(1~10) 3
酸味(1~10) 4
苦味(1~10) 5
旨味(1~10) 3
テイスティング者コメント香り主体となる香り 原料香主体、華やかな果実香、淡い柑橘系の香りと淡いハーブの香り有り
感じた香りの具体例 炊いた白米、生クリーム、マシュマロ、白桃、ライチ、青リンゴ、洋ナシ、グレープフルーツ、すだち、スペアミント、クレソン、瓜、ミネラル、マスカット、リンゴ、エステル香
味わい甘辛度 やや辛い
具体的に感じた
味わい
 キレ良く爽やかな飲み口、繊細でふわりとした旨味が主体、後味はキレ良く爽やか、白桃やスペアミント、ミネラルを思わせる含み香、優しい甘味から酸味を少し感じる、中盤から苦渋が少し、甘味が強くキレがあり余韻が短い
このお酒の特徴 華やかな果実香とキレ良くスッキリとした味わいの薫酒
4タイプ分類 薫酒
飲用したい温度 12℃前後、40℃前後
温度設定のポイント 冷やして、華やかな香りとスッキリとした味わいを引き出すか
燗にて柔らかくスッキリとした味わいを引き出すか
この日本酒に合わせてみたい食べ物 ヒラメの薄造り、とり紫蘇の天ぷら、鱧の天ぷら、紫蘇の天ぷら、桃のシュークリーム、マンゴープリン、カルパッチョ、アクアパッツア、シーザーサラダ、マグロユッケ

 

日本酒テイスティングデータ
銘柄車坂 山廃 純米大吟醸 無濾過生原酒
香り華やかな香り(1~10)4銘柄のラベル又は写真
爽やかな香り(1~10)3
穏やかな香り(1~10)3
ふくよかな香り(1~10)3
味わい甘味(1~10)3
酸味(1~10)5
苦味(1~10)4
旨味(1~10)4
テイスティング者コメント香り主体となる香り 原料香主体、淡い熟した香りとやや乾いたハーブの香り有り
感じた香りの具体例 炊いた白米、ヨーグルト、マシュマロ、干し椎茸、アンズ、干し大根、クレソン、リンゴ、和梨、スペアミント、ミネラル、グレープフルーツ、スウィーティー、青草、餅米
味わい甘辛度 やや辛口
具体的に感じた
味わい
 ふくらみがありキレの良い飲み口、ふくよかでまろやかな旨味が主体、後味はキレ良くスッキリしている、アンズやスペアミントを思わせる含み香、柔らかい旨味や甘さがあり、全体として酸もしっかりあり、バランスが良く、少し渋苦がある、キレがあり旨味の余韻がはっきりしている
このお酒の特徴 ふくよかでキレの良い味わいの醇薫酒
4タイプ分類 薫酒・醇酒
飲用したい温度 15℃前後、45℃前後
温度設定のポイント 少し冷やして、キレ良くスッキリとした味わいを引き出すか
燗にて、柔らかくふくらみのある味わいを引き出すか
この日本酒に合わせてみたい食べ物 野菜の煮つけ、鯖の生寿司、スモークサーモンのサラダ、小鯛の笹漬け、シーフードのアヒージョ、カマンベールチーズのフライ、鰻のかば焼き

※このフォーマットはSSI日本酒香味評価総合データベース酒仙人のテイスティングフォーマットを参考にして、新たに作成したものです。

吉村秀雄商店・藤田晶子杜氏にインタビュー

藤田晶子杜氏を取材し、吉村秀雄商店の酒造りについて伺いました。

Q:現在の製造石数を教えてください。
A:約500万石です。

Q:メインターゲットとする市場と客層を教えてください。
A:首都圏がメインで、30~40代の男女がメインターゲットと考えています。

Q:酒蔵として「車坂」に合わせてもらいたい食品や料理は何ですか。
A:チーズやトマト、牡蠣など、洋食や発酵食品と合わせることを意識して酒造りをしています。特に地域性や地元の食材・料理は意識していないです。

Q:どのような酒質の酒造りを目指していますか。
A:米の旨味がしっかりしていて、キレが良く、品の良さがあるお酒を目指しています。

Q:海外市場に向けては現在どのようなビジネスを展開していますか。
A:現在、香港・中国・韓国に輸出しています。できるだけ、温度管理がしっかりしているリーファーコンテナによる輸送を行っていて、現在は香港がメインです。将来的にはシンガポールやヨーロッパへの輸出を目指しています。現時点でのインバウンド対応に関しては、酒屋さんや飲食店さんにお任せしています。

Q:近年の日本酒ブームに関してどのようなお考えですか。
A:私個人としては大変面白く感じています。市場が拡大しているかどうかはわかりませんが、お酒を理解しているお客様と会う機会は増えました。今後とも、さまざまな酒屋さんや飲食店さんとお付き合いしていきたいです。

Q:藤田杜氏ご自身は、今後どのように日本酒のイベントを行っていきたいですか。
A:飲食店さんを利用して、セミナー形式で20~30人規模の会を行いたいです。お客様一人ひとりとできるだけコミュニケーションを取りたいと考えています。

若い世代に届けたい「車坂」

農口さんの元でしっかり修行した藤田さんからは、「若い世代の方に日本酒を飲んでもらうにはどうしたらいいのか」を真剣に考えている様子が感じられました。また、日本酒に深い愛情を持ち、造りに対して真摯に取り組んでいる姿が理解できました。これからも良い日本酒をどんどん世の中に送り出してほしいです。

ひとりでも多くの方に車坂の日本酒を飲んでいただいて、藤田杜氏の造る日本酒の良さを理解していただきたいと思うようなイベントでした。

(文/石黒建大)