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日本酒を飲むことが一番の応援!度重なる雪害にあってもくじけない秋田県横手市「舞鶴酒造」

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秋田県横手市で純米酒のみを造る蔵「舞鶴酒造」は、2008年の大雪で仕込蔵が崩壊し、2010年には釜場、麹室、槽場が、そして2011年の東日本大震災では倉庫が崩壊しました。

そんな度重なる苦難を乗り越え、秋田県や埼玉県にある蔵を借りながら日本酒を造り続けてきましたが、昨年、今年と立て続けに再び雪害にあってしまいます。このような災害にあった場合、国からの助成金がでるのは2回までなのだそうです。

熟成させることでさらなる旨みを目指す「田从」

舞鶴酒造が造っている銘柄は「田从(たびと)」。この名前を聞けば「あ、熟成酒の!」と思い浮かべる方も多いかも知れません。

造っているのは経営者兼杜氏の工藤華子さん。吟醸酒ブームに沸いていたころ「品評会で金賞を受賞するだけがいいお酒なのか」と疑問をもち、品質向上と蔵の独自性を出すために大きな賭けに出ました。生産量をそれまでの10分の1にまで減らし、銘柄も2銘柄だけに絞りました。


舞鶴酒造のもうひとつの銘柄「月下の舞」

秋田では「秋田流寒造り」と呼ばれる、醪の仕込みから発酵までを寒冷な気候の中、低温でじっくりと行なう酒造りが主流です。その低温長期発酵を行うことで酒質はなめらかになり、すっきりとした綺麗な酒質ができあがります。

ですが「田从」は、最高温度を高めに取り、味のしっかりとした力強い酒質を目指しています。そして、熟成させることでさらに旨みの乗ったお酒へと変化してゆくのです。

「田从」のもとに集う人の力を信じて

「田从」は2002年から自社で造るすべてのお酒を純米酒に切り替え、品評会への出品もしていません。生産量を減らし、造る日本酒の酒質も変えたことで当初は売上が大幅に減り、その経営方針に賛同できない蔵人たちは離れていきました。それでも自分の信念を貫きお酒を造り続けてきた工藤さん。やがて熟成年数が重なるつれ、「田从」のファンが徐々に増えていきました。

現在の生産石高は約200石。最低でも3年以上寝かしたものを商品として出荷しています。しかしここ数年続く雪害で大事なお酒が被害に遭ってしまいました。今、市場に出回っているものは運よく難を逃れた貴重なお酒なのです。

「田从」の「从」の字は、中国語では前の人のあとに後の人がつきしたがう意味を表し、古代中国文字で人の集まりを表します。そこから「お米を作る人」「お酒を造る人」「お酒を売る人」「お酒を味わう人」の関わり合いを忘れまいという想いで名付けられました。

今、その「お酒を造る人」が困っています。「味わう人」である私たちが「田从」を飲むことで助けることができる。これが本当の「田从」の味わい方なのかもしれません。

(文/あらたに菜穂)

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あらたに菜穂

1980年代の地酒ブーム以前から酒販店さんと全国の酒蔵をまわり、地酒を扱ってきた父の影響を受け小さい頃から日本酒に囲まれて育つ。やるとなったらとことんやる性格のため毎年、仕込み時期の酒蔵に数日修行へ。日本酒と焼酎の唎酒師ではあるが自分の味覚と嗅覚に絶対の自信を持つために酒類総合研究所の清酒官能評価者になるまで唎酒師を名乗らないことにしている。