企業や個人の挑戦への支援を広く公募するネットサービス「クラウドファンディング」。ここ数年で急速に浸透し、今では毎日のように各所でプロジェクトが立ち上がっています。

「日本酒」は、そんなクラウドファンディングと相性が良いテーマのひとつ。日本酒のプロジェクトが初めて動き出した2012年以降、その数は150件を超え、累計の調達金額は2億円を突破しました。

そんななか、まだ広く知られていない地方の魅力的な酒蔵を、日本酒ファンをはじめとした多くの方々に知ってもらおうと、クラウドファンディングのプラットフォーム「MOTTAINAIもっと」が新たなキャンペーンを打ち出しました。

それが、蔵元応援キャンペーン「こだわりの日本酒を見つけよう」です。

協業による、万全のサポート体制

2016年に始まった「MOTTAINAIもっと」は、『あなたの街や暮らしをもっと元気にする』がコンセプトのクラウドファンディングサービス。地元を盛り上げるためのプロジェクトが、その背景にある思いとともに発信されています。

「MOTTAINAIもっと」最大の強みは、伊藤忠商事毎日新聞ミュージックセキュリティーズ全国信用協同組合連合会(以下、全信組連)の協業によって運営されていることです。

大手総合商社の伊藤忠商事と、インパクト投資プラットフォームを運営するミュージックセキュリティーズがサイトを運営し、全国に148ある信用組合の中央機関である全信組連が魅力的な産品を見つけ出し、毎日新聞が紙面やウェブを通して情報を拡散します。

地方で奮闘する酒蔵にスポットライトを!

蔵元応援キャンペーン

蔵元応援キャンペーン『こだわりの日本酒を見つけよう』がスタートしたのは、2018年10月。信用組合がもつ200以上の酒蔵とのつながりを生かして、まだ全国に知られていない数々の銘酒を消費者のもとへ届けるべく、始まりました。

日本酒の流通は卸業者や小売を仲介するケースがほとんどで、販売される地域や店舗が限定されることが多いですが、クラウドファンディングを利用することによって、全国のお客様に分け隔てなくアピールすることができます。

実際にどんなプロジェクトが動き出しているのか、先陣を切ってスタートした5つの企画を紹介します。

地域毎に違う美しい柏崎の景色を『循環型農法』で守りたい!阿部酒造が挑む酒蔵流・地域活性化プロジェクト!

阿部酒造のプロジェクト

新潟県の阿部酒造が挑戦するのは、地元・柏崎市の美しい景色を守るため、市内の集落で収穫された酒米とその地に流れる水を使って、その地域をイメージしたお酒を造るプロジェクトです。

第1弾として、小清水という集落が選ばれました。リターンとなる「小清水の酒」は、決して栽培環境の良くない、手間のかかる田んぼをイメージし、伝統的な製法「生酛造り」で複雑な味わいを表現しました。また、深みのある味わいを出すために、一般的な日本酒が専用の機械で30%以上は精米するところを、街中にあるコイン精米機で、たった8%しか精米していません。

お酒のほか、田植え体験が付いてくるリターンもあります。柏崎の原風景を守るプロジェクトを、ぜひ応援してください。

寒梅酒造の新たな挑戦 デザインオフィスnendoと世界へ発信する「四器」sikiプロジェクト

寒梅酒造のプロジェクト

宮城県で「宮寒梅」を醸造する寒梅酒造は、日本酒の造りや原料における複雑さが、一般消費者にとっての"わかりにくさ"になっているケースがあることから、日本酒の酒質を4タイプに体系化し、それぞれの酒を造りました。さらに、デザインオフィス「nendo」とコラボし、それぞれに合う4種類の酒器を開発したのです。

リターンはタイプ別に分かれ、日本酒と酒器のセットに合わせて「搾りたて新酒の純米大吟醸板粕」や「オリジナル前掛け」が付いています。さらに、合計で3セット以上を購入した場合、「仕込み蔵の案内」や「新しい出荷場でのラベル貼り 」「新社屋での試飲や食事」が体験できるそうです。

友人や知人と異なるタイプのセットを購入し、どれが自分の好みに合うか、吟味してみるのも楽しいかもしれません。

【秋田県】度重なる苦難を超えた舞鶴酒造~長期熟成純米酒「田从(たびと)」の挑戦

舞鶴酒造のプロジェクト

「田从(たびと)」を醸す舞鶴酒造を支えるのは、秋田県初の女性杜氏・工藤華子さんです。蔵を継いでから「日本酒の魅力、そして文化を広めたい」という思いで改革を進めてきました。2002年には、全量純米蔵を目指して、当時60もあった銘柄を純米酒と純米吟醸酒の2つに絞り、高い品質を追求して、生産量を10分の1まで減らしました。

舞鶴酒造が蔵を構える秋田県横手市は、全国的にも有名な豪雪地域。2008年に大雪の影響で仕込み蔵が崩壊し、2010年には釜場や麹室が、2011年の東日本大震災では倉庫が壊れてしまいました。さらに2016年、2017年と立て続けの雪害に見舞われ、大きな被害を受けたのです。

今回のクラウドファンディングでは、厳しい雪害を乗り越えたお酒が創業100周年を記念して、特別に販売されます。再建を願う多くの人に支援していただきたいプロジェクトです。

手造り地酒研究会が醸す年間数量限定の僅少酒「させぼ白仁田」を味わっていただきたい supported by 西海みずき信用組合(梅ヶ枝酒造・長崎県佐世保市)

梅ヶ枝酒造のプロジェクト

長崎県佐世保市にある梅ヶ枝酒造が出品するのは、吟醸酒「させぼ白仁田」です。梅ヶ枝酒造を中心に、小売店や米農家で構成された「手造り地酒研究会」が、酒米・山田錦の育成からお酒の仕込みまでを一貫して行ないます。

山田錦の田んぼがある同市の白仁田町は、過疎化・高齢化が急速に進み、耕作放棄地が増えています。今回、地酒研究会はクラウドファンディングを通して、丹精を込めた希少な地酒を全国の日本酒ファンに届けること、そして、来年以降も耕作放棄地で山田錦を育てることで、日本の原風景である棚田を守ることを目指しています。

自然の恵みに感謝しながら、棚田の風景に思いを馳せながらいただきたい一本です。

『日本最西端の酒蔵』からこだわりのビンテージ日本酒「福鶴 秘蔵熟成古酒」をお届けしたいプロジェクト Supported by 西海みずき信用組合(福田酒造・長崎県平戸市)

福田酒造のプロジェクト

2018年7月に世界文化遺産として登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のうち、「平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)」の湧水を酒造りに使っている福田酒造。日本の最西端に位置する酒蔵です。

フランス発の日本酒コンテスト「Kura Master」で、純米酒部門の最高賞であるプラチナ賞を獲得するなど、国内外で高い評価を受けています。そんな福田酒造がアピールするのは、秘蔵熟成古酒。短いもので5年、長いもので20年、じっくりと熟成された門外不出の日本酒です。

品評会での高い評価を受けて、今後ますます人気になるであろう酒蔵の貴重な熟成古酒を逃す手はありません。

お酒を試飲できるイベントの開催も!

応援試飲会の様子

蔵元応援キャンペーンの開始にあたって催された試飲会には、プロジェクトに参加している酒蔵や「MOTTANINAIもっと」の会員など、総勢160名もの方々が参加しました。

本記事で紹介した酒蔵のほか、プロジェクトを準備中の酒蔵からもお酒が出品され、参加者は全国各地の銘酒を思い思いに味わっている様子でした。

今回の試飲会は、支援を迷っている人の背中を押すだけでなく、プロジェクトオーナーである蔵元同士が地域を越えて交流してほしいという思いから企画されたのだとか。こうした"横のつながり"を生み出せるのは、全国の酒蔵と強固なネットワークを築いてきた「MOTTAINAIもっと」ならではの強みです。

今後、どのようなプロジェクトが登場するのでしょうか。楽しみに待ちましょう。

(文/SAKETIMES編集部)

この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます