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白鷹の酒蔵で灘酒を学ぶ!西宮日本酒学校2016 第2回「灘酒よもやま話」レポート

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西宮市では「西宮の日本酒」振興プロジェクトの一環として、酒蔵地域一帯をキャンパスに見立て「西宮日本酒学校2016」を開講しました。第1回の日本盛に続き、第2回は「白鷹」を醸す白鷹株式会社をキャンパスに行われました。

伊勢神宮に御料酒を献上し続ける白鷹

白鷹株式会社は、1862年に「白鹿」を醸す辰馬本家酒造から分家して創業しました。当初は「北辰馬商店」という名でしたが、1929年に株式会社化して「株式会社辰馬悦蔵商店」、1992年には「白鷹株式会社」へ社名変更しています。

伊勢神宮の神に朝と夕の2度食事が供えられる「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」に、1924年から清酒が採用されました。その酒を献上する神宮御料酒に「白鷹」が選ばれて以来、欠かさず献上が続けられています。本社敷地内には永年の奉仕に対し、神宮司庁から贈られた石碑があります。

講義会場となるのは、白鷹禄水苑(はくたかろくすいえん)です。

2001年に設立され辰馬家の住居をイメージして再現されたデザインになっています。1階にはショップ・蔵Bar・レストランのほか、辰馬家の生活用品を展示した暮らしの展示室などがあり、2階には多目的スペースの宮水ホールがあります。

講義のテーマは「灘酒よもやま話」

「灘五郷変革と発展の理由」と「白鷹の酒造り」について講義があり、みなさん熱心にメモを取っていました。

1.灘五郷の変革

兵庫県南東部から大阪府にかけて、酒蔵の集中している地域(郷)があり、1650~1700年頃は池田・伊丹・大坂・西宮・堺・尼崎など九郷、1730年頃から今津・上灘・下灘でも造り始められ「摂泉十二郷(せっせんじゅうにごう)」を形成していたそうです。江戸へ運ばれた酒(下り酒)の70~90%はこの地域で造られたものだったとか。明治時代に入り解散、やがて今津郷・西宮郷・魚崎郷・御影郷・西郷(現在の西宮市・神戸市東灘区・灘区)は灘五郷として日本酒の名産地になり、現在でも日本酒出荷量のシェアが25~27%あるそうです。

2.灘五郷発展の理由

灘五郷の酒造り発展には次の点が考えられるそうです。

(1)宮水の存在
1840年頃に現・櫻正宗の山邑太左衛門が発見したもので、酒造りには理想的な、ミネラル分が多く鉄分がほとんどない水があったこと。


白鷹禄水苑から徒歩約3分の場所にある「宮水発祥の地」の石碑

(2)優良な酒米
灘五郷の北にある吉川村(現・三木市吉川町)などと、古くから作った米を全量買い取るという村米制度(現・契約栽培)を行ったこと。奨励金を出してさらに米の改良に努め、1936年の「山田錦」の誕生につながっていったそうです。

(3)樽廻船
海岸近くに蔵があり、江戸までの運搬に4斗樽だけを積み込む樽廻船を利用し大量輸送ができたこと。また、運搬日数の短縮をはかり、1790年には西宮から江戸まで58時間で到着した記録も残っているそうです。

(4)丹波杜氏
近隣の丹波篠山地方から出稼ぎで酒造りに来る丹波杜氏の技術が高かったこと

(5)六甲山
六甲山系から流れる急流を利用して水車精米を行い75%という高精白(当時の足踏み精米では90%が限界)の精米ができたこと、また冬に山から吹き下ろす六甲颪(ろっこうおろし)の寒気で酒造りの温度コントロールがしやすかったこと。

御影郷にある菊正宗酒造記念館に復元展示されている精米水車小屋。

白鷹の酒造りは90%以上が生酛造り

白鷹は冬季だけ酒を造る「寒仕込み」を行い、醸造の90%以上が生もと造りだそうです。また、創業以来、一度も他のメーカーから酒を買い取ること(桶買い)がなく「灘の生一本」を貫いています。創始者・辰馬悦蔵の「超一流主義に基づき、数量を追うことなく、品質を追うこと」という信条を受け継いでいるそうです。

講義のあとは質疑応答の時間。

Q.「白鷹の酒は何日くらいかけてできるのか」
A.「宮水は酵母の栄養となるミネラル分が多いので発酵が進みやすく、約20日でできます」

ほかにも「生酛と山廃の違いは」「生酛だと味はどう違うのか」など、予定時間をオーバーするほど活発に質問があがりました。

「白鷹集古館」の見学と試飲

講義のあとは、昔ながらの酒造りの道具や酒器・資料などが展示されている「白鷹集古館」の見学です。

入館は無料で自由に見学できます。(開館時間11:00~18:30、第1・第3水曜は定休日)

見学のあとは、いよいよ「白鷹」の試飲。2種類の酒がショップで販売されている珍味・酒肴とともに用意されています。

今回は
「生もと・特別純米 金松 白鷹」山田錦/精米歩合70%/アルコール分16~17度/720ml/1,134円(税込)
「生もと・吟醸純米 超特撰 白鷹」山田錦/精米歩合60%/アルコール分16~17度/720ml/1,620円(税込)
の2種類でした。

飲み始めると、近くの席の方と「どっちが好き?」「燗にした方が味がのってくるのでは」などワイワイ盛り上がって、参加者の間で交流が深まり、あっという間に閉校時間…。

帰りにはお土産まで。

「白鷹 御神酒」精米歩合70%/アルコール分15~16度/180ml/324円(税込)

もう少し飲みたいので、白鷹禄水苑ショップの一角にある「立ち呑み処」へ。

禄水苑おすすめの蔵出し原酒が約60ml・200円(税込)で楽しむことができました。種類は定期的に変わるそうです。

「西宮日本酒学校2016」第3回は、1月25日に大関株式会社にて開催される「大関きき酒道場」です!

(文/天田知之)

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天田知之

大阪市在住、2013年灘の酒大学卒、日本酒指導師範(菊正宗酒造)。 2005年に飲んだ奈良県の酒に感動し、再び日本酒にどっぷり。 古寺や歴史的建造物、古民家を見るのが趣味であちこちに出かけては酒蔵を巡っています。 勝手に選んだ「近畿100酒蔵御酒飲巡り」を実施中。