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日本酒のアルコール添加について

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こんにちは、SAKETIMESライターの山口直樹です。

普段は北陸・新潟の日本酒と食材にこだわりぬいたお店「方舟」にて飲食店の現場に立っています。

さて、今回は日本酒のアルコール添加について考えていきたいと思います。

 

アル添酒は世界では評価されないって本当?

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最近では、アルコール添加した吟醸酒や本醸造は世界の酒市場では認められないというような論調も見られますが、より正確に言うならば「同じカテゴリーとしては認められない」ということであって、酒それ自体が評価に値しないという意味ではないと僕は思っています。

ワインの基準が世界的な基準になっていることを考えれば、ワインの世界で、フレーバー・ド・ワインやフォーティファイドワインとカテゴリーを分けて評価しているように、日本酒の世界でもアルコール添加を同一の「清酒」としないでカテゴリーを分けて表示すべきだというのがグローバルな考え方だと思います。

 

アルコール添加の目的とは

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戦後まもなく、米不足の状況から、アルコールや糖類・酸味料などを添加することによって、度数を高め、割水の量を増やすことで販売量を増やす「三倍増醸酒」が世に出回ったのは過去の事実です。それによって、アルコール添加に負の歴史認識が与えられていることは間違いないでしょう。

これを否定するために、現代はそんな時代ではないと完全否定する場合も有ります。その場合、主なアルコール添加の目的は香気成分を軽快にし、キレを良くして後口が良くなるようになどと考えるのが一般的ですが、僕は現代においてもアルコール添加が製造コストの削減の意味を担っているというのは隠す必要のない事実だとも考えています。
経済的に一般家庭で、毎日、純米大吟醸を飲むことは中々出来ることでは有りません。日本酒文化を地域に根付かせるという意味あいで、コストを抑えた普通酒が担う役割はこれからも大きいのではないかと考えます。

もう一つの可能性

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前項でも述べたように香りを高める、普段飲み出来るお酒を造るというのはアルコール添加の重要な目的だと思います。
そういった中で、僕が考えるアルコール添加のもう1つの可能性は「熟成酒」「ヴィンテージ日本酒」です。
フォーティファイドワインの中でも有名な「シェリー」「ポート」「マデイラ」はこの領域に入っています。普段のみできるドライタイプのシェリーも有れば、酒精強化することで割と安価に作り出すことが出来るデザートワインの生産も盛んです。更にこれらに共通していえることは長期熟成に耐えられるということです。

酒精の強化や糖分を多めに残すことなどが安価にできるということは熟成に向くお酒を低コストでつくれるということになります。
ボルドーの最高級ランクのヴィンテージワインに比べ、シェリーのヴィンテージワインは物によっては10分の1以下の価格で流通していることは非常に興味深いです。
贈り物として、どうしても誕生日ヴィンテージのワインを用意したいときでも、通常のワインから探すよりも酒精強化ワインから探した方が安価で、品質がほぼ間違いなく保証されると言えるかと思いますのでオススメです。

シェリー生産者がこの状況に甘んじていることを良しとしているわけではないと思いますが、価格は市場の評価で客観的な事実かと思います。
これを逆手にとって、コストを抑えて生産した酒精強化日本酒がヴィンテージ日本酒として日の目を見ることがあってもいいのではないでしょうか?

お誕生日のお祝いや大切な記念日に、思い出の年のヴィンテージ日本酒を今より気軽にプレゼントできる世界になっていたら、日本酒の文化が現代社会にも浸透していると言えるのではないでしょうか?
皆さんもさまざまなタイプの日本酒をどのようなシチュエーションで、どのように飲むかによって選択しながら楽しんでいただければ幸いです。

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