新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、全国的に外出の自粛が呼びかけられています。そんな中で、未曾有の被害を受けている外食産業。自主的に営業時間の短縮や休業を決断する飲食店も少なくありません。
通常営業ができずに資金繰りに不安を抱える飲食店が利用できそうな支援策と各種サービスをまとめました。
※この記事は緊急事態宣言の発令直後、4月8日に作成したものです。情報は刻一刻と変化していますので、各ホームページや窓口にて最新情報をご確認ください。
※5月8日にサービスを追記しました。
どのような支援策があるのか調べるには?
1月29日より経済産業省が開設している「新型コロナウイルス感染症関連の支援策」に関するページでは、政府系の融資や助成制度など資金繰りに関しての支援策を紹介しています。
保証協会の保証付き融資をご検討されている方、政府系金融機関の融資をご検討されている方、補助金をご検討されている方、雇用調整助成金をご検討されている方、専門家による経営支援をご検討されている方などは、まずは下記のパンフレットをご確認ください。
各支援策では対象者の要件緩和や金利引き下げ等が行われることもあります。くわしくは相談窓口から専門家にご相談ください。
中小企業・小規模事業者向けの補助金申請や事業支援のサポートを目的とした経済産業省のWebサイト「ミラサポplus」では、補助金の電子申請をサポートする機能も備えており、相談窓口と併用するとスムーズに進行できます。
「雇用調整助成金の特別措置」と「特別利子補給制度」とは?
政府系の数ある支援策の中から、飲食店が特に利用できそうな2つの制度を紹介します。
雇用調整助成金の特例措置
雇用調整助成金は、従業員を一時休業させたり、教育訓練を行ったりして雇用を維持した場合に、休業手当や賃金の一部を助成する制度です。4月1日より特例措置が拡大され、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全国の全事業主が対象になりました。事業縮小に関する休業手当などが中小企業で最大90%助成されます。
4月6日にさらに特例措置の拡大を予定している旨の更新がありました。最新情報は厚生労働省のホームページを参照するか、最寄りの都道府県労働局にお問い合わせください。
特別利子補給制度
日本政策金融公庫などの「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、商工中金による「危機対応融資」により、借入を行った中小企業者のうち、条件を満たす場合は利子補給を受けることができ、実質無利子で融資を受けることができる制度です。
- 日本政策金融公庫「無利子化融資について」
- ミラサポplus「無利子・無担保融資(特別利子補給制度)」
- ミラサポplus「無利子・無担保融資(新型コロナウイルス感染症特別貸付)」
- ミラサポplus「無利子・無担保融資(商工中金による危機対応融資)」
売上を事前に確保できる「先払いサービス」を利用するには?
飲食店は、営業自粛や休業をしていても、家賃や人件費などの固定費が発生し続けるため大変厳しい状況を強いられています。そんな飲食店を応援しようとさまざまなサービスがリリースされています。
新しく立ち上がったサービスで特徴的なのが「先払いシステム」です。新型コロナウイルスが収束した後に利用できる未来の飲食代を、事前に支払っていただくサービスです。また、ネットショップやクラウドファンディングサービスを活用することで未来の売上を確保しようとする飲食店も増えています。
グルメアプリ「キッチハイク」
株式会社キッチハイクが始めた「#勝手に応援プロジェクト」では、キッチハイクのサイト上で、数ヶ月後まで利用可能な「チケット(食事券)」を販売し、飲食店を応援したいお客様がチケットを購入することができます。
参加店やプロジェクトの状況は、Twitterのハッシュタグ「#勝手に応援」から確認することができます。
レストラン予約代行サービス「AutoReserve」
レストランの予約代行サービス「AutoReserve」が、先払い予約機能をリリース。飲食店は先払い予約のお客様のために少しお得な割引料金のメニューを用意し、予約が確定次第、すぐに決済されます。
ネットショップ開設「STORES」
自店舗のネットショップを立ち上げられる「STORES」では、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を対象に最大2ヶ月分のスタンダードプランの無償提供と専属スタッフによる開設支援の取り組みを開始することを発表しました。販売予定だった在庫の販売や、オリジナルグッズの販売などに活用できます。
ECサイト開設プラットフォーム「Shopify」
世界シェアNo.1のECサイト開設サービス「Shopify」は、新型コロナウイルス感染症への対応として無料トライアル期間を90日間まで延長する、コミュニティーフォーラムを設けるなど、様々なサポートを始めています。
クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」
インターネットで資金調達をできるクラウドファンディングサービスを展開する「CAMPFIRE」は、支援金振込時に掛かるサービス手数料が無料となる「新型コロナウイルスサポートプログラム」を開始いたしました。
予約キャンセルが相次ぎ来店客数が著しく減少した飲食店舗や宿泊施設などをはじめ、経営に大幅な支障をきたした事業者が、このプログラムを利用し、さまざまなプロジェクトが生まれています。
飲食店向けサブスクシステム「favyサブスク」
食マーケティング総合企業の株式会社favyは、飲食店向けサブスクシステム「favyサブスク」のデポジット機能を新たにリリースしました。デポジット機能とは、定額で飲食代金等を予め支払いしておくことで、将来的にその権利を利用することができる機能です。
新型コロナウイルス感染症の拡大による店舗運営への影響を考慮し、経営に大幅な支障をきたしている店舗を対象に、「favyサブスクシステム」の無償提供を5月末まで行っています。
「テイクアウト販売」や「デリバリー販売」を始めるには?
通常営業ができないため、独自にテイクアウト販売を始めるお店も増えてきました。しかし、外出自粛の現状で認知を広めるには、SNSでの情報配信やプラットフォームへの掲載が必要不可欠です。ここでは、それらのサービスを一部紹介いたします。
未開封の酒類を販売する際には「一般種類小売業免許」が必要となりますが、国税庁では、新型コロナウイルス感染症に関連して飲食業界が大きな影響を受けていることを受け、一般の酒類小売業免許とは別に、新たに「期限付酒類小売業免許」を設けました。この免許は、在庫酒類の持ち帰り用販売等に限り免許付与から6か月間の期限が付されている限定のものです。(「期限付酒類小売業免許」の詳細については、SAKETIMESで追って記事化する予定です)
また、テイクアウト販売を行う場合、たとえば、ケーキや菓子類には菓子製造業やアイスクリーム類製造業の許可が、ハムやソーセージは食肉製品製造業の許可が必要となる場合があります。テイクアウト販売、デリバリー販売を始める前に、事前に管轄の保健所にご確認ください。
予約顧客管理システム「TableSolution」
株式会社テーブルチェックは、「テイクアウト」「デリバリー受付」「前売り応援プラン」の新サービスをリリースし、2020年9月末まで期間限定で初期費用・月額費用・注文手数料すべて無料で提供開始しました。
24時間自動で予約受付が可能な「テイクアウト」、全国の食卓から注文を受け付けられる「デリバリー受付」、お店とファンを感謝で繋ぐ「前売り応援プラン」は、申し込みから最短1営業日で利用開始が可能。さらに、事前決済機能や予約プラットフォーム「TableCheck」への無料掲載といった集客支援を含め、"今すぐ"対応が必要な飲食店を支援しています。
料理宅配サービス「Uber Eats」
アプリを使ってお気に入りの料理を簡単に取り寄せることができるデリバリーサービスです。サービスエリアも順次拡大中です。
料理宅配サービス「楽天デリバリー」
全国12,000以上の店舗から簡単に出前・宅配のオーダーができるサービスです。自社配送システムがあります。
定額制テイクアウトアプリ「POTLUCK」
月額定額制でさまざまなお店の料理を、昼夜1日2回、月額定額制でテイクアウトできるサービスです。現在は、渋谷区・港区を中心に展開しています。
モバイルオーダー&ペイアプリ「PICKS」
現在地周辺から簡単にお店が見つけて、受け取りたい時間を指定し、アプリ内でラクラク簡単に事前注文・決済を済ませることができるテイクアウトサービスです。渋谷・六本木エリアの飲食店の登録が多めです。
フードシェアリングサービス「TABETE」
まだおいしく食べられるけれど、閉店時間や賞味期限などの理由からお店が捨てざる得ない料理を手軽にレスキューできるサービスです。
上記、「POTLUCK」「PICKS」「TABETE」のテイクアウトサービス3社は連携し、プラットフォームの垣根を越え、テイクアウトでの飲食提供を行う飲食店の認知獲得を支援する取り組みを開始ししています。Twitterで「#テイクアウトしよう」とハッシュタグを付けてお店やテイクアウトメニューの紹介を投稿すると、各社の公式Twitterアカウントが拡散するという仕組みです。
店舗情報を表示できる「Google マイビジネス」
「Google検索」と「Googleマップ」に無料で店舗情報を掲載できるサービス「Googleマイビジネス」では、「臨時休業中」や「テイクアウト可能」「宅配可能」など、店舗の最新情報を表示できるように機能が拡大されました。これにより、たとえば、Googleマップで宅配サービスができる近隣の飲食店をマップ上で検索できるようになります。
レストラン検索・予約サイト「食べログ」
「食べログ」内にオープンした「テイクアウトができるお店」特設サイトでは、食べログ店舗準会員であればテイクアウト情報を掲載することができます。食べログ店舗準会員への登録、およびテイクアウト情報の掲載は無料です。
実名口コミグルメサービス「Retty」
日本最大級の実名口コミグルメサービス「Retty」でも、飲食店検索で店舗ページでのテイクアウトやデリバリーの情報掲載ができるようになりました。
Facebookグループ「#コロナフードアクション コロナに負けるな!! 飲食店応援ページ」
飲食関係者を中心となって、約1万5千人が参加するFacebookグループが立ち上がりました。こちらではテイクアウトやデリバリーなど飲食店の宣伝からニュースなどの情報交換が盛んに行われています。
新型コロナウイルスに対する衛生対策
新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐためには、外食産業に携わる人々の健康管理と各店舗の衛生管理の徹底が必要不可欠です。
衛生対策に対しては、日本フードサービス協会が発表している衛生対策が参考になります。
従業員に新型コロナウイルス感染者が発生した場合は、農林水産省が発表しているガイドラインが参考になりますのでご確認ください。
SAKETIMESは、日本酒産業をはじめ、飲食店業界のみなさまがこの苦境を乗り越えられるよう、メディアの立場から支援につながる取り組みを続けていきます。
(文/SAKETIMES編集部)