酒屋へ行くと、ひやおろしが並んでいる光景を目の当たりにする季節がやってきました。ほどよく熟成が進んだ、呑み頃のお酒たち。今回はそのなかから、愛知県・丸石醸造の「萬歳 純米酒 六割磨き ひやおろし」を選びました。

本日のお酒は「萬歳 純米酒 六割磨き ひやおろし」

萬歳 純米酒 六割磨き ひやおろし

「萬歳」は、愛知県岡崎市中島町で栽培された米の名前です。天皇即位の儀式で使用されたという由緒ある米なのだとか。およそ100年前に栽培が途絶えてしまいましたが、県の農業総合試験場に種籾(たねもみ)が保管されていることを知った地元の農家が栽培を再開。有志の方々が取り組んでいる地域活性化事業のひとつとして、その萬歳を使った清酒を製造しようと、丸石醸造に依頼したのだそう。

見事な復活を遂げた米で醸された、ひやおろしを味わいましょう。

「萬歳 純米酒 六割磨き ひやおろし」と、それが注がれた酒器

ヨーグルトを思わせる爽やかな酸味のある香り。口に含むと、まろやかさが広がります。中盤にボリュームが出てきて、しっかりとした酸味やふくよかな旨味、さらにコクと甘みが感じられました。終盤に苦味が加わり、酸味と旨味が相まって、バランスの良い味わいのままフィニッシュ。呑み飽きしない、実に良いお酒ですね。

おつまみとして、旬の秋刀魚を合わせます。

焼き秋刀魚の薬味のせ

<材料> 2人分

  • 秋刀魚 1尾
  • 塩 少々
  • 醤油 少々

(薬味・分量は目安)

  • ししとう 5本
  • みょうが 3個
  • 生姜 2かけ
  • ねぎ 3センチ
  • 食用菊 2個

刻まれた薬味(ししとう、みょうが、生姜、ねぎ、食用菊)

1. ししとうを輪切りにし、菊はガクを取る。ミョウガや生姜、ねぎは細く切る。

2. 水にとって、水気をよくきる。

材料が余ったときは、冷奴にのせたり、刺身に添えたりしても美味しいですよ。スープに入れてもOK。

<作り方>

1. 秋刀魚を3枚に下ろす。

3枚に下ろされた秋刀魚

2. 塩を振って、グリルで両面を焼く。

3. 醤油をさっと塗って、香りが出るように1分ほど焼く。

焼いている秋刀魚に醤油を塗っているところ

4. 食べやすい大きさに切り分けて、薬味をたっぷりのせる。

焼き秋刀魚の薬味のせ

青魚の旨味や醤油のコク、そして目にも美しい色鮮やかな薬味がさまざまな風味を生み出す一品です。

「萬歳」はどんな料理にも合わせやすい万能選手でした。特に生魚や青魚と合わせると、クセを流してくれるので、魚の旨味だけが口に残ります。麹由来の甘い香りに醤油の香ばしさが加わって、日本酒の味わいもアップ。香味野菜の爽やかな風味と「萬歳」の酸味で、後味はきれいな印象です。

いつまでも呑み続けたいお酒、そして箸が止まらなくなるおつまみ。この組み合わせで秋の夜長を楽しんでください。

(文/まゆみ)

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