地下鉄の南海なんば駅から、なんば千日前通り商店街を抜けると、通称「ウラなんば」と呼ばれる、個人経営の小さな店を中心とした飲食店街が広がります。
サクッと飲んで次の店へ行く"ハシゴ酒"を楽しむ人が多いこのエリアで、ひときわコンパクトなのが「酒・兵吾」です。ハシゴ酒でウラなんばを一周して、また戻ってくるお客さんも多いという人気店。その魅力を探っていきましょう。
とってもコンパクトな立ち呑み屋
店の入口には、大きな提灯と「風の森」のタペストリーが掲げられています。店内はスタンディングのカウンターのみで、8人も入れば満員。コンパクトな店ですが、開店の14時から続々とお客さんが来店します。
酒肴には強いこだわりがあるようで、店主やスタッフが試作を繰り返しながらメニューを作っています。
おすすめは、開店当初から提供しているという「鯛いりうにまぶし」(400円)。
パウダー状のウニを鯛にまぶしたシンプルな一品。さっぱりした鯛と濃厚なウニがどんな相性なのか、半信半疑にいただきましたが、思わず感心してしまいました。パウダー状のウニが、鯛の淡白な味わいを良く引き出してくれます。
続いては、人気の高い「焼きみそ」(400円)です。
鴨ミンチ・椎茸・クルミ・白ネギ・甘みそを秘伝の量で混ぜ込んでいます。注文を受けてからしゃもじに載せて焼き上げてくれるのがうれしいですね。濃厚なようでサッパリとしている不思議な味でした。これだけで、何杯も飲めてしまいそうです。
こちらの「いちじくバター」は女性に大人気。
さっぱりとした上品な甘味があるイチジクと、口当たりのなめらかなバターが絶妙のハーモニーを奏でます。
店主が惚れ込んだ「風の森」のみで勝負!
こだわりの肴に合わせて提供される日本酒は、奈良県御所市の油長酒造が醸す「風の森」。2011年の開店当初から「風の森」しか置いていないというこだわりようです。
生酒の良さを味わってほしいという思いから、開栓した日、もしくはその翌日に飲み切ることができるように、あまりたくさんの種類や量を置かないと決めているとのこと。今では、大阪で「風の森」が飲める店というと、真っ先に「酒・兵吾」の名前が出てくるほど、浸透しています。
従来は3種類の「風の森」を置いていたのですが、現在は1種類のみ。第二の「風の森」に出会うべく、全国の酒を飲み比べているそうで、近い将来、新しい銘柄を置く日が来るかもしれません。
こだわりの酒とこだわりの肴、コンパクトな店に店主の思いがあふれている「酒・兵吾」を出発点に、ウラなんばでハシゴ酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(文/天田知之)
◎店舗情報
- 店舗名:「酒・兵吾」
- 住所:大阪府大阪市中央区難波千日前3-1
- アクセス:地下鉄 近鉄日本橋駅から徒歩約4分
- 営業時間:14:00~22:00 (L.O.21:30)
- 定休日:不定休
- 席数:8席(立ち呑み)、全面喫煙可
- 電話番号:070-5509-4500