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「火入れ」と「生酒」とは?【わかりやすい!すぐに話せる!日本酒用語解説】

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「わかりやすい!すぐに話せる!用語解説」シリーズ第5弾。今回は、日本酒のラベルで目にすることが多いけれど、実はその違いがわかりづらい「火入れ」と「生酒」についてご説明します。

「火入れ」と「生酒」はセットで覚えよう

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日本酒の用語は普段なじみのない専門的な言葉ばかりです。特に日本酒ができるまでの工程は複雑で、一度聞いただけではすぐにイメージできないことも多いでしょう。

今回のテーマの「火入れ」と「生酒」は、日本酒の質を保つための「加熱処理」に関わる言葉です。

そもそも日本酒は原料である米、麹、水を使って、発酵させることで造られます。そこでできた液体は「醪(もろみ)」というどろっとした白濁の状態で、これを搾ることで日本酒となります。

搾った日本酒は瓶に詰めて出荷されますが、製造工程のなかで通常2回の加熱処理を行います。これを「火入れ」と呼び、火入れの回数やタイミングによって「生貯蔵酒」や「生詰」と呼ばれることもあります。逆に、搾ったお酒に加熱処理を加えず、生のままで出荷される日本酒のことを「生酒」と呼びます。

「火入れ」をするのは何のため?

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「火入れ(加熱処理)」は、なぜ必要なのでしょうか?

それは日本酒を一番美味しい状態で味をキープし、保存期間を長くするためです。

「よし、今が一番おいしいときだ!」と搾っても、残っている酵素は「まだまだ発酵させるぜ!」と言わんばかりでアルコール発酵を続けています。

そう、日本酒は生きているんですね。瓶のなかでも変化が続いていると、私たちの手元に届くころには美味しい飲みごろを過ぎてしまうこともあります。

特に日本酒が一般的に親しまれるようになった江戸時代には冷蔵庫はありません。温度変化によって品質が変化してしまうこともしばしば。そうなれば、せっかく造ったお酒も台無しです。

そのため、 日本酒の品質を変化させてしまう発酵を止めるために、搾った直後と出荷の前に2回、加熱処理を行うのです。これが「火入れ」です。こうすることで、お酒の味は安定し落ち着きます。

「生酒」
というのは、加熱処理を行わないお酒です。品質は変わりやすいですが、生酒にしかない特有の味わいやフレッシュなみずみずしさが特徴です。品質を損なわないように冷蔵・瓶詰・運送の技術が発達した現代だからこそ、どこにいっても多くの生酒を飲めるようになったのです。

味の違いを”りんご”で例えると

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では、「火入れ」「生酒」、味わいはどのように違うのでしょうか?

例えるなら、"りんご"です。りんごは、生のまま食べても美味しいですが、焼きりんごやコンポートのように加熱してもおいしく食べられる果物です。日本酒の生酒と火入れもこれと同じです。

生酒の味わいは、収穫したばかりのもぎたてりんごを丸かじりした状態と思ってください。甘さと酸味があってフレッシュ、みずみずしくて口の中いっぱいに果汁があふれます。

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火入れした日本酒は、鍋の中でコトコトと煮詰めたりんごを思い浮かべてみましょう。もぎたてのりんごのようなフレッシュさはなくなりますが、酸味が落ち着き、しっとりしとした甘みが広がります。口当たりもなめらかになり、他の食材との相性が抜群に良くなります。

このように、「生酒」と「火入れ」には、それぞれに異なった良さがあります。

ラベルでの見分け方

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「生酒」の場合は、必ず瓶に「生酒」「本生」「生々」などの記載があります。対して「火入れ」した日本酒には、記載がある場合と全く何も書いていない場合があります。かつては日本酒といえば火入れ酒しかなかったことがその理由です。

知ることで楽しくなるのが日本酒の素晴らしいところ。ぜひ日本酒を購入する際には、ラベルと味のイメージを思い出しながら選んでみてください。

(文/sake_shin)

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sake_shin

「お手本になる、日本酒生活」をテーマに、 ウェブサイト・ブログにて、伝わりやすい日本酒・グルメ情報を発信。 また日本酒を媒介に自身の感性を磨くイベント【ITADAKI sake&sense】など各種イベントを開催。 第3回・4回世界唎酒師コンクールセミファイナリスト。日本酒学講師・唎酒師。

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