小仕込みと花酵母にこだわり

sake_amabuki3 (1)

元禄年間(1688年~1704年)創業という300年以上もの歴史を誇る蔵。天吹の名前の由来は蔵元所在地の北東にある天吹山にちなみ名づけられました。天吹の特徴は最大600キロ小仕込みと、何と言ってもほとんどの銘柄に花酵母を使用していることにあります。花酵母で醸す酒蔵は続々と増えてきていますが、ここまで花酵母にこだわりを持つ蔵は同蔵と「来福」を醸す来福酒造(茨城県)ぐらいしか、筆者には思い当りません。

劣化しにくく熟成にも向く花酵母

花酵母は東京農業短大の醸造学科・中田久保氏が個性豊かで特徴ある酵母を分離することを目標に、自然界に咲く花々から優良酵母を分離することに成功しました。花酵母の特徴は、やはり華やかでフルーティーな香りでしょう。

ですが、その味わいとは裏腹に、清酒の醪から培養されてきた酵母と違い、自然の花弁から分離されているので、基本的には野生酵母と言えます。そのため酵母の生命力が非常に強く、酒自体も劣化しにくいと言われています。その意味で、熟成させて楽しむこともできるでしょう。

天吹酒造も平成10年頃から花酵母での醸造に取り組み、アベリア、いちご、月下美人、コスモス、シャクナゲ、ツルバラ、ナデシコ、ヒマワリ、ベゴニア、マリーゴールドなどの花酵母で醸造しています。

アベリア酵母で醸した金賞受賞酒

sake_amabuki2 (1)

この裏大吟醸は、アベリア酵母を使用し、酒造好適米「愛山」を40%まで磨いています。アベリアの花言葉は「謙譲」。酵母の特徴は果実のように甘くフルーティーな香りと後口の切れ味です。良い意味で派手さのある愛山との相乗効果で、華やかな香りと山田錦以上のふくらみを感じ、まろやかでセクシーな味わいを楽しめ、最後は大吟醸らしい切れ味が魅惑的な味わいを引き締めてくれます。

平成26年度には全国新酒鑑評会の金賞を受賞し、5年連続受賞の快挙を成し遂げています。26BYの金賞受賞酒の一升瓶は蔵元完売となっています。

日本酒の魅力を、すべての人へ – SAKETIMES