ワン&オンリーの革命蔵

仙禽といえば上質な甘味(日本酒度マイナス)と重層的な酸味(酸度2.0以上)が混然一体となって押し寄せる「甘酸っぱい」お酒として、日本酒ファンの間には定着していると思います。日本酒というよりワインにも似たフレーバーで、洋食にピッタリの個性派です。蔵元の若き兄弟が毎年新しい試みに挑戦し、ワン&オンリーを地で行く蔵元と言えるでしょう。

今回ご紹介の生酛は、酒米「亀ノ尾」にこだわる蔵元の詰まった1本と言えます。

甘味と酸味のマリアージュ

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仙禽は江戸後期の1806年(文化3年)に創業された老舗蔵ですが、現在の革命とも呼べる新しい取り組みを始めたのが、蔵元の長男・薄井一樹氏が2008年に「株式会社せんきん」を設立、その新会社に事業譲渡を行ってからでした。甘味と酸味のマリアージュを追求し、山廃・生酛造りには、ゆっくりと発酵し、深い味わいになると言われる木桶仕込みを導入するこだわりよう。

また、地元さくら市の仕込み水、同じ水系で栽培した酒米を使って酒造りを行う、ワインでいう「ドメーヌ」にも注力しています。

こだわりの亀ノ尾生酛

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クラシックシリーズは、原酒でありながら、アルコール度数は14、15度台に抑えられ、濃醇ながら呑みやすくなっています。上槽後3日以内に瓶火入れを行っています。亀ノ尾は蔵がこだわってきた酒米であり、全国新酒鑑評会にも亀ノ尾の純米大吟醸酒を出品し続け、2011年には金賞を受賞しています。この蔵らしく、生酛とは思えないきれいな味わいです。

乳酸由来の酸とコクも感じますが、あくまでも「甘酸っぱい」スイートでなめらかな、仙禽ワールドが口中で奏でられます。とはいえアルコール度数も低いだけに、冷やはもちろん常温やぬる燗でユルユルと呑め、仙禽の中では最も和食にも合わせやすいでしょう。

 

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