10年以上前から、日本の音楽カルチャーをフランスに広める仕事をしている現地企業「Closslight(クロスライト)」のグザビエ氏は、新たなファンの獲得を目指し、昨年9月より、生演奏を聴きながら日本酒を愉しむことができる「MUSIC×SAKE」というプロジェクトを始動しました。

このイベントに確かな手ごたえを感じたグザビエ氏は、2017年にさらなる新プロジェクトをスタートさせます。その名も「SAKE CORNER」

ライブハウスで開催される「MUSIC×SAKE」に対し、若者にとって憩いの場であるバーで開催される「SAKE CORNER」は入場無料。生演奏の代わりに日本のアーティストの音楽を流すことで、より多くの人々が気軽に音楽と日本酒を楽しめるイベントを目指しました。

音楽とともに楽しんだ、初めての SAKE体験

2017年2月23日、第1回「SAKE CORNER」が開催されると聞き、会場であるパリ11区の音楽バー「Planete Mars」へと向かいます。

店内に足を踏み入れると、法被に身を包んだ陽気なマスターが迎え入れてくれました。

「SAKE を取り扱うのは初めてだけど、テイスティングをしたら想像以上に飲みやすくて驚いたよ。今日は SAKE を使った特別なカクテルも用意しているから、楽しんでいってくれ!」と、マスターの気合もじゅうぶん。

参加者は SAKEファンや音楽ファンだけでなく、バーの常連やディナー前の待ち合わせでやってくる方など、グザビエ氏の目論み通り、いろいろなお客様がやってきます。

本日の特別ドリンクメニューを見ながら「何を注文しようか?」と迷う、地元フランス人のお客様。

迷った末に、にごり酒を注文されたようです。

メジャーカップを使用し、にごり酒を慎重に注ぎいれるマスター。店内では多くの人が初めての SAKE体験を楽しんでいました。

最初はコーラを飲んでいたお客様。友人が頼んだ SAKE を一口飲んで「おいしい!」と一言。2杯目にはしっかり、SAKE を注文していました。

こちらのお客様が楽しんでいたのは、マスター特製の SAKEカクテル(左)と「松竹梅 白壁蔵 大吟醸無濾過原酒」(右)。感想を聞くと「C'est trop bon! (とっても美味しい!)」と笑顔で答えてくれました。

私も SAKEカクテルをいただきました。「松竹梅 白壁蔵 生酛純米」をベースに、レモンジュースとミントフレーバーを加えた特製カクテルです。日本酒の香りをほのかに残しながらも、さわやかですっきりとした味わい。日本酒ビギナーにも安心して勧められる一杯に仕上がっていました。

店内では、日本のアーティスト「in FAM step」「OBATALA SEGUNDO」「楢木栄一郎」の音楽が流れ、心地よい空間が演出されていました。一般公開前の新譜を聴けるとあって、音楽ファンも大満足。洗練された音楽を耳にしたお客様からは「日本にこんなアーティストがいるなんて知らなかった!」と、驚きの声も上がっていました。

音楽と SAKE、ふたつの新しい体験が同時にできるなんてお得感満載の夜。午後10時を回った店内は、ほろ酔い気分の幸せな笑顔であふれていました。

日本文化との掛け合わせで SAKE の魅力を発信

「音楽ファンを SAKEファンに、SAKEファンを音楽ファンに」を合言葉に新たなプロジェクトを進めるグザビエ氏。これからの計画をうかがいました。

-今後も音楽と日本酒のコラボレーションイベントを続けますか?
もちろん!昨年度よりスタートした「MUSIC×SAKE」は、今後も定期的に開催していきますよ。パリだけでなく、4月にはリヨン(フランス南東部)での開催も予定しています。フランスだけでなく、スペインやイギリスなどでも積極的に開催していきたいですね。

「SAKE CORNER」は、毎月1回のペースで開催します。最初は認知度が低くても、定期的に開催することでファンを増やすことができるのではないでしょうか。大切なのは続けること。継続は力なり!です。

-今後の展開が楽しみですね!
日本の音楽も SAKE も、まだ体験したことのないフランス人がたくさんいます。私たちの強みである SNS を活用した情報提供やイベント告知などを通じて、音楽と SAKE の相乗効果で多くのファンを獲得していきたいですね。

-SNS といえば、Facebook で SAKE のファンページを開設したとか?
フランス語ユーザーのために、「Taste Of Sake」という Facebookページを開設しました。我々が関わっているイベントだけでなく、SAKE に関する様々な情報を発信していきたいですね。ぜひ、いいね!やシェアをお願いします。

日本酒だけをプロモーションするのではなく、さまざまな日本文化と組み合わせて提案することで、可能性は大きく広がります。グザビエさんの挑戦はまだ始まったばかり。今後も、新たなコラボレーションが生まれることを期待しましょう。

(文/SAKERINA)

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