バルセロナと言えば「サグラダ・ファミリア」や「グエル公園」など、人気の名所がたくさんあるスペイン屈指の観光都市です。近年では日本食、とくに寿司のブームが到来し、現在250店以上もの日本食レストランが存在するとか。日本人経営のお店はその1割にも満たないものの、スペイン人や中国人のオーナーによる新規レストラン出店は、加速的に続いています。
そんな日本食フュージョンレストランのひとつで、スペイン人のオーナーが経営する「MATSURI」にて2016年12月に開催された、日本酒のペアリングディナーイベントに潜入してきました!
雰囲気のあるゴシック通りにたたずむレストラン「MATSURI」
歴史溢れる旧市街・ゴシック地区。迷路のような小路の先に、レストラン「MATSURI」はあります。
ワクワクしながら扉を開けると、浴衣に身を包んだスペイン人スタッフが、にこやかに迎え入れてくれました。
余談ですが、スペイン人の夕食は午後9時頃がスタンダード。日本では信じがたい話ですが、ほとんどのレストランがオープン時間を夜8時半に設定しています。
午後9時を回った店内。ペアリングディナーを楽しみに市内外からやってきたスペイン人のお客様でにぎわっています。
日本酒でKAMPAI!
「MENÚ SALVAJE (ワイルド・ディナー)」と銘打った本日の特別コース。
- ウェルカムドリンク: スパークリング清酒「澪」とザクロジュースを使用したオリジナルカクテル
- 前菜1: アラスカ産天然サーモンとイクラを使用した寿司・タルタル × 「松竹梅クラシック 純米」(冷)
- 前菜2: アラスカ産天然サーモンの刺身風・ポン酢ソース・昆布添え × 「松竹梅クラシック 純米」(燗)
- 前菜3: オーストラリア産ヒラマサのセビッチェ × 「松竹梅クラシック 純米」(冷) 「松竹梅 白壁蔵 大吟醸 無濾過原酒」(冷)
- メインディッシュ:アラスカ産天然銀ダラの味噌焼きと野菜のソテー × 「松竹梅 白壁蔵 大吟醸 無濾過原酒」(冷)
- デザート: 抹茶アイス あずき添え × スパークリング清酒「澪」
美味しそうなお品書きに、期待が高まりますね。
「SALUD!」「KAMPAI!」の音頭で、いよいよディナーがスタート。
料理やSAKEの一部をご紹介します。
スパークリング清酒「澪」とザクロジュースを使用したオリジナルカクテル
アラスカ産天然サーモンとイクラを使用した寿司・タルタル
オーストラリア産ヒラマサのセビッチェ
アラスカ産天然銀ダラの味噌焼きと野菜のソテー
抹茶アイス あずき添え
スペイン人による、スペイン人のためのSAKE提案
今夜のディナーイベントを提案した、日本食材卸「COMINPORT」バルセロナ支店長のパコさん(写真左)とセールスのクリスティーナさん(写真右)に、お話をうかがってみました。
- ペアリングディナーを提案するに至った経緯を教えてください。
スペインではSUSHI(寿司)の認知度がすでに高く、多くのスペイン人がSUSHIを中心とした日本食を日常的な食べ物として受け入れています。一方で、SAKE(日本酒)に対しては、間違ったイメージを持っています。アルコール度数が高くて美味しくない飲み物だと思われているのです。
ですから、得意先であるレストランにSAKEの取り扱いを勧めても、多くの場合は断られてしまいます。メニューに載せても、誰からも注文されない上に、お店のスタッフ自身がSAKEについての知識を持っておらず、お客様にお勧めすることができないからです。
日本の食材全般を扱う私たちとしても、SAKEの販売だけに力を入れるわけにはいきません。魚や米をはじめ、他にも提案すべきものはたくさんあります。
そこで、日本酒メーカーや鮮魚卸の方と相談し、日本酒と食材を同時に提案するコラボレーション企画を考えました。
ふだん日本食材のみをお買い上げいただいているレストランに対し、当社の一押しであるアラスカ産の天然サーモンや天然銀ダラとともに、これらの食材に合う飲み物としてSAKEを提案しました。
ペアリングディナーを実施することで、スタッフの日本酒に関する知識を高めると同時に、実際にSAKEを飲んだお客様がどんな反応をするか、その場で確かめることも可能になります。
私たちCOMINPORTにとってはもちろん、日本酒メーカーや鮮魚卸、そして得意先であるレストランにとってもハッピーな、まさしくWinWinWinな企画というわけです!
初めてのSAKE体験は...?
色とりどりの創作料理に合わせ、浴衣姿のスタッフが注いでくれるSAKE。
ディナー中盤では、スペインで日本食普及に尽力する「Comer Japones」代表のROGER氏によるSAKE談義も行われ、みなさん真剣に聴き入っていました。
「日本食は大好きだけれど、SAKEは初めて飲む」というこちらのご家族。
感想を聞くと、「こんなに飲みやすいものとは知らなかった。これからはレストランで積極的にSAKEを飲みたいし、友人にも勧めたい」と話してくださいました。
ちなみに、今回のイベントで一番人気だったのはスパークリング清酒「澪」。日本では、甘口のお酒と聞くとどうしても「女性向け」のイメージを持ってしまいますが、スペインでは男女問わず、フルーティーで甘みのあるお酒が好まれるように感じます。
「前に飲んだSAKEよりずっと美味しい!これだったらお客様にも勧めやすいわ」と、スタッフのみなさんにも大好評でした。
大成功に終わったペアリングディナー。クリスティーナさんは「次回はクラブや豪華客船で、思い切り華やかなイベントを企画したい!」と意気揚々に次の目標を教えてくれました。
これからのスペインにおけるSAKE市場に期待が高まりますね。
(文/SAKERINA)