2021年7月8日、広島県を襲った記録的な豪雨により、河川の氾濫や土砂災害が発生。特に広島市中区と竹原市では、12時間雨量が観測史上最大となりました。
これにより、幸いにも死傷者はいなかったものの、竹原市に蔵を構える藤井酒造が大きな浸水被害を受けました。現在は復旧作業が進み、出荷を再開しています。
藤井酒造の被害状況と今後について
藤井酒造の広報・中川加奈さんに、被害状況と今後についてお伺いしました。
— 被害状況はどのようなものでしょうか。
中川さん:7月8日未明より雨が降り始め、蔵のそばにある用水路が山からの水であふれ、8時ごろから蔵への浸水が始まりました。蔵全体が床上浸水し、水位は高い場所で約90センチほど。2018年7月の西日本豪雨でも床上浸水の被害に遭いましたが、今回の水位はそれよりも高かったです。
コロナ禍の影響で例年よりも在庫が多かったため、西日本豪雨よりも多い、約10,000本の商品が廃棄処分となりました。また、蔵に併設している直売所「酒蔵交流館」の食器や酒器なども被害を受けました。
2020BYに初めて仕込んだ新商品は、瓶詰めが終わって出荷待ちの状態でしたが、9割が浸水。四合瓶が約100本ほどしか残りませんでした。
建物や設備に関しては、お酒や醪を送るためのポンプが5基、壊れました。充填機も壊れてしまい、今は瓶詰めができない状態です。
また、弊蔵は玄関が狭いため、特注の小さいフォークリフトを使用して、お酒や資材の搬入を行っています。そのフォークリフトを、雨が降るたびに避難させるほど大切にしていたのですが、今回は間に合わず、水没してしまいました。
幸い、蒸し場・麹室・酒母室などの仕込み設備は2階にあるため、被害を受けずに済みました。今季の造りを心配する声もいただいていますが、仕込み蔵への影響は少なく、すでに原料米も調達済みです。ご安心ください。
— どのようなご支援が望ましいでしょうか。
中川さん:復旧作業が進み、ようやく出荷が再開することができました。酒販店さまや飲食店さまでお酒を見かける機会があれば、ぜひ飲んでいただけるとうれしいです。
取り扱い店舗(酒販店)は公式ホームページにまとめています。また、オンラインショップもありますので、近くに取り扱い店舗がない場合はご利用ください。
— 出荷・販売に関する予定や、今後について教えてください。
中川さん:コロナ禍の影響で日本酒業界が厳しい状況にもかかわらず、県内の酒蔵さま・酒販店さま・飲食店さま、竹原市のご近所の方々やお客さまが復旧の手伝いに駆けつけてくれました。
さらに、全国の酒蔵や取引先の方々から食料、タオル、消毒液、土嚢袋などの支援物資をいただきました。そのおかげでスムーズに復旧作業を進めることができ、無事に出荷を再開することができました。心より感謝を申し上げます。
ただ、タンク内にお酒はあるものの、瓶詰め設備が故障しているため、すぐに瓶詰めすることができません。そのため、商品によっては出荷をお待たせしてしまうことがあります。また、お酒もしくは資材が被害を受けた数種類の商品については、現在は欠品となっています。ご迷惑をおかけいたしますが、必ずお届けしますので、どうかお待ちいただけますと幸いです。
8月1日からは、「酒蔵交流館」や、酒蔵の中で蕎麦を楽しめる「酒蔵そば処 たにざき」も営業を再開しました。営業時間は月ごとに変わりますので、公式ホームページにて事前にご確認ください。
私たちにできることは、おいしいお酒を造り、みなさまに恩返しをすることです。8月中には全面的に出荷を再開できるよう、現在準備を進めています。蔵人一同、気を引き締めて、おいしいお酒を造れるように精進していきます。
藤井酒造の日本酒を飲んで応援しよう
甚大な被害を受けながらも、力強く前に進む藤井酒造。今後の動きについては、公式ホームページやtwitter公式アカウントを確認してください。
少しでも早い完全復旧を願って、藤井酒造の日本酒を飲んで応援しましょう。
(文・編集:SAKETIMES)