東京からもアクセスのよい長野県佐久市には酒蔵が13蔵あります。そのうちのひとつ、黒澤酒造は、兄が社長、弟が杜氏という兄弟で経営している酒蔵です。

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JR小海線の八千穂駅から徒歩5分にある黒澤酒造では、毎年10月1日「日本酒の日」に蔵開きを行ってきました。これまでは"ファン感謝デー"の意味合いが強く、地元の人と酒を酌み交わす場のようでしたが、今年は土曜日の開催ということもあり、初めて午前中から蔵を開放。入場無料で誰でも蔵に入れる第一部(昼の部)と、例年通り、地元の方との酒宴となる第二部(夜の部)という、2部制で開催されました。

黒澤酒造の全銘柄が試飲できる蔵開き

第一部は入場無料。誰でも蔵へ入ることができます。普段は一般公開されていないので、地元の人にとっても観光客にとってもよい機会ではないでしょうか。

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500円でお猪口を購入すると、なんと黒澤酒造の全銘柄が試飲可能。気に入ったものはもちろんその場で購入できます。蔵で直接手に入れられるため、お酒の状態もよく納得のいく買い物もできるというわけです。

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杜氏・黒澤洋平さんに今年のおすすめをお聞きしました

杜氏の黒澤洋平さんに、今年のおすすめをあげてもらいました。

「全部おすすめなんですけど……」

と前置きもありつつ、強いてあげるとしたら「特別純米無濾過原酒 美醸八千穂」だそうです。田植えから稲刈りまでを体験しその酒米で酒を仕込む、八千穂美醸会の会員限定のお酒。想いのこもった銘柄です。

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こちらがその酒米。粒が大きく、しっかりとしています。

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そして「9630」。初めて低アルコール原酒に挑戦。アルコール13度で呑みやすいのですが、加水していないため"黒澤"らしいしっかりとした味わいでした。

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地元飲食店の屋台や杜氏による蔵案内まで!イベント盛りだくさん

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地元の飲食店が軒を連ねるフードブース。敷地内はとてもにぎやかな雰囲気となっていました。

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杜氏が案内してくれる蔵見学

第一部の目玉になったのは、1時間ごとに行われた黒澤杜氏が案内する仕込み蔵見学。ファンとしてはうれしいことでしょう。参加者から突っ込んだ質問が続出し、酒造りに関心がある方々が多いのだと実感しました。

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黒澤杜氏に感想をうかがうと「県外から来てくださった方も多く、説明の甲斐がありました。ただ、本来は無口なんです。醪の声を聞くばかりで、こちらから話すのは苦手。そのあたりは難しいなと思いました」とのこと。しかし、とてもわかりやすい解説とていねいな回答で、参加者も納得のいく企画だったのではないでしょうか。

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他にも、ブラインドでお酒を当てるきき酒大会など催し物が豊富。カフェスペースでは、蕎麦の販売もされていました。

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特に人気だったのが、しろうり粕漬の詰め放題。これを目当てに来た方も多く、あっという間に完売しました。

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こうして第一部は、県内外から大勢の方々が来場し、大盛況となりました。初の昼開催の感触はどうだったのか、黒澤杜氏にお聞きすると

「うちのお酒、県外ではまだまだ認知度が低いなぁと実感しました。もっと広めていかなければいけません」

と、きっぱり。しかし、今回のこの蔵開きで、かなりアピールできたと手応えはあったようです。あちこちでおいしいという声も聞くことができ、 呑んだ人がまた他の方へ勧めるという連鎖で、全国へ広がっていくと確信しています。

さて、夜は毎年恒例、地元中心の日本酒振る舞いの会や信州一斉乾杯もあります。一体どれぐらいの盛り上がりになったのでしょう。夜の第二部へ続きます。

(文/まゆみ)