SAKEITMESライターの梅山紗季です。
SAKETIMESを読んでくださっている皆さんは、お気に入りの記事や、心を打たれる記事との出会い、ございますでしょうか?
私は、SAKETIMES編集部の山口奈緒子さんが担当なさった「繊細な女心を写しだす吉乃川の名キャッチコピー」を、まだSAKETIMESを知らなかった頃に読んで、日本酒のキャッチコピーって、こんなに濃やかで素敵なものもあるんだ、と驚きと感動を覚えました。この記事との出会いのおかげで、SAKETIMESでライターをしています。
今回は、そんな日本酒のキャッチコピーから日本酒に興味を持った私が、思わず喉が鳴るような名コピーをご紹介していきます。
「まあ、一杯」の一杯って好きだなあ。
これは白鶴酒造株式会社のポスターにあるコピーです。誰かとお酒を飲むときに、「まあ、一杯」という言葉は、これから始まる時間を想像させるような、あたたかみと楽しさを秘めた言葉ですよね。
一杯目が、徳利(とっくり)や瓶に入った日本酒で、ゆっくり傾けながら一緒に飲む人との「一杯」を始められたら。これほど、素敵な始まりはない。そんな愉しさをしみじみと思い起こさせるコピーです。
「大人を一杯、休みませんか。」
こちらも白鶴酒造株式会社のポスターから。画像の通り、鶴の絵の描かれたグラスになみなみと注がれた白鶴の美しさが、このコピーによってより際立ちます。
20歳から飲める「お酒」の中で、日本酒は比較的、銘柄も多く格式高いイメージが、私個人の中にありました。しかしこのコピーに出逢ったとき、「一杯、休みませんか」というコピーにより、ほっと一息つくときに一緒に飲めるような、近しさとやわらかさを感じました。と同時に、こうしたコピーに出てくるような、一杯休める「大人」になりたい、とも思いました。20代の人には憧れと近しさを、30代以降の素敵な大人には安らぎをくれる、年代によって違う捉え方の出来る秀逸なコピーではないかと思います。
【白鶴HP】
http://www.hakutsuru.co.jp/
「わたしの趣味は、あなたです。」
最後は、「月桂冠 月」から、2005年~2006年にかけて放送されたCMの中のコピーをご紹介します。一組の夫婦の日常を描いたCMで、妻役の永作博美さんの可愛らしさと、使われている音楽で注目を集めました。しかし、日本酒メディアとしてご紹介したい点は、とにかく、出てくる「月桂冠 月」が、二人の生活に優しく寄り添い、食卓にほっと安らぎをもたらしている様子が伝わるということです。見ているだけで、誰かと一緒に「月」を飲みたくなる、そんな味わいがあります。そんな幾つかのCMの中でも、この「わたしの趣味は、あなたです」というコピーのあるCMは、一緒に出てくる貝の酒蒸しと「月」、そして夫婦の笑顔がとても魅力的です。
【月桂冠 月 CM集】
また、2014年8月から放送している、仲間由紀恵さんが女将の役を演じているCMも、ものすごく味があります。こちらでも、日本酒に合う食事までもがきちんと映し出されていて、その濃やかな様子に喉が鳴ること、必至です。
【月桂冠つき 「おおきに」篇 燗酒】
【月桂冠HP】
http://gekkeikan.co.jp/index.html
いかがでしたでしょうか?
日本酒が、ひとつのキャッチコピーでぐっと魅力を増したり、キャッチコピーが印象に残って新しい日本酒に出逢ったり……日本酒と人とをつなぐ言葉は、お酒を造る人たちの心、それを伝えたいと願う人たちの心がこもっており、お酒と同じくらい、味わい深いものではないでしょうか。
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