大人数での宴会を開くのがまだまだ難しいなか、ひとりでも楽しめる飲食店は貴重です。
今回ご紹介するのは名古屋にあるお店。名古屋駅・太閤通口(西口)から徒歩3分の立地にある、100種類以上の日本酒が楽しめる「和み酒 鬼灯(ほおずき)」です。
お酒選びはラベルをヒントに
名古屋駅とえば、オフィス街や高級ブランドショップの路面店が立ち並ぶ、東側の桜通口を想像する方が多いかもしれません。太閤通口はその反対側で、名古屋名物の手羽先にアジア料理、立ち飲み屋にメイドカフェなど、幅広いジャンルのお店を楽しむことができるエリアです。
そんなにぎやかな通りを進むと、見えてくるのが鬼灯をあしらった看板。「和み酒 鬼灯(ほおずき)」はその先の階段を降りた地下にあります。
階段を降りると、まず目に飛び込んでくるのが正面の黒板と壁の書き込み。このお店を訪れた酒蔵関係者の数多くのサインです。愛知県内だけではなく全国各地の酒蔵のものもあり、壁一面に所狭しと書かれています。
店内に入ると、カウンター席、テーブル席、中二階になったロフト席があり、地下だと感じさせない解放的なつくりです。もちろん、新型コロナウイルスの感染対策もしっかりとされています。
店内で一際目を引くのはたくさんの日本酒ボトル。カウンター席の頭上にはディスプレイ用の空き瓶があり、カラフルでかわいらしいラベルやなかなか見かけない銘柄のものまでさまざまです。
「和み酒 鬼灯」店長の鬼頭さんに、どのくらいの数があるのかをうかがってみました。
「どのくらいあるか、正直わからないです(笑)。ディスプレイ用には一升瓶の中から珍しいものや定番商品のボトルが並べてあります。日本酒にくわしいお客様もそうじゃない方も、以前見たことがあるラベルをヒントに自分の好みに合った日本酒が見つかるようにと、思って置いているんです」
店内には常温管理で熟成されている日本酒も並びます。日本酒は同じ銘柄でも醸造年によって味わいが変わるため、鬼頭さんが毎年試飲をして、納得したものだけを仕入れているのだそうです。
迷ったら、店長の鬼頭さんに聞いてみよう
メニューには、全国各地から集められた選りすぐりの日本酒が並びます。
こちらのメニューは、東海3県の地酒を中心に定番品に加え、季節商品のひやおろしなどが選ばれていました。プレミアムメニューも用意されていて、季節ごとに内容が変わるため、いつ訪れても新たな発見があります。
たくさんの日本酒の中から選ぶのが大変と悩むときは、店長の鬼頭さんにお願いして選んでもらうのがおすすめです。常連さんにお話をうかがうと、銘柄だけでなく、温度帯も含めて鬼頭さんのおまかせで選んでもらうことが多いだそう。
「どのお酒もおいしいんですが、鬼頭さんに相談すると、その時頼んでいるお料理や気分なんかも踏まえて選んでくれるんです。『1杯目だからさっぱりしたもの』とか、『今頼んだどて煮に合わせて』ってオーダーするだけ。日本酒を選んでから合わせるお料理を提案してくれる時もありますよ」
おいしい日本酒を選んでくれるだけでなく、温度帯にもこだわって燗にしてくれたり、おすすめの料理を教えてくれるのはうれしいですね。
日本酒飲み放題メニューもあり、予約なしで当日利用することもできます。驚くのはそのお値段。16種類の日本酒が1時間の飲み放題で1,500円でした。いろいろな日本酒を飲み比べたい方におすすめのサービスです。
料理にぴったりな日本酒もおまかせで
料理のメニューを覗くと、海の幸と山の幸を盛り込んだ日本酒の合う料理が並びます。特に旬のものを使った日替わりのメニューはどれもおいしそうです。
最初にオーダーしたのは「お造りの盛り合わせ」。
“醸造半島”としても有名な愛知県・知多にある豊浜漁港から届いた新鮮なお魚が日替わりでいただけます。おいしそうなお魚とともにカラフルな野菜の飾り切りが美しいですね。
こちらに合わせるお酒は、三重・タカハシ酒造の「天遊琳 特別純米酒 限定瓶囲い」です。
少しの酸味と旨みのある味わいで、魚介類全般に合うお酒です。お魚はもちろん、まったりとした海老味噌にも合う味わいでお酒が進みます。ほかにも、ミルキーな牡蠣などにも合うお酒なんだとか。
定番メニューからもう一品お願いしたのは「酒盗ポテトさらだ」。
しっとりとした自家製のポテトサラダに酒盗が乗った一品で、上に散らしたカリカリの食感が楽しめる細切りのポテトフライです。しっとりとカリカリ、異なるポテトの食感と酒盗の組み合わせが抜群で、「天遊林」がピッタリ。こちらも杯が進む一品です。
続いてお願いしたのは「貝小柱と海老のかにみそマヨ和え」。
旬のワタリガニのかにみそを使った酒飲みには堪らないアテです。小柱と海老のプリプリの食感が感じられます。
こちらには神奈川・久保田酒造の「相模灘 特別純米 辛口」をいただきます。ほどよい酸味もあり、魚の塩焼きやお野菜使ったおばんざいにも合うそうです。
一口いただくと、淡麗で旨味がほどよく、キレが良い印象です。おつまみと合わせると、しっかりした味わいのかにみそに、さらに旨味が乗った感じがします。相模灘の旨みとスッキリとしたキレの良さにつられ、あっという間に杯が空きました。
〆でいただいたのは「バターチキンスパイスカレー」。スパイスからこだわった本格的なお味。どんな日本酒と合わせるのかが気になります。
店長の鬼頭さんが「こちらのカレーに」と合わせて選んだのは、島根・玉櫻酒造の「玉櫻 とろとろにごり酒」。
意外な組み合わせかと思いきや、お米の甘みとカレーと近いテクスチャーでまとまりがよく、辛さがマイルドになりました。それでいてスパイスが際立っておもしろい味わいです。
どのお料理も日本酒との組み合わせが抜群で、常連さんが鬼頭さんに日本酒選びをおまかせする理由がよくわかりました。
こちらのお店では飲み放題付きのコースにも日本酒が含まれているそうです。スタンダードな1人4,000円のコースには16種類の日本酒が、日本酒好き向けの1人5,000円のコースでは32種類が2時間も楽しめます。
「日本酒をおいしく楽しんで飲んでもらえる場所に」
最後に店長の鬼頭さんに、今の想いとこれから取り組んでみたいことについてうかがいました。
「今回のコロナ禍により、開店から3周年を祝った周年祭の後、早々にしばらく店舗休業することになり、いろいろと難しさを感じましたね。ただ、空いた時間でスタッフと一緒にカウンターテーブルを自分たちで塗り直したりと、普段できないことにもチャレンジできました。
また、お店を閉めている間もたくさんの常連さんからメッセージをいただき、とても心強かったです。最近は少人数で飲みに来てくださる方も徐々に増えてきましたし、新型コロナウイルスの感染対策に留意しながら『みなさんにおいしい日本酒を楽しんで飲んでもらえる場所にしたい!』とあらためて思えました。
昨年参加した『食べて飲もまい』のような大掛かりな日本酒イベントの開催は、まだしばらく難しそうですが、まずはみなさんの日常に、日本酒とおいしいお料理で寄り添っていきたいと思います」
新しい生活様式の環境下でも、変わらずおいしい日本酒とお料理で私たちの生活に寄り添ってくれる貴重な存在の「和み酒 鬼灯」。
こんな時だからこそ、カウンターで店長の鬼頭さんに相談しながら自分の好み合った日本酒を探す「一人飲みデビュー」という楽しみ方もできそうですね。100種類以上の美味しい日本酒と旬の味を楽しめる「和み酒 鬼灯」で、お気に入りの一杯に出会ってみてください。
(取材・文/spool)
◎店舗情報
- 店舗名:「和み酒 鬼灯(ほおずき)」
- 住所:愛知県名古屋市中村区椿町20-12 西原ビル B1F
- TEL:050-5595-3254
- 定休日:月曜日