新潟市の中心部、新潟市役所のほど近くにある「彩膳 ちくら」は、東京都優良調理師の知事賞を受賞している包丁職人のマスターがつくる和食と全国の日本酒が楽しめる店です。繁華街から少し離れているため、決してアクセスの良い場所ではありませんが、いつもお客さんでにぎわっています。
各地の銘酒がそろう、くつろぎの空間
店があるのは、大通りに面したビルの2階。提灯のあかりに誘われて階段を登っていきましょう。
店内に入ると、壁いっぱいにサインが飾られていました。BS-TBSで放送されている『吉田類の酒場放浪記』の吉田類さんもプライべートで来ることがあるのだとか。多くの人たちに愛されているのがわかります。
達筆のマスターによるおしながき。どれも美味しそうですね。
新潟県の地酒はもちろん、全国の銘酒がそろっています。日本酒が大好きで、自分が納得したものだけを仕入れているというマスター。メニューに載っていない日本酒も用意されているので、気軽に聞いてみてください。
たくさんある酒器のなかから、自分好みのものを選ぶことができます。
マスターは、千葉県南房総市の千倉町出身。実家では、おじいさんの代まで「海士」「海女」という銘柄で酒造りをしていたそうです。現在は別の酒蔵で造ってもらっているそうで、マスターの親戚が営んでいる酒販店限定で販売されています。
東京や千葉でも出会えないような、貴重な銘柄を味わうことができました。
これぞ、包丁職人の神業!
「彩膳 ちくら」の名物料理といえば、長芋そうめんです。
当店オリジナルのつゆにつけて、そうめんのようにツルッといただきます。みょうが・シソなどの薬味、わさび、梅肉などもあるので、いろいろな食べ方で楽しめるのが魅力です。
もう、そうめんにしか見えないこの細さ!
以前、短冊切りにした長芋をメニューとして出していましたが、あるとき、常連のお客さんに「長芋が取りにくいよ」と言われたことから「じゃあ、長く細く切ってみようか」と、現在の形になったのだそう。
「手は添えるだけ。包丁の重さで切るんだよ」と、マスターがコツを教えてくれました。20cmの長芋を薄く切っていきます。
包丁が透けて見えるほどの薄さ。これをさらに細く切って「長芋そうめん」が完成します。
旬の食材を使った料理に、杯がとまらない
「彩膳 ちくら」のお通しは、季節ごとにメニューが変わります。取材にうかがったこの日は、さわらの利休焼き、赤大根甘酢、菊芋きんぴら、豆乳クリームチーズ寄せ、オータムポエムとたらこ煮。お通しだけで、すいすいとお酒が進んでしまいますね。
皮目をサッと炙った金目鯛。贅沢な厚切りです。
アジのなめろうも、こちらの名物料理。
もうひとつの名物料理が、手づくりの焼き胡麻豆腐です。驚くほどもっちりとしていて、口に入れるとトロッとクリーミー。この胡麻豆腐を揚げた、天ぷらのバージョンもありました。
じゃがいも明太子は、極細のじゃがいもをサッと炒めた、シャキシャキの食感が楽しい一品。バターのコクと明太子の組み合わせがたまりません。燗酒との相性も最高です。
こちらは、酒粕チーズ焼き。麒麟山酒造の酒粕をたっぷりと使い、トマトとチーズで洋風に仕上げています。もちろん、日本酒との相性ぴったりです。
ひと手間加えられたこだわり料理の数々に、舌鼓を打ちました。
「時を感じ、食と和む」
マスターは一見すると強面ですが、オヤジギャグを連発するとってもお茶目で気さくな人物。店内には笑い声が絶えません。お客さんと楽しく会話をしながら、次々と料理を仕上げていきます。
東京都優良調理師の知事賞を受賞するほどの凄腕をもつマスターですが、誰に対しても本当に優しく「お客さんの居間みたいな空間にしたいんだ。料理と酒で、和んでいってほしいね」と、話していました。
店に掲げている『時を感じ、食と和む』という言葉のとおり、ゆったりと美味しい時間を楽しむことができます。新潟を訪れた際は「彩膳 ちくら」で一献、いかがでしょうか。
(文/茜)
◎店舗情報
- 店舗名:「彩膳 ちくら」
- 住所:新潟県新潟市中央区東中通1-86-21 アミューズビル2F
- 電話番号:025-201-8504
- 営業時間:17:00~24:00
- 定休日:日曜日