全量純米酒にこだわる老舗蔵
創業は江戸時代より古く、万延元年(1860年)という老舗蔵。桜田門外の変が起こった激動の幕末期に庄屋から酒造業に切り替えました。現当主で11代目、酒造りを始めて6代目といいます。酒造りの特徴は伝統的な手作りで、地下約180mからくみ上げた白山連峰の伏流水を使用。酒造好適米は山田錦と福井県産の五百万石のみを使用しています。すべて自社酵母で平成15年度(2003年)からは全量純米酒を醸しています。
すべて氷温熟成で出荷
かつての主力銘柄は「越の井」で、最もよい酒に「梵」と名付けていました。昭和38年(1963年)にすべて梵に統一。同41年には商標登録しています。梵の名前の由来は、サンスクリット語の「真理をつく」、また英語のBornにかけて「誕生・創造」の意味をかけています。特筆すべきは精米歩合はすべて55%以下、最高ランクの「超吟」は20%、蔵内の平均精米歩合は何と38%!また、搾ったお酒は最低でも1年、最高10年の氷温熟成を行い徹底管理され出荷されています。
冷やから燗までスタンダードな食中酒
さて梵の純米55は福井県産五百万石を55%まで磨き、KZ10号という自社酵母で醸されています。
蔵からのコメントをいただきました。
「さわやかで重厚なコシのある香り、素晴らしい切れとともに軽快で深い味が特徴です。冷やしても最高ですが、お燗にすると酸が効いて味に深みが出て旨みが増します。家庭料理から洋食までどんな料理にも合う、オールマイティーの旨さの『梵』の定番酒」
確かに呑んでみると、控えめな果実香と五百万石特有のやや細身でシャープな酸を感じ、後口もスパッと切れていきます。お燗にするとお米の旨み、膨らみが増しながらも酸と切れの良さはそのままで食中酒として最適だと感じました。
合わせてほしい料理は、北陸の名産だと鯖のへしこ。そして、越前ガニとも抜群の相性です。おそばにも合うとのこと。お燗だと、味の濃い肉料理や焼き鳥にも最良のパートナーとなるでしょう。この磨きで一升瓶で2570円ですから、財布に優しい日常に寄り添う晩酌酒としておすすめです。ちなみに、同銘柄は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2016」の最高金賞を受賞。2015年度も全米日本酒鑑評会グランプリを受賞しています。
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