名刀の切れ味の辛口酒を生む純米蔵

将棋の駒で有名な山形県天童市で明治31年(1898年)から良酒を醸している蔵です。ミネラル豊富な硬水である立谷川の伏流水を仕込み水に使い、「名刀の切れ味 山形正宗」と言われるスパッと切れていく辛口酒を生み続けてきました。全量純米酒、全種類のお酒に対し槽しぼり、加熱処理は瓶火入れ(生酒除く)を行うなど細部までこだわりを見せています。

米にこだわり「ほぼドメーヌ」目指す

「酒造りは米作りから」という地酒蔵が増えてきましたが、同蔵も酒米にもこだわり平成15年度から自社田での栽培も始め、無農薬もしくは減農薬で栽培し、将来的に生産量を自社と地元契約農家で8割を賄う「ほぼドメーヌ」を目指しています。

ほぼ、という意味は、山形では栽培が困難で、西日本での栽培に適した雄町山田錦に関しては、最高品質のお米を取り寄せ良酒を造ることを優先しているからです。酒蔵自身も雄町ファンということで、今回紹介の生酛も雄町を65%まで磨いて醸されています。

ミネラルの力?生酛らしからぬスリムな晩酌酒

生酛造りは平成21BY(醸造年度)からチャレンジを始め、雄町を精米歩合50の純米吟醸酒として世に出され、1年目から注目されました。現在の精米歩合65%となったのは平成23年度からです。これまでご紹介してきた生酛酒と違うのは、生酛とは思えないほどキリッとしていてスリムな印象があります。山形正宗らしいシャープな切れの良さは健在。

仕込み水のミネラルの力なのでしょうか温度が上がると複雑な味わいを見せ、雄町特有の甘味やふくらみも感じられ、上質の酸が現れてきます。でも呑みやすいですが、やはり、燗でしょう。刺身など和食から肉料理まで幅広く合わせることができる、呑み飽きしない晩酌酒です。

 

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