SAKETIMES編集部が、いま気になるお酒をテイスティングする新企画「SAKETIMES編集部 注目の一本」。今月ご紹介するお酒は、兵庫県・菊正宗酒造が造る「菊正宗 セセシオン 豊潤しぼりたて」です。
菊正宗酒造といえば、リーズナブルなパック酒でありながら、大吟醸クラスの豊かな吟醸香を誇る「菊正宗 しぼりたて ギンパック」を2016年に発売。その味わいは、世界最大規模のワイン品評会「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」でも高く評価され、「質より量」というイメージを持たれがちなパック酒に革命を起こしました。
そして、2022年9月に発売された「菊正宗 セセシオン 豊潤しぼりたて」もまた、パック詰めがラインナップされている商品。「SAKEはもっと自由になる」というキャッチコピーとともに発売されたこの日本酒は、いったいどのような味わいなのでしょうか。
日常酒シーンを、もっと自由に
「セセシオン」とは、19世紀末のヨーロッパ・ウィーンを中心におこった芸術革新運動(分離派)のこと。当時の保守的な美術界から飛び出し、自由で革新的な表現を目指した芸術家たちのように、日常酒シーンをもっと自由に、もっと豊かにすることを目指して、「菊正宗 セセシオン 豊潤しぼりたて」は誕生しました。
「新しい日常酒」をコンセプトに掲げているように、「純米酒」「吟醸酒」などの特定名称酒ではなく、いわゆる「普通酒」に分類され、価格は215円~810円(参考小売価格/税抜)と、とてもリーズナブル。
「菊正宗 セセシオン 豊潤しぼりたて」に使われているのは、菊正宗酒造が独自に開発した新酵母「CRU2酵母」。この酵母の働きにより、華やかな香りと豊かな甘み、しっかりとした酸味がバランスよくまとまり、一般的な日本酒のイメージとは異なる味わいを実現させています。
軽やかに飲み進めたくなる、上品な甘酸っぱさ
それでは、実際にテイスティングをしてみましょう。
色調
うっすらと黄色みがあり、クリスタルイエローのような、きれいな色合いです。
香り
ジューシーな果物のニュアンスと同時に感じるのは、ヨーグルトなどの乳製品を思わせるさわやかな酸。フルーティーな香りと相まって、フルーツフレーバーの飲むヨーグルトを開封したときのような、清涼感のある甘酸っぱさが漂います。
ツンとしたアルコール感もなく、パッケージデザインのイメージ通りの上品な香りです。銘柄を伏せた状態でテイスティングをしてもらい、パック酒であることを明かすと、ほとんどの人は驚くのではないでしょうか。これから新たな日本酒の魅力に出会えるような、そんな感覚を与えてくれます。
味わい
口に含むと、まずはフルーティーで優しい甘みが先行し、だんだんとヨーグルトを思わせる酸味が広がっていきます。香りからイメージした味わいを裏切ることのない、上品かつ豊潤な甘酸っぱさ。酸味の輪郭がしっかりとしているため、白ワインのようなニュアンスも感じます。
アルコール分は約12〜13%と、一般的な日本酒よりも低めの設定。さらりとしたシルキーな口あたりも相まって、すいすいと軽やかに飲み進めることができる味わいです。
そのライトな酒質を活かして、食前酒、または食後酒として楽しむのがおすすめ。デザート感のある味わいなので、単体でも充分な満足感がありますが、ピンチョスやクラッカーなど、軽いおつまみを用意してもいいかもしれません。
日々を彩る食前酒、食後酒として
「日常酒」というと、これまでは日々の食卓に合わせる「食中酒」としての味わいが多かったように思います。しかし、「菊正宗 セセシオン 豊潤しぼりたて」は、その特徴的な酸味と甘みのバランス、そしてリーズナブルな価格から、日々の食前酒・食後酒という新たな選択肢を与えてくれる一本でした。
パック詰めだけではなく、カップ詰め(180mL)や瓶詰め(500mL)もラインナップされているため、ひとり飲みから大人数まで、さまざまなシーンに寄り添えるところも大きな魅力。日々の生活を彩ってくれる新たな日本酒を、ぜひ味わってみてください。
◎商品概要
- 商品名:「菊正宗 セセシオン 豊潤しぼりたて」
- 原材料:米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
- アルコール分:12%以上13%未満
- 内容量:180mL(カップ詰)/500mL(瓶詰)/900mL(パック詰)
- 参考小売価格(税抜):
・180mL:215円
・500mL:780円
・900mL:810円 - 購入:菊正宗ネットショップ
(執筆・編集:SAKETIMES編集部)