SAKETIMESライターで日本酒学講師、酒匠の濱多雄太です。

今回は、富山県最古の蔵、そして富山最年少杜氏「林」「黒部峡」を醸す「林酒造」に注目☆ ご当地グルメ「タラ汁」のレシピも公開☆

20代の富山県最年少杜氏・林秀樹氏にインタビュー

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1,酒造りをしようと思ったきっかけ

「子供の頃から、酒造りの時期になると蔵人が蔵に来て酒造りの作業をしているのを見ていて、そのうち時々手伝うようになったので、酒造りに対する抵抗はありませんでした。 また、創業約400年という歴史を自分がつなぐことが当然と思っていました」

2,「林」を造ろうと思ったきっかけ

「大学卒業後、山形の酒蔵で吟醸造りの修行をし、実家に帰ってきた時 『うちの蔵はもっとこだわりを持った酒造りが出来るのではないか』と感じました。 また、蔵全体の造りの規模も約150石と小さいので、こだわれるだけこだわった酒造りをしてみようと思いました。 その際に、手間暇を惜しまず妥協せずに造った酒を、先入観なく飲んでもらいたいので、銘柄も変え、新しく名字の『林』を用いました」

3,思い出に残る日本酒

「『林 純米吟醸 五百万石(24BY)』初めて、林として造った酒でした。しぼる前のもろみの段階から、味を確認していたのですが、自信が持てる酒でした。 発売後、応援してくださる方々にお褒めの言葉をいただき、新しく取り組んだ造りへのこだわりが報われた思いがしました」

4,「林」の商品コンセプト

「修行先で教わった、『大吟醸造りが基本』とする考えに則り、洗米は限定吸水。麹造りは全て麹蓋で麹造りをしています。 原則、純米系の酒のみを造っています」

5,今後のビジョン

「造る量よりも、味わいや香りなど品質を重視した酒造りを継続して行い、 自分と同じ若い世代にも受け入れられるような酒を造ることにも挑戦したいです」

 

地道にコツコツと。林杜氏の人間性がお酒にも表現されております。今後も目が離せませんね☆

地酒にぴったりな地元料理「タラ汁」

林酒造の地元、富山県朝日町に根付く食!タラ汁レシピを紹介いたします。

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【材料】
・タラ切り身
・肝、真子又は白子
・白ネギ(笹うち) 1本
・ごぼう(ささがき) 3分の1
・水 300ml
・酒 100ml
・生姜 一片
・田舎味噌 18g
・うすくち醤油 小さじ1

【作り方】
1,タラ切り身、肝、白子、真子に焼き目をつけましょう(臭みを消すため)
2,それぞれ野菜を切りましょう
3,鍋に切り身、生姜、水、酒を入れ一煮立ちさせましょう(アクを丁寧にとりましょう)

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4,味噌を入れましょう
5,うすくち醤油を入れましょう(うすくち醤油を入れる事で味に輪郭がでます。タラ汁以外のお味噌汁でも応用可能です)
6,白ネギ、ごぼう、肝、白子、真子を盛り付けましょう

華やかな香りと爽快感が「タラ汁」とマッチ!

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上立ち香は熟したメロンと少しのセメダイン。口に含むと「甘い」とはじめに思いますが、その後に「旨味」と「酸味」が追いかけて、「甘味」を包み込み名残惜しそうに消えていきます。
含み香は華やかな香りグレープフルーツやミントの爽快感
「甘い」「華やか」のワードだけでは、玄人の方は警戒する方もいらっしゃいますが、林に関しては、嫌らしくない香りの残り方、余韻も長くはない程よいキレがあります。
このような、お魚料理との組み合わせでも、独特な臭みもマスキングし、調味料として使用している味噌との相性も良いです☆
冬の足音が聞こえ始めたこの季節、散り行く紅葉のように美しく儚い情景を思わす味わいの「林」、心の芯まで温まる、タラ汁のマリアージュを試してみて下さい。
酒器は、魚津漆器「鷹休雅人氏の作品です。

”攻めの姿勢”で伝統を守る林酒造の酒造り

今回の取材時は林杜氏の醸す「林」の味の決め手となる、麹造りの作業中でした。林杜氏は良い「破精」に仕上げるため、手間のかかる「麹蓋」での仕込みをしております。このひと手間、ふた手間の愛情が気品ある「林」の味わいにつながっているのですね。

富山県最古の蔵、富山県最年少杜氏、新しい挑戦、文化継承!
平成26酒造年度 全国新酒鑑評会では金賞を受賞しております。実績を残していることは実力のある証拠だと思います。

林酒造では「黒部峡」という銘柄の日本酒もあります。先代が築きあげた地元で愛される銘柄があるからこそ「林」が全国で評価されたのだと思います。
伝統を守ることは、攻めることで価値をより見いだせるのだと思いました。

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