収穫の秋は、日本酒も美味しい季節。田を見ればコンバインが稲刈りをして、米農家は大忙し。10月から酒造りがはじまる蔵人にとっては「いよいよか!」と腰を上げ、仕込みに入る前の一休みの期間です。

今回は、秋に美味しいお酒とあわせたい魚を自分で釣って、晩酌を楽しんでみたいと思います。

晩酌のおともを求めて、海釣りへ!

sake_g_kurabito_holiday-2_2

秋が旬の魚は、ハゼとカマス。ハゼを狙うなら、餌はイソメやイソメに似せた疑似餌を付けると良いでしょう。ハゼは砂地にいますので、小さな河口や砂浜でよくかかります。遠くに仕掛を投げてゆっくり糸を引いてくると、バクッと食いついてきますのでたぐり寄せましょう。

一方、カマスを狙うならワームを使ったジギングという釣り方になります。小魚やイカの幼生に似せた疑似餌に針をつけて動きをつけると、餌と勘違いして食べます。フィッシュイーターという魚を食べる魚はこのように釣ります。

カマスを釣るには防波堤や船着場が良いでしょう。食べ物を求めて回遊してきますので、魚群が見えたり小魚が逃げてさざ波を立てている時はチャンスです。

sake_g_kurabito_holiday-2_3

これが本日の釣果です。半日でこれだけ釣れました。 早速晩酌のおともを作りましょう!

釣りたて新鮮!「ハゼの刺身」

ハゼと言えば、松葉おろしにして天ぷらにしても良いのですが、せっかく新鮮なものですから刺身でいただきましょう。

sake_g_kurabito_holiday-2_4

<ハゼのお刺身>
1.尻尾側から包丁で撫で、ウロコをとります。小さい魚なのでサッと取れます。
2.頭を取り、内臓を洗い出します。(肝は残しておきます。)
3.中骨に沿って三枚おろしにします。
4.3.でおろした半身の皮の境目を爪で剥がし、そこに包丁を入れて皮をひきます。

sake_g_kurabito_holiday-2_5

ここでポイント!ハゼの肝は絶品です。これを捨てるのはもったいないので、ぜひ取っておきましょう。

sake_g_kurabito_holiday-2_6

下ごしらえができました。あとは一口サイズに切って、盛り付ければ完成です。

保存食にもぴったり!「秋カマスの一夜干し」

sake_g_kurabito_holiday-2_7

カマスは刺身でも食べられて、味のある白身は酢〆も美味ですが、今回は一夜干しにしました。

sake_g_kurabito_holiday-2_8

<カマスの一夜干し>
1.ウロコを取ります。
2.開いて内臓を取ります。頭と中骨は落とさず片方の身を開きます。
3.開いたら、よく洗いましょう。これを片袖開きといいます。
4.干網を使って干します。

holiday10

一晩干したらできあがり。室内でも扇風機を使って風をを当てておけば上手にできますよ。

食欲の秋にぴったりな秋あがりで乾杯!

sake_g_kurabito_holiday-2_0

それでは、おつまみができたところで晩酌のはじまりです。今回は「出羽鶴 秋あがり」をあわせてみました。

設備の整った大手メーカーでは、四季醸造といって通年で醸造しているところもありますが、一般的に日本酒は冬に醸造されます。春先にできあがったお酒を貯蔵タンクの中で夏の間寝かせると、秋には味・香りともバランスよく熟成し旨味がのって美味しいお酒になるのですが、これを「秋上がり」といいます。同じく春に造って秋まで寝かせたお酒「ひやおろし」は、タンクで熟成したお酒を瓶詰め時の火入れせず、生詰したものです。

ハゼの肝は醤油に溶かして肝醤油にするのがオススメです!釣った人でなければ味わえない珍味です。刺身も絶品。白身ながら深い味わいがあります。清酒の熟成香に含まれるソトロンという成分と醤油に含まれるHEMFが構造的に似ているので、親和性があるとも言われますが、晩酌の時にこういう話はヤボですね。あわせるなら香り高い大吟醸よりも、純米酒が良いでしょう。

食欲の秋にあわせて、日本酒と一緒にいただく晩酌のおとも、あなたならどんなメニューで夜のひと時を彩りますか?

(文/リンゴの魔術師)