岩手の「南部美人」は、その名を知らない酒呑みはいないのではないかと思うほどの定番酒。代々受け継がれてきた伝統があり、また海外輸出など新しいことにもチャレンジする酒蔵です。
本日のお酒は「南部美人 純米おりがらみ生原酒 雄三スペシャル」
そんな南部美人の雄三スペシャルは、蔵元の常務・久慈雄三さんが「自分自身で呑みたいお酒」を造ってしまったという、まさにスペシャルな1本。毎年発売されているのですが、27BYはどういう仕上がりだったのでしょうか。
おりがらみだけあって、薄く濁っています。開けたては、軽快ですっきりした香り。生米のような風味を感じます。口に含むと、ごく微かにさわやかでフルーティーな味わいもありますが、キレのあるアルコール感で甘さはすぐに消えます。
中盤は厚みのある旨みが出てきて、最後は、僅かな苦味と渋さも残しつつ、切れ味抜群で残らない。ザ・辛口!と呼んでもいいのではないか、と思うほどの仕上がり。
アルコール度数も19.3度と高く、こんなキレキレのお酒には、生魚を合わせるのがおすすめです。
秋刀魚の和風マリネ
<材料> 2人分
- さんま(刺身用) 2尾
- 針生姜 適量
- 白髪ネギ 適量
- マリネ液(米酢 大さじ1、薄口醤油 大さじ1、かつおだし 大さじ2、スダチの薄切り 1/2個)
<作り方>
- 1.さんまは3枚におろし、薄く塩をふってしばらく置く。水分が出てきたら、しっかりと拭き取る。
- 2. 皮をむいて、4等分に切り、ねぎと生姜と一緒にマリネ液に浸し冷蔵庫に入れておく。
刺身用に切られたものでもOKですが、自分でおろした秋刀魚なら、骨は捨てずに素揚げして添えましょう。これがまたよいアクセントとなって美味しさ倍増です。
秋なので秋刀魚にしましたが、イワシやアジなど青魚なら同じように作れます。スダチの酸味と苦味が、秋刀魚と雄三スペシャルのつなぎ役となり、青魚特有の脂と旨みをきれいに包み込みながら流していき、魚の臭みも感じず、スッキリとさせてくれます。
この雄三スペシャル、ちょっと熱めの燗にしても美味しく、「残暑が厳しい時は冷やして」「肌寒くなったら燗で」など、寒暖差があるこの時期にピッタリのお酒です。
(文/まゆみ)