大阪府における酒造りの歴史は古く、平安時代に寺院で造られた僧坊酒として、金剛寺(河内長野市)の「天野酒(あまのさけ)」が知られています。江戸時代には、大阪で生産されたお酒が、江戸へ運ばれ「下り酒」としてもてはやされていました。しかし、昭和・平成と時代が進むにつれて府内の酒蔵数は激減、現在は20蔵弱しか残っていません。
「大阪地酒天満大酒会」は、大阪酒の魅力をあらためて知ってもらおうと、大阪城にほど近い大阪市北区のOAP(大阪アメニティパーク)で、2013年から年に1度開催されているイベント。開催当初は11蔵の参加でしたが、今年は14蔵が参加し、来場者数も年々増えてきました。
入場無料!お酒は1杯100円から
入場は無料ですが、お酒を飲むためにはチケット(100円券の10枚つづり)とお猪口が必要。お猪口付きの前売りチケットがお得です。当日参加の方は300円でお猪口を購入しましょう。
チケットとお猪口の準備ができたら、各蔵自慢のお酒、約70種類を1杯100~300円で飲むことができます。100円のお酒を10種類飲むのもよし、チケットを贅沢に使って300円のお酒を3種類飲んでもよし。楽しみ方は自由です。
今年は、若い女性やグループでの来場者が多かったように感じました。
蔵人や女唎酒師軍団との交流も楽しい
各酒蔵ブースでは蔵人がお酒を注いでくれます。今年の酒造りに関する話や、蔵としてのこだわり、お酒に合うおすすめの肴などを教えてもらうことができました。
また、唎酒師の資格を持つ酒好き女性のコミュニティ「女唎酒師軍団」も参加。1杯目に飲むお酒についてアドバイスをもらったり、好みを伝えてお酒を選んでもらったりと、日本酒初心者の方でも安心して楽しむことができます。
水都・大阪のきき酒選手権大会は船内で
「大阪地酒天満大酒会」と同時に、「全国きき酒選手権大会 -大阪府代表選考会-」もあわせて開催。水都の名にふさわしく、選考会は「大阪水上バス アクアライナーひまわり」の船内で行われました。
天満大酒会が開催されている会場横のOAP港から船に乗り込みます。並べられたお酒を見ると緊張が高まりますね。
今回は約30名が参加。飲食店関係者と一般の方がほぼ半々だったようです。
大阪府酒造組合の山野理事長(山野酒造/交野市)によるあいさつで始まりました。2011年の大阪代表で、第31回全国きき酒選手権優勝者の西村百代さんもスタッフとしてお手伝い。
選考会は、きき酒だけでなく筆記試験もあります。
筆記試験の制限時間は15分。酒類の定義・酒造好適米・製造過程・特定名称酒・日本酒の味わいなど幅広い内容で、全23問ありました。ただ筆記試験は、きき酒で同点になった場合にのみ使われるそう。あくまで重要なのはきき酒の成績。
さて、いよいよきき酒の時間。
きき酒をするお酒は7種類。第1テーブルと第2テーブルに順番を変えて置かれていました。参加者は2グループに分かれ、お酒の香りや味をききながら、好みで順位を付けていきます。
採点は順位の差異によるもの。たとえば、Aとホが同じお酒の場合、テーブル1でAを「1」と順位付けしたにもかかわらず、テーブル2でホを「5」と順位付けしてしまうと差異が4点になりますね。すべての順位が合う全問正解は差異が0点。点数の差異が大きいほど、成績は下がります。
緊張の中、きき酒が始まりました。
テーブル1からスタートし、まずはA-Gのきき酒。制限時間は7分間です。1分間のインターバルをはさんだあと、テーブル2に移動して、同じ制限時間でイ-ホをきき酒しました。
香りや味の特徴をゆっくりメモしながら進みたいところですが、時間の制約があります。だんだんと直感に頼るところが多くなっていき、最後はヤマカン。焦ってお酒で濡らしてしまった解答用紙にとりあえず記入して提出。どういう形でメモをとるか、考えていなかったのが失敗でした。
選考会が終わったあとは、水辺の景色を満喫。普段見慣れた風景も、船上からはとてもきれいに見えるのが不思議ですね。
成績発表は天満大酒会会場で行われました。1位の方は全問正解!すばらしい!
上位2名には、全国大会への出場権利が与えられました。全国大会でもぜひ力を発揮していただき、大阪の酒をアピールしてほしいですね。
ちなみに私は5位でした。きき酒のセンスがあるのか、それとも単なるヤマカンが強いだけなのか微妙なところ。来年もぜひ挑戦してみたいです。きき酒選手権は全国各地で開催されているので、自身のある方は腕試しに参加してみてはいかがですか。
(文/天田知之)