みなさんは、どんな酒器で日本酒を楽しんでいますか?
酒器が違えば同じ日本酒でもまたちがった味わいが楽しめますよね。

今回はみなさまに、お酒がさらにおいしくなる(!?)「 COBARION®」(コバリオン)という特殊素材を使用した限定高級酒器「JOIN」をご紹介いたします!

「JOIN」製作の経緯

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高級酒器「JOIN」は、東日本大震災により被災した地域の復興のために行われている、「新商品開発による地方産業振興」プロジェクトの一環として2014年9月に開始されました。

プロダクトデザイン等の業務を行っていた株式会社エイスと、被災地復興を目指す釜石市、そして金属加工業を釜石市で営む有限会社エムテックの三者を中心としたプロジェクトです。

エムテックは、震災後に経営難に陥っていた時期がありましたが、本プロジェクトに際しては釜石市とエイスによる支援を受け、被災地復興のためには新たな挑戦が必要、と久保社長がプロジェクトへの参画を決定したそうです。

使用する素材は釜石市で生産・加工できる「COBARION®」(コバリオン)という特殊素材を使うことになりました。

錆びない・朽ちない・新世代の金属

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「COBARION®」はコバルトクロム合金で、従来の合金を凌ぐ優れた特性をバランス良く実現し、錆びない・朽ちない・厳かな輝きが半永久的に持続する新世代の金属です。

金属アレルギーを引き起こすニッケルの含有率が極めて低く「人にやさしい」という特徴があり、人工股関節などの医療分野での活用が図られています。

本酒器の製造工程では、鏡面加工レベルの磨きを施すことによって、プラチナや銀などに勝るとも劣らない美しさを実現しました。杯の内側が凹面鏡のように全反射するため、器にお酒を注ぐとその液面が判別できなくなるほど、輝きを放ちます。宝飾品用途にも使われているのだとか。

細かな特徴としては、以下が挙げられます。
・金属イオンが極めて析出(せきしゅつ)しにくいため、金属アレルギーが出ず、錆びたり変色したりしない。
・非常に硬い金属のため、銀食器のように細かく傷がついたりということがない。
・磨くとプラチナよりきめ細やかに輝き美しい。

ただ、その素材の特殊性から、加工技術を持ち合わせている企業は少なく、同様にそれを酒器にする、ということは前例のないことでした。

真球度を手で作り出す!職人技の極み

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エムテックも、当初からこの酒器を作れる技術があったわけではなく、このために新規で設備投資をして、試作品を20~30個も作ってようやく、デザイナーが目指した、贅沢な日本酒体験を実現する加工が可能になりました。

「COBARION®」はその安定した性質と類まれな強度ゆえに、加工が非常に困難な「難削材」です。1つ完成させるまでに20時間もの加工が必要になります。

板材の切り出しや切削加工、研磨など、時間と手間を費やしながら、鉄のまち釜石エリアで蓄積された金属加工の技術力を結集し、試行錯誤の末にようやく完成に至りました。

杯と杯台が吸い付くのは、双方の形が極めて真球に近いためです。
この形を職人さんが1つ1つ手で削って作っています。

はじめての試みであったが、苦労が面白みでもあった。

sake_vessels5 (1)(エムテック久保社長)

Q.「なぜJOINをつくることになったのか、そのきっかけを教えてください。」

久保社長:「釜石市の復興を目的に釜石市の製造業者で集まって、「なにかできないか」と月に1度、「新製品研究会」という集会をしていたんです。そして、もともとお酒を飲むことが好きだったこともあり、あるとき、せっかくなら自分で作ったお猪口で酒が飲みたいなあと思い立ったんです。趣味と実益を兼ねて、自分で酒器を造ってみようかと。

はじめは、なんの変哲も無いスタンダードなお猪口を作りました。デザイン性や使いやすさは全く考えていないものです。でも、割といいものができて、せっかくならこれを売りたいなと。

そして、できることなら美しい酒器を眺めながらお酒を飲めたら楽しいなと思って、独特な輝きを放つコバリオンで酒器を作ることに決めました。

けれど、そう思ったはいいのですが、僕は製造業者なので売るノウハウを持っていない。その販売戦略の部分を以前から懇意にしていたエイスさんにお願いしました。そして、デザイナーの方に入っていただき、釜石市も絡めてプロジェクト化にいたりました。」

Q.「商品の製作にあたり、どんな部分で苦労がありましたか。」

久保社長:コバリオンは、かなりの難削素材です。僕の工場はもともと、ステンレスを削る技術はあったのですが、コバリオンを削るには既存の技術では不足でした。

そのため、工具メーカーの方にどういった工具を取り扱えばよいのか、加工条件はどんなものなのかをお伺いし、岩手県の産業振興センターが開催している難削素材の講習会に参加しました。その中でコバリオンの切削スキルを学びました。

そして、コバリオンには特別な磨きの技術が必要なため、3段階に分けて、磨きをかけるスキルも身につけました。はじめは粗めの紙やすりで削り、その後、初めのものよりも少し目の細かいペーパーで削っていきます。最後の仕上げとしてコンパウンドと呼ばれるクリーム状の研磨剤で磨きをかけていきます。

実は、僕はそれまで磨きという行程はほとんど経験がなかったんです。
こうやって振り返ってみると、苦労、といいますか確かに骨の折れる作業の連続だったなあと思うのですが、その時は新しいスキルを身につけられることに面白みを感じていました。そしてやはり、きちんと形になって商品ができてくると嬉しいものでして、苦労が面白み、というんですかね。製作にあたり、辛さはなかったです。

Q.「ズバリ、久保社長の考えるコバリオンの魅力は?」

久保社長:お酒を注ぎ、杯を覗き込んだ際の広がり感が僕は好きですね。杯を覗き込むと丸い円が沈み込んでいるのですが、それが幾重にもひろがってくような奥行き感があるんです。杯の光り方も独特なので、ぼうっと眺めてしまう。ただ無心にお酒と杯の世界を楽しめる不思議な魅力があります。

非日常空間を演出するJOIN

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お酒をいれると水面がわからないほど、高精度に磨かれているため、手に持っても吸い付くような感触があり心地よいです。

そんな高いクオリティを纏った酒器が、いつもの1杯を洗練された非日常空間に演出します。

お酒のそのものの味に集中できる酒器

では実際にお酒を飲んでみると他の酒器とどう違うのでしょうか?
今回はテイスティングのプロである酒匠の資格をもつ山口奈緒子さんにJOINで、「あさ開 結の香」をテイスティングしてもらいました。

山口奈緒子さん:「陶器で飲んだ時に比べて甘さは感じず、すっきりとした印象になりました。陶器は縁が厚いのでお酒が一気に流れ込んでくる印象で、インパクトが強かったので強い甘さを感じたのだと思います。コバリオンは重いので、必然的に口の中に流し込む時も遅くなり、少しずつはいってくるのではないかという印象も持ちました。

また、金属製なので燗酒よりは冷酒の方が合うと思います。
酒器は酒器の味わいも一緒に感じることがあります。ただ、JOINはお酒そのものの味わいに集中することができます。」

商品概要

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サイズ :直径 58mm、高さ 31mm(小さめのお猪口、あるいはショットグラス程度)

価格 :172800

販売時期:2015年5月

販売場所:JOIN公式ウェブサイト

生産個数:50 個限定(すべて個別にシリアルナンバー入り)

※ご取材の際には、事前に下記までご一報くださいますようお願い申し上げます。

※「COBARION®」(コバリオン)は、東北大学金属材料研究所の千葉晶彦教授が開発し、(株)エイワで製造され、(財)いわて産業振興センターが商標登録しました。

ご注文の方全員に

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JOIN をご注文いただいた方へ岩手の酒米を使って醸した、あさ開 純米大吟醸 結の香を一緒にお届けいたします。

< JOIN に関するお問い合わせ先>

Mail:kamaishimakers@gmail.com

■ 有限会社エムテック(本酒器の製造元)代表取締役 久保 勝

■ 株式会社 A(本酒器のデザイン/販売元)代表取締役 山田 歩

※ご取材の際には、事前に上記までご一報くださいますようお願い申し上げます。

※「COBARION®」(コバリオン)は、東北大学金属材料研究所の千葉晶彦教授が開発し、(株)エイワで製造され、(財)いわて産業振興センターが商標登録しました。

 

東北の資源と技術、多くの人々の思いとストーリーが詰まった限定高級酒器「JOIN」で普段とは違った日本酒体験はいかがでしょうか。

 

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