蔵全焼の火災から蘇った不死鳥蔵

明治33年(1900年)創業し現在は4代目の原田憲明氏が社長兼杜氏を務め、「米本来の旨みを醸し出し、飲み飽きしないお酒を造る」をモットーに実直な味わいの良酒を醸しています。純米酒造りにも早くから取り組み、平成元年に契約栽培の山田錦を使用した純米酒「綾花」、6年には福岡県糸島産の無農薬栽培山田錦で醸造した「旭菊大地 純米を発売し人気を博しています

ファンの励ましで蔵を再建

ところが、戦前、戦後の厳しい時代を乗り越えてきた蔵にも好事魔多し。平成22年(2010年)5月、蔵内の漏電で仕込み蔵、貯蔵蔵が全焼する災難に見舞われました。生産した650石のうち難を逃れたのは約3割だったといいます。

しかし、全国の酒蔵や旭菊ファンからの便りや励ましに力を得て、翌23年には最新設備を整えた新しい蔵を再建し、見事に蘇り現在に至ります。

ホッと一息つける晩酌酒

蔵が新しくなってからも旭菊の味わいの基本は不変ですこの生酛純米は契約栽培の山田錦を6割まで磨き、落ち着いた香りと味わいになる7号酵母で醸されています。ごまかしのない、米の旨みを引き出した晩酌酒です。開栓すると生酛特有の乳酸の香りがしますが、口にすると、綺麗な酸を感じながら、奥深い複雑味もありバランスの良さを感じます。

しかしながら、やはり燗にしてより映えることは間違いありません。冷やでキリッとしていた味わいがほどけるように柔らかくなり、山田錦のふくらみや甘味も存分に感じられ、体に染み入るような、ホッと一息つけるお酒の代表のような吞み口です。これで3000円は非常にリーズナブルです。

同蔵の生酛には夢一献で仕込んだ「生酛純米クラシック」もあり、こちらは2700円(税込)とコスパ抜群。晩酌酒にしてまちがいのない一品です。

 

日本酒の魅力を、すべての人へ – SAKETIMES