「シャア」と「ザク」と聞けば、アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクターを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

「シャア」とは、主人公アムロ・レイのライバルで、ジオン公国軍のエースパイロットとして活躍する“赤い彗星”、シャア・アズナブルのこと。「ザク」は、ジオン公国軍のモビルスーツと呼ばれるロボット兵器の名前です。

このアニメ「機動戦士ガンダム」の人気キャラクターと同じ名前の日本酒が、長野県・遠藤酒造場の「彗(シャア)」と三重県・清水清三郎商店の「作(ザク)」です。

名前だけじゃない!その味わいも抜群な「彗」と「作」

「彗」(遠藤酒造場/長野県)

「彗」(遠藤酒造場/長野県)

長野県須坂市にある遠藤酒造場が造る日本酒「彗(シャア)」は、発売当初、劇中にでてくるシャア・アズナブルの名セリフにちなんで、「見せてもらおうか、“彗”の実力とやらを」とインターネット上でも話題になりました。

定番シリーズで直汲み純米、初汲み純米吟醸、中取り純米大吟醸を展開する「彗(シャア)」は、2018年に3種類そろってモンドセレクションで金賞を受賞をするなど、その味は折り紙付き。

搾りたてを直接汲み取り瓶詰めした「純米酒 HALLEY(ハレー)」、搾り始めの最初の部分を汲み取った「純米吟醸 DONATI(ドナティ)」、中取りのみを汲み取った「純米大吟醸 BENNETT(ベネット)」と、それぞれの名前には、実際にある彗星の名前が付けられています。

作(清水清三郎商店/三重県)

作(清水清三郎商店/三重県)

一方、三重県鈴鹿市にある清水清三郎商店が手がける「作(ザク)」は、根強いファンが多い日本酒です。

発売以来、「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ) SAKE部門」や「全米日本酒歓評会(U.S. National Sake Appraisal)」「SAKE COMPETITION」など、国内外での審査会でさまざまな賞を受賞してきました。

今でこそ、出荷してすぐに売り切れてしまうほどの人気銘柄を醸す酒蔵ですが、過去には廃業の危機に瀕していた時もありました。

そんななか、苦労と努力を積み重ねで誕生した銘柄が「作」。ガンダムを意識はしておらず、「酒の価値は、酒蔵・酒販店・料飲店など、関係者みんなで“作”るもの」という想いが名前の由来だそうです。

所沢の居酒屋「カッパ横丁」でテイスティング!

「彗(シャア)」と「作(ザク)」。このアニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクターと同じ名前の日本酒を実際に味わうために、埼玉県所沢市にある居酒屋「カッパ横丁」を訪れました。

「カッパ横丁」のママさん

2人のママさんで経営している「カッパ横丁」は常連客も多く、あたたかいお店です。入店すると「どうぞどうぞ、寒いでしょう」とお客さんも迎え入れてくれました。

「彗(シャア)」と「作(ザク)」を知ったきっかけをたずねてみると、「お客さんがおいしいっていうから入れてみたんです。お酒のことはお客さんが教えてくれるのでいつも勉強になっています」との回答。

「カッパ横丁」のお客さんは40~50代が多く、「子供のころに夢中になったアニメを話題に、お客さん同士がカウンターで盛り上がったら」という思いもあり、シャアと同じ名前の「彗」をメニューに入れたそうです。そして、「もっとガンダムの世界観を楽しんでもらいたい!」と、ザクと同じ名前の「作」も一緒に取り入れたところ、こちらも大好評となりました。

「カッパ横丁」の似顔絵サイコロ

「カッパ横丁」の日本酒は品揃えが豊富で、日本各地から珍しい日本酒も多く取り揃えています。そんななかで名前が印象的でわかりやすい「彗」と「作」は、日本酒初心者でも頼みやすいようで、今ではこの2つをセットで頼むお客さんが続出しています。

日本酒の飲み比べセットは、おちょこ1杯×2種類で700円(税別)、おちょこ1杯×3種類で1,000円(税別)です。

「彗」と「作」を飲んでみた感想は?

ママさんが「彗」と「作」を提供すると、お客さんの中から「おおっ」「今日は来てよかった!」という歓声があがりました。

「カッパ横丁」の飲み比べセット

「彗」と「作」を飲んだお客さんたちから、その味わいについて感想を聞いてみます。この日の入荷は「彗 BENNETT 中取り 純米大吟醸」「彗 DONATI 初汲み 純米吟醸」「作 玄乃智(げんのとも) 」の3種類です。

一杯目:「彗 BENNETT 中取り 純米大吟醸」

中取りはさっぱりしていてクセが少なく、日本酒が苦手な人が飲みやすいお酒という反応です。少し角が立っている味だと感じた人もいました。たしかに味わいは比較的強めな印象。やや酸味があり、コクも感じられます。

二杯目:「彗 DONATI 初汲み 純米吟醸」

続いて、初汲みをテイスティングしたところ、お客さんからは「中取りと比べて初汲みの方がまろやかで迫力があってクリア」という感想が聞こえました。きれいで飲みやすい一方で、輪郭のある味だと感じたようです。

口当たりが良くさらっとしているものの後味はしっかりと残ります。口の中で香りが楽しめるお酒でした。

三杯目:「作 玄乃智(げんのとも)」

「絶対うまい、うまい。間違いない」と、お客さんから絶大の信頼を寄せられている「作」は、ほのかな酸味を感じるさっぱりとした味わいです。

50代くらいのお客さんからは「俺みたいな年齢層が高めの人に人気のある味だろうね」とのコメントも。甘みが強めで、アルコールも感じづらいので、飲みすぎてしまわないように注意したいところです。

日本酒をもっと自由に選ぼう!

「彗(シャア」と「作(ザク)」を味わう

日本酒の選び方はいろいろとありますが、探してみると、意外とアニメやゲームなどに関連した日本酒が多いことに気づきます。共通の趣味の話を肴に、関連した日本酒を選んで飲んでみるのも楽しいかもしれませんね。

(取材・文:神崎なつめ/編集:SAKETIMES)

◎店舗概要

  • 店名:「カッパ横丁
  • 住所:埼玉県所沢市西所沢1-18-14メゾンソレイユ106
  • 電話番号:04-2923-2561
  • 営業時間:17:00〜22:30(L.O.) 土曜日のみランチタイム11:30〜14:00も営業
    ※新型コロナウイルス感染拡大のため異なる可能性があります
  • 定休日:月・日曜日

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