能登杜氏四天王の波瀬杜氏がけん引

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開運と言えば呑み飽きしない軽さと芳醇さを持ち合わせ、名前の縁起の良さで長らく人気を博しています。その発展に貢献したのは、能登杜氏四天王の1人と称され、昭和43年(1968年)から土井酒造場の杜氏を30年に亘って務めた故・波瀬正吉氏(1932年~2009年)です。

特に麹の造りに力を入れ、昭和50年代から波瀬杜氏の卓越した技術で開運の吟醸酒は高い評価を受けていました。昭和53年、開運大吟醸の仕込みタンクの醪から静岡県工業技術センターの河村伝兵衛氏が酵母を分離し、静岡酵母HD-1と名付けられました。

「プロトタイプ」で金賞受賞

この試験酵母で開運と満寿一が大吟醸を仕込み、全国新酒鑑評会でどちらも金賞を受賞しました。これから県内の各蔵も静岡酵母を使うようになります。波瀬杜氏の情熱と河村氏が分離した静岡酵母の融合が、静岡県が「吟醸王国」と呼ばれるきっかけとなったと言って過言ではありません。

純米大吟醸「波瀬正吉」は蔵元渾身の最高級酒ですが、杜氏の名を銘柄につけた初のお酒となっています。波瀬杜氏亡き後も技術と情熱は受け継がれ、良酒を醸しています。平成26酒造年度の静岡県新酒鑑評会で「吟醸の部」「純米吟醸の部」の2部門で県知事賞を受賞しました。

独特の果実香と切れの良さ

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この吟醸も山田錦を50%まで精白し、大吟醸と同じように長期低温醗酵で丁寧に醸しています。『飲みやすく、飲みあきせず、しかも手頃な価格で飲んで頂ける吟醸酒』を目指しました(株式会社土井酒造場HP引用)。開運の中ではドライな印象がありますが、瑞々しいパッションフルーツかバナナのような果実香を感じ、キリッとしたキレの良さが光ります。この独特の香りが静岡酵母の特徴なのでしょうか。冷やが基本ですが、意外にも熱燗でも美味しい。チェダーチーズのような酸味のあるものや、野菜のおひたしなどを合わせると良いかと思います。

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