山廃仕込み伝承の蔵

会津若松に居を構える末廣酒造は江戸時代後期の嘉永3年(1850年)創業です。このお酒には「伝承」の言葉があるように、「山廃」仕込みを日本で初めて開始した蔵と言われています

山廃を改めて説明すると「山卸廃止酛」の略語「山卸し」と呼ばれる、蒸米を半切桶ですり合わせる作業」を廃止し、最初から酒母の桶に仕込みます明治42年(1909年)、醸造試験所に勤める嘉儀金一郎氏が山卸しの作業をしなくても麹の酵素の力で米粒が溶ける山廃造りを考案しました。麹から溶けた酵素液を米の上からかけて糖化作用を促す「汲み掛け」作業が山廃の特徴と言われています。

嘉儀金一郎氏ともに確立した「嘉儀式」山廃

氏は大正時代初期に3年間、末廣嘉永蔵で試験醸造を行い、杜氏、蔵人とともに山廃仕込みを確立させました。以来、蔵元は100年余にわたり「嘉儀式」として山廃仕込みを伝承しています。山卸しを廃止したとて、自然界から乳酸菌を生成し、自然な環境の中で強い酵母を純粋培養する作業は変わらず、仕込み日数も生酛と同じで、大変な労働であることは変わりません。

同蔵は、うまい酒造りのために「天然の旨い仕込み水」「伝承される会津杜氏の匠」「仕込み水と同じ水が湧く大地に育つ酒米」『地酒3カ条』として自らに課していきます。明治年代に初めて県外から杜氏を招へいし、その技術を学んだ蔵人に引き継がれ、会津杜氏誕生につながりました。また酒米も現在100軒の地元契約農家とともに杜氏、蔵人も協力しての米作りに励んでいます。

やさしい甘味と酸味の晩酌酒

こだわりの「元祖山廃」会津産の五百万石を60%精米で醸されます。口に含むと山廃らしいコクと酸味を感じ、さらに甘味と複雑味が感じられます。柔らかくて落ち着いたホッとする味わい。ぬる燗にするとさらに米の旨み、酸味、ふくらみを感じられると思います。煮魚など濃いつまみに合わせやすく税込2200円台とリーズナブルですので、晩酌酒に最適です。

 

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