京都を代表する繁華街・河原町にある老舗百貨店「京都高島屋」が主催するイベント「京都タカシマヤ 日本酒祭」。
横浜や大阪の店舗でも行われていますが、京都高島屋での開催は今年で3回目。昨年の好評を受けて、今年は期間を1日延長して、6月18日(水)〜24日(火)の7日間にわたって開催されています。
毎年の恒例となった「日本酒祭」は、全国各地の銘酒を知るバイヤーが厳選した酒蔵の日本酒を楽しめるイベント。北は北海道から南は九州まで、2025年は約30蔵が出展しています。
会場には、出展酒蔵ごとの販売コーナーだけでなく、日替わりの限定希少酒を味わえるバーや、こちらも日替わりのゲスト酒蔵と交流できる立ち飲み店など、日本酒の魅力を飲んで体験することができる飲食コーナーも設けられています。
今回はSAKETIMES編集部が「日本酒祭」の初日に参加して、会場の様子をレポートします。
日本全国の約30蔵が京都に集結!
「日本酒祭」の会場となる京都高島屋は、阪急電鉄 京都本線の京都河原町から直結という好立地。京阪電鉄 京阪本線の祇園四条駅からも徒歩5分と好アクセスで、JR 京都駅からはバスで約15分です。
京都高島屋に到着して、7階の催会場へ。エレベーターの上昇とともに、期待が高まっていきます。
そして、会場に到着。まずは、広々とした販売コーナーを回ってみましょう。
販売コーナーに出展している酒蔵は、全国各地から厳選された合計30蔵。日本酒を中心に、梅酒や果実酒からクラフトジンまで、さまざまな酒類がラインナップされています。試飲することができる商品は酒蔵ごとに異なりますが、「どの商品も試飲できますよ」という酒蔵がほとんどでした。
実際に試飲をしてみて、編集部が気になった商品をピックアップしました。
今が旬の「夏酒」を楽しもう!
各酒蔵から、この季節の限定酒として「夏酒」が続々と発売されていますが、今回の「日本酒祭」でも、夏酒をおすすめしている酒蔵がたくさんありました。

土佐酒造(高知県)の「夏の生酒」シリーズ
高知県の土佐酒造は、3種類の夏酒をラインナップ。ペンギンとシロクマのかわいらしいラベルが目を引きますね。

神戸酒心館(兵庫県)の「福寿 純米原酒 夏のロック酒」
銘醸地として知られる兵庫県の灘五郷にある酒蔵・神戸酒心館は、オン・ザ・ロックで楽しめる純米原酒を提案しています。

三千櫻酒造(北海道)の「夏のにごり酒」
2020年に岐阜県から北海道へ移転した三千櫻酒造の「夏のにごり」も、ラベルが印象的な一本。夏の北海道を思わせるイラストで、見ているだけでも涼しい気分になりました。北海道の酒米「きたしずく」を使用した、シュワシュワの微発泡が特徴のにごり酒です。
京都高島屋に初登場の酒蔵も!
今年の「日本酒祭」では、以下の7蔵が、京都高島屋に初登場しました。
- 「東力士」島崎酒造(栃木県)
- 「萬歳楽」小堀酒造店(石川県)
- 「蓬莱泉」関谷醸造(愛知県)
- 「金亀」岡村本家(滋賀県)
- 「五神」五條酒造(奈良県)
- 「燦然」菊池酒造(岡山県)
- 「喜多屋」喜多屋(福岡県)
そのなかで、編集部のおすすめは、飲み比べが楽しめる酒蔵です。

関谷醸造(愛知県)の「蓬莱泉 純米吟醸 熟成生酒 和」と「蓬莱泉 純米吟醸 和」
最初に注目したのは、愛知県の関谷醸造。営業担当のスタッフのおすすめで、「蓬莱泉 純米吟醸 和」と「蓬莱泉 純米吟醸 熟成生酒 和」を飲み比べました。
この2本は同じお酒を1年熟成したものですが、「蓬莱泉 純米吟醸 和」は火入れしたものを、「蓬莱泉 純米吟醸 熟成生酒 和」は火入れをしない生のものを、0℃より低い氷温でそれぞれ熟成させています。
どちらも、ほどよい熟成感とともに、まろやかな旨味とやわらかな甘味を感じますが、生酒のほうは熟成を経てもフレッシュ感が残っています。同じ熟成酒の生タイプと火入れタイプの飲み比べは、貴重な機会でした。

島崎酒造(栃木県)の「東力士 特別純米酒 旨辛口」と「東力士 やわ口」
続いては、関東から唯一出展している栃木県の島崎酒造。洞窟で日本酒を熟成させるという、他の酒蔵にはない個性をもった酒蔵です。
編集部がおすすめされたのは、「ナチュラルフィニッシュ」というシリーズ。洞窟で貯蔵した熟成酒と、熟成していない新酒をブレンドしたシリーズで、ラインナップは「特別純米酒 旨辛口」と「やわ口」の2種類です。
ふたつに共通するのは、アルコール度数が少し低いゆえの飲みやすさと、熟成酒のニュアンスを帯びたまろやかな味わい。どちらもしっかりとした印象ですが、「特別純米酒 旨辛口」は果実感のある爽やかな香りが、「やわ口」はアルコール度数を下げた飲みやすさが、それぞれ強調されていると感じました。
さらに驚いた飲み比べは、滋賀県の岡本本家。精米歩合20〜100%の日本酒を、10%刻みで9種類、すべて試飲することができました。精米歩合の違いによる、日本酒の香りや味わいの幅広さを体感することができます。
編集部は、精米歩合20%の「長寿金亀 黒F20 生原酒」と、精米歩合90%の「長寿金亀 赤 玄米 生原酒」を試飲しました。
「長寿金亀 黒F20 生原酒」は、透明感のなかに穏やかでありながらもはっきりした米の旨味を感じる上品な味わい。対して「長寿金亀 赤 玄米 生原酒」は、クッキーを思わせる甘味のある穀物感と重厚な甘味を感じました。
酒蔵の新しい挑戦を、飲んで体験しよう!
各酒蔵のブースでは、安心感のある定番酒のほか、日本酒の可能性を追求したチャレンジングな商品も目立っていました。

遠州山中酒造(静岡県)の「葵天下 70%純米酒 だもんで」
2021年に事業承継によって新たな経営体制となった、静岡県の遠州山中酒造。
今年発売されたという新シリーズ「だもんで」は、静岡県オリジナルの酒米(令和誉富士)と酵母(静岡酵母)にこだわっています。純米酒と純米大吟醸酒の2種類がラインナップされ、ボトルにデザインされた金魚は静岡県の形を模したものだとか。
鳥取県の大谷酒造のブースでは、アルコール発酵とともに乳酸発酵をするという珍しい酵母「ラカンセア酵母」のシリーズに注目。商品ごとに、二十世紀梨やシャインマスカット、桜から採取したラカンセア酵母を使用しているのだとか。

八海醸造(新潟県)がBrooklyn Kura(ニューヨーク)とともに醸造した「CATSKILLS」と「GRAND PRAIRIE」
新潟県を代表する銘酒「八海山」の八海醸造のブースでは、ニューヨークの酒蔵・Brooklyn Kuraとコラボした商品を販売。どちらも、アメリカで栽培された酒米・山田錦を使用しています。
もちろん試飲も可能です。アメリカで造られた「SAKE」を実際に飲んで、日本酒の未来を感じてみてください。
おつまみとともに、日本酒の魅力を味わう!
「日本酒祭」の見所は、販売コーナーのみではありません。おつまみといっしょに日本酒を楽しめる、飲食コーナーにも行ってみましょう。
漫画家・ラズウェル細木さんが手がける「日本酒&寿司バー ラズウェル」
『酒のほそ道』をはじめ、酒をテーマにした数々の漫画を生み出してきた漫画家・ラズウェル細木さんが監修したのが「日本酒&寿司バー ラズウェル」。ラズウェルさんがおすすめする日本酒やおつまみを味わうことができます。

イベント開始直後に、日替わりの限定酒を求める行列ができていました。
こちらのバーでは、日替わりで希少な銘酒を提供。編集部が参加した初日は、以下の2種類が時間を分けて(10:30〜/14:00〜)販売されていました。
- 十四代 純米大吟醸 超極 中取り(50mL/1,650円/30杯限定)
- 寫楽 デスター サワヤンコラボ(50mL/5,500円/12杯限定)
当日10:30から提供された「十四代 純米大吟醸 超極 中取り」は、12:00ごろには完売したそうです。日替わりの限定酒を飲みたい場合は、余裕をもって入場したほうがいいかもしれません。

ラズウェルセット(1,650円)
編集部が注文したのは、アジのしめたたきと日本酒「町田酒造 MAX 大吟醸」(50mL)を楽しめる「ラズウェルセット」。アジの旨味と、ネギやみょうがの爽やかな風味が、町田酒造のクリアでキレのある味わいによく合いました。

漫画家・ラズウェル細木さん
開催期間中は、ラズウェル細木さんもふらっと遊びに来ることがあるそうで、運が良ければ、本人に会うことができるかもしれません。
店先に設置されたボードには、ラズウェル細木さんが来場するたびにライブペイントをするのだとか。最終日にどんなイラストが完成しているか楽しみですね。
また、6月19日(木)〜24日(火)の期間に「日本酒&寿司バー ラズウェル」で5,000円以上(税込)の飲食をすると、先着50名に、ラズウェル細木さんの直筆サインが入った『酒のほそ道』の57巻がプレゼントされるとのこと(レシートの提示が必要)。
日替わりのゲスト酒蔵と交流できる立ち飲み店「日本酒うさぎ」
大阪市内に3店舗を構える居酒屋「日本酒うさぎ」。2025年で18回目となる人気の日本酒イベント「愛酒でいと」を手がける有名店ですが、この「日本酒うさぎ」が、会場内に約12mのロングカウンターの立ち飲み店をオープンしています。
「日本酒うさぎ」が普段から提供している日本酒やおつまみに加えて、日替わりでゲスト酒蔵が登場し、酒蔵の方々との交流を楽しむことができます。

「日本酒うさぎ」の店主・原口起久代さんと向井酒造(京都府)の杜氏・向井久仁子さん
イベント初日のゲスト酒蔵は、「伊根満開」の向井酒造(京都府)。杜氏の向井久仁子さんと蔵人が在店し、お客さんといっしょに、日本酒トークに花を咲かせていました。

アテ盛りとゲスト酒蔵の飲み比べセット(2,200円)
編集部が注文したのは、特製の酒肴とゲスト酒蔵の日本酒(60mL×2杯)を楽しめる「アテ盛りとゲスト酒蔵の飲み比べセット」。アテ盛りの内容は、「日本酒うさぎ」の人気メニューから「たらこの粕漬」「チーズ豆腐」「鴨ロース燻製」の3種類。日本酒はゲスト酒蔵のラインナップから2種類を選ぶことができました。
シメは「続おそばに」のだしそばで!
日本酒を堪能した後のシメは、飲食コーナーのもう1店「続おそばに」にて。
今回は、きゅうり・なす・みょうが・大葉などを細かく刻んで合えた山形県の郷土料理・だしを蕎麦にのせた「だしそば」をいただきました。食べごたえのある太麺ですが、だしのおかげでさっぱりと爽やかに食べることができました。

だしそば(1,430円)
ちなみに、「日本酒うさぎ」や「続おそばに」には、イベント会場で販売されている各種おつまみの持ち込みが可能とのこと。
京都市内の人気酒販店「益や酒店」を運営する「益や」のブースでは、ちょい飲みやプレゼントに便利な一合缶(180mL)のほか、同社が手がけるおつまみの販売もありました。
イベント会場で楽しむのはもちろん、出張や旅行の方々は、帰りの車内で飲んだり食べたりする日本酒やおつまみを探してみるのもいいかもしれません。
SAKETIMES的「日本酒祭」の楽しみ方
最後に、実際にイベントを体験した編集部の視点で、おすすめの楽しみ方をまとめました。
日本酒以外のお酒も充実!
「日本酒祭」というイベント名のとおり、とにかく日本酒のラインナップが充実しているイベントですが、梅酒や果実酒をはじめとしたリキュールなど、日本酒以外のお酒を提供している酒蔵もたくさんありました。
編集部が特においしいと感じたのは、香川県の酒蔵・西野金陵の果実酒。レモン、ゆず、文旦を使用したリキュールが販売されていました。ゆずと文旦のリキュールは、果汁の割合が45%と高く、まるで搾り立てのジュースを飲んでいるかのような果実感でした。いずれもアルコール度数が低く飲みやすいので、飲み疲れた時の休憩として試してみるのもいいかもしれません。
酒蔵の方々と交流しよう!
「日本酒祭」では、日時によっては、蔵元や杜氏など、酒蔵の“中の人”が接客してくれるブースもあります。イチオシの商品や酒造りへのこだわりなど、他の来場者の迷惑にならない範囲で、いろいろと質問してみましょう。
酒蔵の方々と交流することで、日本酒がさらにおいしく感じられると思います。
「日本酒うさぎ」の酒肴を自宅で再現してみよう!
「日本酒祭」と連動した特別企画として、地下1階の食料品売り場にて、「日本酒うさぎ」が提供しているおつまみ(一部)のレシピが紹介されています。必要な食材のセールも開催しているそうで、自宅でも再現してみてはいかがでしょうか。
新しい出会いがある「日本酒祭」は、6/24(火) 午後5時まで!
平日にもかかわらず、初日から盛況の様子だった「日本酒祭」。今年も、昨年以上の盛り上がりが期待されます。
ラズウェル細木さんは、この「日本酒祭」の魅力を「さまざまな日本酒イベントがありますが、無料でふらっと出入りすることができる気軽さは、このイベントならではだと思います」と話してくれました。
各商品の試飲や酒蔵との交流、おつまみとのペアリングなどを通して、きっと新しい日本酒との出会いがある「日本酒祭」 は、6/24(火)まで毎日開催されています。ふらっと遊びに行ってみませんか。
◎イベント情報
- 名称:京都タカシマヤ 日本酒祭
- 会場:京都高島屋S.C.(百貨店)7階 催会場
(京都府京都市下京区四条通河原町西入真町52) - 開催期間:2025年6月18日(水)〜24日(火) 各日10:00〜20:00
※飲食コーナーは各日10:30〜19:30(L.O. 閉場30分前)
※最終日のみ17:00閉場 - 備考:表示価格はすべて税込です。
◎出展酒蔵・店舗
- 三千櫻酒造(北海道東川町)
- 大納川(秋田県横手市)
- 両関酒造(秋田県湯沢市)
- 紫波酒造店(岩手県紫波町)
- 楯の川酒造(山形県酒田市)
- 秀鳳酒造場(山形県山形市)
- 東北わくわくマルシェ(東北各県)
- 石本酒造(新潟県新潟市)
- 宮尾酒造(新潟県村上市)
- 吉乃川(新潟県長岡市)
- 八海醸造(新潟県南魚沼市)
- 島崎酒造(栃木県那須烏山市)
- 魚津酒造(富山県魚津市)
- 加越(石川県小松市)
- 小堀酒造店(石川県白山市)
- 遠州山中酒造(静岡県掛川市)
- 関谷醸造(愛知県設楽町)
- 石川酒造(三重県四日市市)
- 川島酒造(滋賀県高島市)
- 岡村本家(滋賀県豊郷町)
- 今西清兵衛商店(奈良県奈良市)
- 五條酒造(奈良県五條市)
- 稲田酒造(奈良県天理市)
- 北村酒造(奈良県吉野町)
- 澤田酒造(奈良県香芝市)
- 奈良豊澤酒造(奈良県奈良市)
- 神戸酒心館(兵庫県神戸市)
- 菊正宗酒造(兵庫県神戸市)
- 益や(京都府京都市)
- 大谷酒造(鳥取県琴浦町)
- 李白酒造(島根県松江市)
- 菊池酒造(岡山県倉敷市)
- 西野金陵(香川県琴平町)
- 土佐酒造(高知県土佐町)
- 喜多屋(福岡県八女市) など
◎飲み処「日本酒うさぎ」日替わりゲスト酒蔵
- 6月18日(水):「京の春」向井酒造(京都府伊根町)
- 6月19日(木):「金嶽」「倉本」倉本酒造(奈良県奈良市)
- 6月20日(金):「白老」澤田酒造(愛知県常滑市)
- 6月21日(土):「MIYOI」足立農醸(大阪府高槻市)
- 6月22日(日):「敷嶋」伊東(愛知県半田市)
- 6月23日(月):「竹泉」田治米(兵庫県朝来市)
◎飲み処「日本酒&寿司バー ラズウェル」日替わり日本酒
- 6月18日(水):
・10:30〜「十四代 純米大吟醸 超極 中取り」(50mL)1,650円/30杯限り
・14:00〜「寫楽 デスター サワヤンコラボ」(50mL)5,500円/12杯限り - 6月19日(木):
・10:30〜「田酒 純米大吟醸 斗瓶取り」(50mL)1,320円/30杯限り
・14:00〜「大嶺 二粒 純米大吟醸 愛山」(50mL)1,980円/12杯限り - 6月20日(金):
・10:30〜「鍋島 クロス」(50mL)1,100円/36杯限り
・14:00〜「蓬莱泉 純米大吟醸 空」(50mL)990円/12杯限り - 6月21日(土):
・10:30〜「黒龍 しずく」(50mL)1,210円/30杯限り
・14:00〜「梵 純米大吟醸 超吟」(50mL)3,300円/12杯限り - 6月22日(日):
・10:30〜「黒龍 二左衛門」(50mL)3,300円/24杯限り
・14:00〜「黒龍 石田屋」(50mL)3,300円/24杯限り - 6月23日(月):
・10:30〜「而今 純米大吟醸 白鶴錦」(50mL)990円/30杯限り
・14:00〜「磯自慢 純米大吟醸 ブルーボトル」(50mL)1,650円/12杯限り - 6月24日(火):
・10:30〜「新政 涅槃亀 十周年記念酒」(50mL)1,980円/12杯限り
・14:00〜「新政 No.6 X-type/新政 亜麻猫/新政 天鵞絨(ヴィリジアン)飲み比べセット」(50mL×3)2,750円/12セット限り・1人1セット限り
※6月24日(火) 14:00〜の日替わり日本酒については、当日13:00から、「日本酒&寿司バー ラズウェル」にて整理券を配布します。
(取材・執筆:SAKETIMES)
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