「たくさん飲めば、お酒に強くなれる」という噂を聞くことがありますが、これは間違いです。実際は、生まれ持った体質によって、お酒に強い人・弱い人、そして、まったく飲めない人が決まっています。
アルコールを摂取したときに発生するアセトアルデヒドは、体内のアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)によって分解されます。アセトアルデヒドは、顔が赤くなったり、頭痛や吐き気などの不快な症状が出たりする原因です。
このアルデヒド脱水素酵素の活性が弱いか、もしくは欠けていると、アセトアルデヒドが体内に蓄積しやすく、お酒に弱い体質になります。この酵素の活性は遺伝子によって異なります。日本人の約4割は、アルコールに弱い体質と言われています。
お酒をたくさん飲んだからといって、アルコールを分解する力が上がることはないので、お酒に弱い人は無理な飲酒は控えましょう。また、いっしょに飲んでいる人は、お酒に弱い人に無理に飲ませることは慎みましょう。
アルデヒド脱水素酵素の活性が強いか弱いか(=お酒に強いか弱いか)を調べるには、「アルコールパッチテスト」が有効です。
アルコールパッチテストとは?
「アルコールパッチテスト」は、アルコールを分解しやすい体質かどうかが、簡単にわかるテストです。
用意するもの/
- 消毒用アルコール(70%のエタノール)
- 絆創膏(ガーゼに薬剤がついていないもの)
パッチテストの手順/
- 絆創膏のガーゼ部分に消毒用アルコールを2~3滴たらす。
- 上腕の内側(皮膚の柔らかいところ)に貼り、7分待つ。
- 絆創膏をはがし、皮膚の色を観察する。
- さらに10分後に、皮膚の色を観察する。
3の段階(絆創膏を貼ってから7分後)で皮膚が赤くなっていたら、「お酒を飲めない体質」。4の段階(貼ってから17分後)で皮膚が赤くなっていたら、「お酒に弱い体質」。3・4の段階のどちらでも変化がなかったら、「お酒を普通に飲める体質」です。ただし、「お酒に強い」ということではありませんので、ご注意ください。
それでは、実際にパッチテストをやってみました。
絆創膏のガーゼの部分に、消毒用アルコールを2~3滴たらします。
そして、その絆創膏を上腕の内側(皮膚の柔らかいところ)に貼ります。
待つこと7分。絆創膏をはがしてみました。
まだ、何も変化がないようです。
さらに10分後(絆創膏を貼ってから17分後)。写真ではわかりにくいですが右側の写真を見ると、絆創膏を貼っていた部分が赤くなりました。これは「お酒に弱い体質」ということですね。
別の編集部スタッフにも、パッチテストを受けてもらいました。
これはパッチテストをする前です。
絆創膏を貼って、7分後の様子です。
さらに17分後の様子です。
何も変化がありません。これは「お酒を普通に飲める体質」ということですね。
アルデヒド脱水素酵素の強さは、遺伝のほかに、体重差や年齢差などによっても異なりますが、自分がアルコールを分解しやすい体質なのかを把握しておくことは大切です。気になる方は、一度パッチテストをしておきましょう。
お酒を飲める体質でも、油断は禁物
「お酒を飲める体質」だからといって、飲みすぎには要注意です。お酒を飲みすぎると、身体のさまざまな代謝の働きを司る肝臓に大きな負担をかけてしまいます。
厚生省が策定した「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(健康日本21)」によれば、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を「1日当たりの純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上」と定義しています。
純アルコール20gに相当する酒量は、日本酒でいうと、およそ1合(180ml)に当たります。健康的な酒量の目安を知っておくと、飲みすぎの予防になります。
また、空腹時は胃がからっぽのため、お酒を飲むとあっという間にアルコールが吸収され、悪酔いの原因になります。お酒を飲むときは、いっしょに食事を食べたり、飲んだ酒量と同量かそれ以上の水(和らぎ水)を飲んだりすると、身体に大きな負担をかけることなく楽しめます。
(文:SAKETIMES)