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「金賞受賞酒」ってどんな日本酒? ― 伝わりにくいプロの世界のはなし

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こんにちは!SAKETIMESライターとして記事を書かせていただきます、石井と申します。

実は私、現役の蔵元社長でありまして埼玉県幸手市というところの石井酒造8代目当主であります!
今回は現場での”あるある”とは少し違う、業界では通例だけど一般的にはよく知ってもらっていないことをお伝えしようと思います。

 

全国新酒鑑評会金賞受賞ってどういうこと?

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デパートや酒屋さんで桐箱に入っているような高級酒に「全国新酒鑑評会金賞受賞」とか大きく書かれていることを目にすることがあるかと思います。なかにはお酒のラベルに直接「金賞受賞酒」なんて書かれていることもあります。

一方でその横には「◯◯大賞受賞」とか「◯◯セレクション最高金賞」とか似たようなものが首飾りとして掛けてあるものもあると思います。
おそらく購入を検討されているお客様からしたら「何がなんの賞だかよくわからない」という方が多いかと思いますので、今日はその中でも一番よくある「全国新酒鑑評会」について書きたいと思います。

 

全国新酒鑑評会とは

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独立行政法人酒類総合研究所と日本酒造組合中央会の共催により実施される、全国規模で開催される唯一の清酒鑑評会のことを指します。明治 44 年(1911 年)の第1回開催以来、平成25年酒造年度まで102 回実施されており、業界では一番権威のある賞として位置付けられております。
審査員は「清酒の製造業、販売業又は酒造技術指導に従事している者、醸造に関する学識経験のある者、国税庁鑑定企画官職員、国税局 鑑定官室職員、酒類総合研究所職員 」とされ、要はかなり知識・経験豊富な公的な方々が厳正に審査をしていただいております。
もちろん、審査方法は全てブラインドで銘柄や産地など先入観を与えるような情報は一切なく、ガチンコで酒質を競い合います。

 

各蔵「大吟醸」で勝負!

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多くの蔵がこの鑑評会で結果を残すべく惜しみない努力と愛情を酒に込めております。とりわけ年が明けた時期からは本格的にこの鑑評会用の出品酒を仕込み始めるところが多いですから、正月が終わり次第、現場は多少ピリピリします。いわゆる「大吟仕込み」というやつです。
大吟醸は全ての工程を踏まえると通常の商品より約2倍の歳月がかかります。低温でじっくり長く発酵させるため「腐るか酒になるか」のギリギリを攻めて造るからです。

多くの蔵が酒米の王様である山田錦を半分以上削り(だいたい精米歩合40%くらい)、それぞれの蔵が持てる技量と情熱と愛、全てを注ぎ込むものが大吟醸なのです。

そんな大吟醸ですが皆さんお気づきでしょうか?そうなんです、純米大吟醸ではなく大吟醸で勝負するところがほとんどなのです。
醸造アルコールを添加することによって香りを閉じ込め、味に締まりがでてキレの良い酒になるのです。実際に金賞を取っている純米大吟醸は10%も無いですし、純米大吟醸のみ製造しているあの有名な蔵でさえ金賞は受賞しておりません。

こういったところでも「醸造アルコールは決して悪者ではない!」というところを蔵元としても訴えたいところです。(これについてはまた別の回でいろいろお伝えしたいと思います。)

 

飲んでおいしいものとは少し違う

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新酒鑑評会に出品されているお酒ですが、各蔵の最高峰ですからおいしいに違いない!と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、実は飲んでおいしいとは限らない場合があります。

もちろん「とても良い酒で、とてもおいしい」これは間違いありません!
ですが、実は出品酒に関しては鑑評会の傾向に合うように各蔵設計をします。特に数値などの指定や条件があるわけではありませんが、飲んでおいしいというよりも日本酒を技術的に高く造れているかというところを競っているので、ある程度傾向が見えてきます。

その傾向に則して造っているのでどこの蔵も一様に似たような酒質になりやすいです。(最近の傾向だと華やかな香りのするタイプが主流です。)
そのため、蔵の個性が出にくく、しかも香りが華やかなので最初の一杯としてはすっきりと飲めるのですが、長く飲んでいると香りが邪魔をして飲み飽きしてしまったり料理と相性が悪かったりしてしまうようなお酒になりがちです。

それよりも各蔵の個性の出た他のお酒の方が飲んでいるとおいしく感じることは多々あります。出品酒は嗜好品というより芸術品という視点のほうが大きいのかもしれませんね。

ちなみにラベルに記載できる「金賞受賞」という表記はこの賞以外記載することができません。他の様々なものと区別をつけるためです。しかし、首飾りにあるものに関しては規定がないので「◯◯大賞受賞」とか「◯◯セレクション最高金賞」というタグが付いていたりします。今度お酒コーナーを覗くときに注目してみると面白いかもしれませんので、ぜひご覧になってみてください!

 

ちなみに、弊社は昨年度(25BY)の新酒鑑評会で13年ぶりに入賞することができました!
今年は金賞めざして日々仕込みに取り組んでおります!完成した頃に完成レポートを書く予定ですのでお楽しみに。

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