「甘酒ってお酒なの?」「子どもが飲んでも大丈夫?」───スーパーで甘酒コーナーを見かけるなど、"甘酒ブーム"と言われる昨今、そんな疑問を耳にすることもあります。甘酒に2種類あることはご存じでしょうか。

  • 1)日本酒の製造過程で生じる「酒粕」でつくる酒粕甘酒
  • 2)お米と「米麹」でつくる「こうじ甘酒」

1は微量ながらアルコールが含まれています。酒粕そのものには甘味がないので、砂糖を加えることが多いです。

2は、麹菌の力でお米のでんぷんをブドウ糖に分解した自然な甘味が特徴。充分甘いので砂糖を加えずに飲めます。アルコールは含まれていません。ノンシュガー&ノンアルコールですから、お子さまや体調に不安がある方も、安心して召しあがれます。

さらに、甘酒にはビタミンB群、アミノ酸、食物繊維、ブドウ糖など、栄養成分がたっぷり。その高い栄養価から「飲む点滴」とも言われる甘酒ですが、実は、ご家庭の炊飯器を使って簡単に作れるのです。

用意するもの

  • お米(うるち米) 1合
  • 米麹(乾燥) 200グラム
  • 料理用の温度計
  • 炊飯器
  • 場合によってはザルまたは布巾やタオル

米麹には乾燥タイプと生タイプがあります。どちらでも甘酒が作れますが、米麹をまとめ買いするなら、保存可能期間の長い乾燥タイプがおすすめです。Amazonでも販売されています。(執筆現在)

米麹は日本酒造りにおいても欠かせない原料ですが、そもそもは、蒸米に麹菌を繁殖させたものです。麹菌が分泌する酵素・アミラーゼの働きにより、お米に含まれているでんぷんが糖化します。これが甘酒の甘味となります。また麹菌より発生する酵素・プロテアーゼが、お米のたんぱく質をアミノ酸に分解することで、旨味成分になるのです。

乾燥の米麹は、粉を吹いたような肌ざわりで、ぱらぱらと軽い質感です。イースト菌のような、ほんのりと酸味のある香りがしました。

甘酒の作り方

1)  お米1合で、おかゆを炊きます。

炊きたてのおかゆは、当然ながら熱々で、90度近くあります。

2) おかゆを70度以下に冷まします。炊飯器から内釜を取り出し、かき混ぜたり、水を加えたりしながら70度以下に調整します。麹菌により生成される酵素は、70度以上の温度では働きが鈍くなるので、ここでしっかり冷ますことが重要です。

しかし、冷まし過ぎても酵素が働かなくなってしまうため、50~60度台をキープしましょう。

3) おかゆが70度以下になったところで、ほぐしておいた米麹をおかゆに入れ、混ぜ合わせます。

このとき、全体に均一になるようにしっかり混ぜましょう。

4) 内釜を炊飯器に戻し、「保温」のスイッチをオン!50~60度を保てるよう、炊飯器の蓋は半開きにしておきます。もしくは、蓋を完全に開けてザルや布巾・タオルで覆ってもOKです。

保温モードに「低温」「高温」がある場合、「低温」モードであれば、蓋を閉めても50〜60度台をキープできる場合もあるようです。ただし、炊飯器の機種等にもよるので、ときどき温度計で確認してみてください。

5) 2時間おきにかき混ぜ、温度を確認します。

〜3時間経過〜

少し水分が増えてサラサラしてきた様子。酸味のある香りとともに、甘酒独特の香りも漂い始めました。

〜6時間経過〜

見た目はしっかり「甘酒」になりました。

香りはおだやか。まろやかな甘みと旨味が口に広がり、とろりとした喉越しで、ゆっくり胃に落ちていくのがわかります。ほんの少しパパイヤのような爽やかさも感じられ、後味はさっぱりしています。

粗熱がとれたら、容器に移し替えて冷蔵庫で保存しましょう。

どろどろの液状になっていますが、お米のつぶつぶは残っています。このつぶつぶ感は、好みが分かれるところですね。つぶの舌ざわりを楽しむのもよいですし、気になる方はミキサーにかけるのがおすすめ。

ミキサーにかけてボトルに入れておくと、つぶつぶが残ることもなく手軽に飲めます。

甘酒には、ほどよい飲みごたえがあるので、朝食や小腹が空いた時の栄養補給にもぴったりです。冷蔵庫で保存して、1週間ほどで飲みきってくださいね。

豆乳割りなどアレンジいろいろ

ヘルシーで栄養満点の甘酒は、ストレートで飲むのはもちろん、豆乳や牛乳で割るのもおすすめです。

また、発酵食品同士、ヨーグルトと混ぜ合わせるのも相性が良いのだとか。ほかにも生姜汁を入れたり、ココアを入れたりと、さまざまな飲み方で楽しめます。せっかくの自家製甘酒ですから、自己流にアレンジして、オリジナル甘酒を考案するのもいいですね。

米麹のパワーを身近に

甘酒作りは、時間こそかかるものの、むずかしいテクニックはまったく必要ありません。おかゆに米麹を混ぜたら、あとは温度管理をしながらほっておくだけ。手軽にできる甘酒をぜひご家庭で作ってみてはいかがでしょうか。家族の健康をサポートする上、日本酒造りに欠かせない米麹のパワーを身近に感じることができるので、さらに日本酒が美味しく呑めるようになりますよ!

(文/佐野伸恵)

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