こんにちは、SAKETIMESライターの鈴木 将之です。今回は10月4日に参加した日本酒イベントのレポートです。

浅草橋の老舗蕎麦屋「江戸蕎麦手打處 あさだ」にて、日本酒イベントが行われました!
参加者はおよそ20人。
「玄葉本店」社長兼杜氏の玄葉祐次郎さんからお酒の説明をお聞きしながら、
江戸から続く蕎麦屋の蕎麦前と一緒にいただくという趣向です。

 

【玄葉本店の紹介】

1823年(江戸年間 文政6年)創業。
年間200〜300石(1800mlの一升瓶で換算して20,000〜30,000本)前後の小規模な蔵です。
製品出荷先の大部分が地元田村市となっております。
平成17年秋より杜氏制度を廃止し、経営者が自ら製造責任者となり地元の人間だけで仕込む体制をとりました。小規模さを生かし、手間を惜しまずに丁寧に仕込むことで、毎年酒質のレベルを上げていくことが目標です。

日本酒の銘柄は「あぶくま」です。
福島県田村市船引町船引字北町通41
0247-82-0030
(出典:郡山酒造共同組合HPより)

 

【イベントレポート】

今回のイベントで飲んだお酒は8種類すべて「あぶくま」銘柄です。
料理と合わせて紹介します。

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まずは「大吟醸原酒 金賞タンク袋吊り」
全国新酒鑑評会で金賞を受賞した出品酒と同じタンクの袋吊りのお酒です。
上品さと柔らかな透明感が素晴らしい逸品。
こちらは料理と合わせるのではなく、お酒だけでいただきたいですね。
このお酒で華やかにスタートしました。

そしてすぐさま「大吟醸原酒 金賞タンク槽搾り」。
同じスペックですが、搾り方が異なる飲み比べです。
こちらは穏やかな香りと旨味のバランスが素晴らしい。
槽搾りだけあって、袋吊りよりも味わいがあります。
個人的にはこちらのほうが好みでした。

開幕の料理は焼き物4種、いくらの醤油漬け、おひたし。
いくらと大吟醸は杯が進みますね。
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続いて純米吟醸の飲み比べ。
「純米吟醸 無濾過生詰(山田錦)」「純米吟醸 無濾過生詰(雄町)」
酒米の違いを楽しみました。

山田錦は、穏やかな香りですが、透明感があります。
白身の魚をいただきたくなります。
雄町は山田錦に比べ、荒さ、パワーがありますが、それでも食事を邪魔しない
品の良さを感じます。
こちらは赤身の魚や中トロなどの濃い目の刺身がよさそうですね。

と思っていたところで、お刺身盛りが登場。
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私が座っていたテーブルは大酒飲みが多く、他のテーブルに比べて圧倒的にお酒が無くなるスピードが早かったため、玄葉社長がたびたび注いでくださいました。お酒を造られた杜氏から直接注いでいただけると、より美味しく感じます。これもこういった日本酒会の醍醐味ですね。

次のお酒は「純米吟醸原酒ひやおろし」
一夏超えた、ひやおろしの登場です。
今までのお酒と比べ、少し酸味が出てきました。
ふうわりした感じが少なくなった代わりに、あっさりとした旨味が加わりキレがアップしています。

そして「特選純米」
精米歩合は麹米50% 掛米60%なので吟醸を名乗ってもよいのですが、なるたけ価格を押さえて飲んでもらいたいということで、「特選純米」としているそうです。ありがたい心遣い!
穏やかな香りで、シャープな口当たり、最後に苦味で締めてくれます。
とてもバランスのよいお酒で、本日飲ませていただいたお酒の中では個人的にもっとも好みでした。

ここでのお料理は、蕎麦のカラスミ和えとナスの煮びたし。

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あさだのカラスミは自家製で、酒のアテには最高ですね。
なにも飲まずにいると舌にカラスミの濃い味が残りますが、特選純米のキレのある旨味で溶かされ、非常に合います。
舌を変えたいなと思ったところで、煮びたしとひやおろしをいただきました。
煮びたしのダシにひやおろしの酸味が調和し、ダシの旨味が何倍にも膨れます。
この繰り返しで何杯いただいたかわかりません。

最後に地元向けのお酒を2本いただきました。
「純米」福島の酒米「夢の香」地元の一般米チヨニシキで造られた福島県内の酒販店限定のお酒です。
ほんのりと甘みを感じ、ゆっくりとふくらんできまして、奥のほうで米の味を感じます。
「本醸造 生原酒」も夢の香とチヨニシキで造られています。熟成酒ですので、旨味もたっぷり。
2014/10/4時点ではまだ販売されておらず、貴重なお酒をいただきました。

ここでの料理は、鴨ロースときのことキスの天ぷら。
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ご飯が欲しくなる料理に、しっかりとした日本酒を合わせるといくらでも飲めてしまいますね。
締めにあさだ自慢の新そばをいただき、フルコースを堪能しました。

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料理が終わったあとは、好きなあぶくま飲み放題に!
レアな金賞酒や気に入った特選純米などなど、たっぷりいただきました。
最後にあさだの店主・粕谷さんと玄葉社長、参加者のみなさんでの写真撮影を行いお開きに。

今回は参加者がお酒と料理を楽しんでいる間、玄葉社長がお酒や蔵の説明をたびたびしてくださいました。
こちらは次回の記事で詳しくお伝えします。

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【まとめ】

ひと通り「あぶくま」をいただいたなかでの共通点は、以下ではないでしょうか。

・吟醸酒でも香りは抑えめ
・じっくりと沁みる優しさ、上品さ
・いかに食中酒として食事を邪魔せず、引き出せるかを意識

同じ銘柄でも幾通りもの違いが味わえ、その造り方や情熱、苦労をお聞きできることが酒蔵社長を囲んでの日本酒会の醍醐味ですね。
ぜひ、みなさんも参加してみてはいかがでしょうか。
日本酒の世界が広がりますよ!

以上、「あぶくま」の日本酒会レポート(前編)でした!
後編では、玄葉社長へのインタビューをお送りします。

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【お店の紹介】

当時、中野で穀物商を営んでいた 初代・浅田甚右衛門がこの地に手打蕎麦屋を開いて150余年。
江戸前の伝統技術と心意気を受け継ぎ続けて八代目になります。

蕎麦屋は江戸の昔より、吟味された酒肴や上酒を手軽に味わえる料理屋として、江戸の粋人達から重宝されてきました。
蕎麦を待つ間に、蕎麦屋ならではの料理に舌鼓を打つ。蕎麦好き・酒好きから「そば前」と呼ばれる粋なひとときがあります。
技術の継承のみならず、江戸の食文化を大切に伝えたいと考えている「江戸蕎麦手打處 あさだ」では、江戸の風流人が愛してきた「そば前」の粋なひとときを皆様に楽しんで頂きたく、料理の一品一品・酒選びにも蕎麦打ち同様の情熱を持って取り組んでおります。

あさだならではの滋味あふれる料理利き酒師の店主が選んだ通垂涎(すいぜん)の銘酒の数々自慢の十割蕎麦で、今宵は一献かたむけて下さい。

sake_g_abukuma1_9 江戸蕎麦手打處 あさだ
〒111-0053 東京都台東区浅草橋2-29-11
03-3851-5412
http://www.asada-soba.co.jp/