1月27日(金)・28日(土)にJR有楽町駅前の東京交通会館で「日本酒フェス2017」が開催されました。このイベントは、日本各地の日本酒を知ってもらい、盛り上げたいという趣旨で開催されたもの。
31の酒蔵が参加し、100銘柄以上の日本酒の飲み比べをすることができました。日本酒好きにとって、これほどたくさんの酒蔵が集まるイベントは、とても貴重でうれしい機会です。イベントでは様々なお酒を味わえるほか、日本酒や酒造りについて疑問に思っていた点を直接たずねることもできます。
来場者は2日間で3,283人。有楽町という土地柄のためか、スーツ姿でグループ参加している方も多く見かけられました。
個性的な酒蔵が醸す、さまざまな美酒たち
今回参加されていた酒蔵のなかから、いくつかピックアップしてご紹介します。
本田商店(兵庫県)
「龍力 純米酒 ドラゴン Episode3」は「もっと日本酒を身近に感じてもらいたい」という想いを込めて造られたお酒。飲んだ次の日に銘柄を覚えていなくても、ラベルだけは覚えていられるようにと考えられたインパクトのあるデザインです。
四季を通じて楽しんで飲んでもらえるよう、華やかな香りと米の旨みを表現したラベルの配色になっています。
盛田(愛知県)
1665年に創業し約350年続いている盛田では、昔ながらの味わいを大切にした酒造りを続けています。その中で特におすすめされたのは純米酒の燗酒。サバの味噌煮やどて煮など名古屋の味噌を使った料理にも合う、芳醇旨口の味わいを楽しむことができます。
丸本酒造(岡山県)
「古酒をブレンドする『竹林 ふかまり』は、まるで焼き鳥屋のタレのように旨味を受け継いでいくようなお酒です。ブレンドに使うお酒は、一番古いもので25年間熟成させたものです。この25年物は、3~5%ほどブレンドするだけでお酒全体の味を切り替える力を持っているんです」と語る蔵元の丸本さん。
古酒は備前焼で4~10年間熟成させることで老香(ひねか)が変化するのだそうです。どの焼き物でも良いというものではなく、焼き物に使われている土で味が変わり、同じ備前焼でも人間国宝の方のつくる焼き物が良い味わいになるのだとか。
渡辺酒造店(岐阜県)
日本酒の味は米によって変わることをを伝えたい、という理由から「W」は酵母・無濾過生原酒・精米歩合を統一して造っているシリーズで、米による味わいの違いを飲み比べすることができます。
銘柄名の「W」は渡辺酒造店(Watanabe)・世界(World)・笑い(Warai)の3つの意味があり、その頭文字をとって命名されました。
阿櫻酒造(秋田県)
「阿櫻 特別純米 無濾過生原酒 中取り 限定酒」は“阿櫻テロワール”と銘打ち、同じ地域の水と米を使った酒造りに挑戦している1本です。酒米は、酒母を担当している蔵人の久米さんが作っている「秋田酒こまち」です。
また、お酒の売り上げの一部は、阿櫻酒造と同グループである糸魚川火災で被災した加賀の井酒造へ義援金として寄付されています。
日本酒イベントではたくさんのお酒を味わえるだけでなく、日頃疑問に思っていたことを蔵元に直接質問できたり、逆に蔵元からさまざまな話を聞く機会でもあります。まだイベントに参加したことがない方も、ぜひ一度身近な日本酒イベントに足を運んでみてくださいね。
「日本酒フェス2017」参加酒造と代表銘柄
- 月の輪酒造店(月の輪)
- 阿櫻酒造(阿櫻)
- 一ノ蔵(一ノ蔵)
- 楯の川酒造(楯野川)
- 天鷹酒造(天鷹)
- 宇都宮酒造(四季桜)
- 須藤本家(郷乃響)
- 木内酒造(菊盛)
- 泉橋酒造(いずみ橋)
- 白瀧酒造(上善如水)
- 越の華酒造(カワセミの旅)
- 銀盤酒造(銀盤)
- 菊姫(菊姫)
- 三和酒造(臥龍梅)
- 初亀醸造(初亀)
- 富士高砂酒造(高砂)
- 三千盛(三千盛)
- 天領酒造(天領)
- 渡辺酒造店(W)
- 岩村醸造(女城主)
- 盛田(ねのひ)
- 吉村秀雄商店(車坂)
- 木下酒造(玉川)
- 宝酒造(松竹梅)
- 剣菱酒造(剣菱)
- 本田商店(龍力)
- 梅乃宿酒造(梅乃宿)
- 丸本酒造(竹林)
- 篠崎(比良松)
- 東鶴酒造(東鶴)
- 矢野酒造(備前蔵心)
(文/三浦環)