日本酒に合わせたい食材として、最近注目を集めているチーズ。日本酒とのマリアージュを楽しむイベントも増えてきましたが、本格的なチーズと日本酒を日常的に楽しめる場所はまだ多くありません。今回は、日本酒とチーズをいつでも楽しめる場所、渋谷のチーズバル「Fromage倶楽部」をご紹介します。
JR渋谷駅から徒歩8分、看板牛が目印の小さなバル
JR渋谷駅ハチ公口から道玄坂を上る途中、多くの人で賑わう通りに「Fromage倶楽部」はあります。目印は看板牛のシャルロット花子ちゃん。
落ち着いた色合いの店内は、カウンター6席に2人がけのテーブルが3つ。お客さん同士の肩が触れ合うほどの小さなお店ですが、まるでヨーロッパの老舗バルで飲んでいるような気分にさせてくれます。
さまざまなチーズとの出会いを楽しめる場所
チーズの種類は、常時30種類以上。ナチュラルチーズとお酒のマリアージュを楽しめるバルとして開店当初から注目され、今でも連日お客さんが絶えません。その大半はチーズとワインの組み合わせを楽しんでいるようです。
ですが、「Fromage倶楽部」は、チーズに合うあらゆるジャンルのお酒を揃えたお店。ワインと同じように日本酒とチーズの組み合わせを楽しむお客さんもいらっしゃいます。
チーズにぴったりな日本酒を厳選
「チーズに最も合う日本酒を!」と、店主が自信を持ってオススメする銘柄は、開店当初からほとんど変わりません。取材時のラインアップは以下の5銘柄。
- 「天寿 なでしこ 純米」(秋田県)
- 「ひめぜん」(宮城県)
- 「菊姫」(石川県)
- 「まつもと 純米」(京都府)
- 「屋守 純米」(東京都)
辛口・甘口などの違いはそれぞれあるものの、共通しているのはチーズの風味を活かしつつも、お酒そのものもしっかりと味わえる点。ワイングラスによって華やかな吟醸香を感じながら、お酒の味に筋が通っているので、日本酒の風味も十分に味わえます。ワイングラスでの提供とあって、白ワインに近い旨味控えめで酸味と甘みが際立った品揃えとなっています。
オーダーした日本酒のボトルをチーズの箱に置いてくれるという、チーズ専門店らしいユニークな演出もありました。
検証:日本酒にあわせたいチーズはどれ?
日本酒に合うチーズをスタッフにお聞きすると、奇をてらわないけど味わい深く、間違いない風味のチーズのそろい踏みとなりました。これらのチーズはいずれも、お店で提供している日本酒の優しい香りが、チーズの香りの上にふわりと乗り、その後口に残るクリーミーなテクスチャと味わいを十分に感じられます。
「ひめぜん」には、青カビ系「フルムダンベール」(フランス牛乳製)
青カビ系チーズの中では塩気が比較的優しく、熟成の風味と口どけの優しさを味わえるタイプ。日本酒度が極端に低く甘口と言われている「ひめぜん」は、ブルーチーズの尖った刺激と独特の匂いをうまく和らげてくれます。
「天寿なでしこ」には、フレッシュ系「十勝山羊のチーズ」(日本山羊乳製)
日本酒度が高く辛口の「天寿なでしこ」は、優しい口どけとほんのり味わえる甘みが特徴の山羊のミルクから作ったシェーブルチーズを合わせました。シェーブルチーズと酸味が協調し、チーズの優しい口溶けにお米の甘さを乗せたマリアージュを演出してくれます。
「菊姫」には、白カビ系「ブリアサヴァラン アフィネ ア・ラ・トリュフ」(フランス牛乳製)
白カビチーズでトリュフの風味まで兼ね備えたブリアサヴァランは、どの日本酒とも香りとテクスチャが協調し合い、旨味が膨らんでまとまりのよい味わいを演出する上に、ふくよかなクリーミーさも同時に体験させてくれます。山廃造りなうえ、熟成して味の濃い「菊姫」も、その濃さをついつい忘れて、お酒が進んでしまいました。
チーズ以外のフードメニューも充実!
チーズと日本酒のマリアージュを楽しんだ後は、料理も一緒に味わいましょう。なかでも日替わりで提供されるオススメメニューは要チェックです。
こちらのお店では、チーズ1種とドライフルーツのセットを680円、チーズ1種を追加ごとに300円というお手頃価格でいただけます。チーズに詳しくなくても、日本酒に合ったオススメのチーズをスタッフが選んでくれますから、安心してを楽しめます。
同じ発酵食品同士のチーズと日本酒のマリアージュ、ぜひ体験してみてください。
(文/山本清子)
◎店舗情報
- 店名:「Fromage(フロマージュ)倶楽部」
- 住所:東京都渋谷区道玄坂2-10-1
- 電話:03-3464-2030
- 営業時間:[火~土] 18:00~翌5:00 [日祝] 18:00~24:00
- 定休日:月