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【厳選】あこがれのうつわと恋におちる。 −−特別な気分になれるお猪口・ぐい呑特集

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台北在住の謝ひかりです。
「どラブ日本酒」な視点で、台湾文化やあれこれをご紹介しています。

日本酒の登場回数が圧倒的にふえる年末年始。
それを注ぐ酒器にも、ついつい目がうばわれることのおおいシーズンです。

前々回の記事「我が家のうつわ自慢」にひきつづき、今回は「あこがれのうつわと恋におちる。」と題して、いま大注目の酒器をご紹介いたします。
もてなすもよし、ひとりむきあうもよし。
特別なひとときを運んでくれる、いつかは手にいれたい、うつわ達です。

 

スナフジタと恋におちる。

sake_g_guinomi2_5(スイカ割り高杯)

想像してごらん?
プールでご褒美のさかなに口をのばす愛らしいイルカたちの、ぐい呑み。
夏休みの絵日記にえがいたスイカ割りの、高杯。

想像してごらん?
ヨッチャン・イカとかフーセンガムに野球カードが並んだ映画「三丁目の夕日」で吉岡秀隆が店番していたみたいな駄菓子屋模様の、ぐい呑み。

ここにあるのは懐かしくやさしい日々。
こどもと、どうぶつたちのパラダイス。
そしてタナゴコロ大の宇宙。

大げさと思うなかれ。
スナフジタのうつわの凄さは実物にあり。
象嵌(ぞうがん)や絵付のとっても高度な技術がささえる唯一無二のホンワカ・ワールド。展示会でホンモノをみたらアレもコレも欲しくなって物欲の鬼と化すこと、まちがいなし。
日本がモノであふれている昨今、ほんとうに欲しいモノにあまり出会えなくて・・・というかた。
スナフジタの作品を、その目で一度ご覧になってください。

sake_g_guinomi2_6(赤絵草紋ぐい呑)

sake_g_guinomi2_7(駄菓子屋さんぐい呑)

「スナフジタ」(旧・フジタチサト)は陶芸作家の山野千里と藤田匠平によるうつわユニット。
展覧会情報などはこちら↓
https://www.facebook.com/sunafujita.shohei.chisato

骨董屋で恋におちる。

sake_g_guinomi2_3(左)古伊万里松紋様猪口・江戸時代後期
(中)古伊万里線紋様猪口・江戸時代中期
(右)瀬戸よろけ縞猪口・江戸時代後期

100年以上のときを経て、「道具」はようやく「骨董」とよばれるようになります。

誰かが大事にしてきたモノを受け継ぎ、つぎの誰かにわたしていく。うち捨てられてきたモノのなかに価値をつくる。
骨董を愛でることは、モノのうつくしさの歴史にじぶんが積極的にかかわっていく創造的な作業。
百貨店にならぶハイ・ブランド食器の開放的かつ受け身なグラビア的美と反対に、骨董のうつわたちは自分だけにこっそり魅力を教えてくれているような、ひみつをわかち合える共犯者のような存在。

写真の猪口三点は、美術家・村上隆氏がプロデュースする東京・中野の「HidariJingaro(ヒダリジンガロ)」にて京都の骨董商「大吉」さんの企画展・展示即売会「未了會」に出品されたもの。無類のお酒好きでもある大吉・杉本理さんの酒器への目利きはさすが!というほかありません。

よろり、ふにゃり。
たよりなくトボけた絵付けといい、みごたえのある時代のつきかたといい、好き者のツボを突きまくって来る品ぞろえ。

sake_g_guinomi2_4(古唐津筒盃)

京都に行かれた際は、ぜひ足を運んでみてください。

(お店データ)
大吉
営業時間:11:00〜18:30 (喫茶12:00〜17:00)
定休日:月曜
住所:京都市中京区寺町通二条下る妙満寺前町452

 

台湾発のアルチザン作品と恋におちる

sake_g_guinomi2_1吳竟銍  Wu Ching-Chih 《雨水的痕跡》

2014年東京国立博物館にやってきた台湾・国立故宮博物院の秘宝たち。その中でも注目をあつめたのは、故宮のスーパースター的存在「翡翠白菜」と「東坡肉玉」。その東坡肉というネーミングの元になった中国宋代の詩人・蘇東坡の詩には、お酒にまつわる作品が数多くあります。

飮湖上初晴後雨
水光瀲艶晴方好
山色空濛雨亦奇。

(晴れの西湖上で酒盛りをしていたら、やがて雨が降ってきた。
晴れなら湖のさざなみたつ水面が輝きすばらしい。
濛々と霧が山をつつんだ雨の景色、これもまた趣があっておもしろい。)

2014年の伊丹国際クラフト展で栄えある大賞を受賞した台湾の金工ジュエリー作家・吳竟銍氏の作品The Trace of Rainwater《雨水的痕跡》」を目にしておもわず、蘇東坡の詩のそんな一節を思いだしました。

酒造りで栄え清酒発祥の地との説もある伊丹市の主催で、17回目を迎えた伊丹国際クラフト展2014年のテーマは「酒器」
世界中から1500点あまりの作品が集まったなかから選ばれた、台湾発「日本酒のためのうつわ」のデザインの自由さは、日本の審査員を驚嘆させたといいます。

台湾のこどもは小さいときから唐詩や漢詩をそらんじられるほど勉強させられますが、そんな中華文化を背骨に感じさせる優美さとロンドン留学の経歴も頷ける国際的なバランス感。

口あたりはひんやりしているのかな?
どんな日本酒を注ごうかな?
これで呑む「ひととき」の想像を猛烈にかきたてる作品です。

吳竟銍氏のHPはこちら↓
http://wuchingchih.com/

以上、自分だけのとびっきりと出会う、ご参考になれば幸いです。

 

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栖来 ひかり

道草者。愛日本酒のライター、エッセイスト。山口県出身、京都暮らし10年、2006年より台湾在住。お気に入りの日本酒は、出身地である山口県の「長陽福娘」。著書に、台湾の地形歴史散歩本『台湾、Y字路さがし。』(台湾・玉山社/2017)がある。