すべてのお酒を大吟醸と同じ手造りで
JR富山駅から約3キロ離れた呉羽山麓にある富美菊酒造は、1915年(大正5年)に創業しました。創業時から続く銘柄「富美菊」は、富山の菊のように美しいお酒を醸すという意味が込められています。
最盛期は普通酒やパック酒など地元消費で6000石の生産を誇っていました。しかし羽根敬喜氏が蔵に戻り、当時のベテラン杜氏を説得し、自ら杜氏として酒造りを行うようになってからは、すべてのお酒において手間暇かけた大吟醸と同じ造りを行っています。
酒質が最良と言われる「中汲み」のみを使用した羽根屋ブランド
羽根屋は、全国展開する銘柄として2004年に誕生しました。当初はわずか100石でした。
造りは地元向けブランド「富美菊」と同じですが、羽根屋は搾りにこだわっています。搾りの工程で、タンクから出始める前半のお酒を荒走り、中間を中汲み(中取り)、後半を責めと言いますが、羽根屋は「酒質が安定し最良」と言われる中汲みのみを瓶詰めしています。
敬喜氏の奥様・千鶴子さんが営業部長として、全国に羽根屋の名を広めるべく活躍しています。ボトルラベルも千鶴子さんがデザインしているようです。
おだやかな柑橘系の香りが印象的
この「羽根屋 純米大吟醸 翼」は、2014年に試験醸造を行い、2015年から製品化され新しい銘柄です。
表ラベルには羽毛が舞うデザインが、はかなさとお洒落さを感じさせます。富山県産の五百万石を50%まで磨いた生酒です。裏ラベルには「大空に羽ばたく翼の羽音の如く優しく軽やかに凛として広がる瑞々しい味わい。そこはかとなく薫る甘い香りは虜になる罠」と記されています。まさにその言葉のとおり、派手すぎない林檎や苺のような果実香を感じ、口に含むと軽快感あふれ滑らかでフルーティーな味わいと含み香、米由来の心地よい甘味と酸味が上品に広がります。後口もスッキリと切れていきます。
富山県名産の寒ブリやホタルイカなどの海鮮系、さらに洋食などにも合わせることができる万能な食中大吟醸酒と言えるでしょう。同銘柄は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2015・2016」で金賞、「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2016」の純米大吟醸の部で金メダルを受賞しています。
日本酒の魅力を、すべての人へ – SAKETIMES