淡麗辛口・新潟酒の代表的存在

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「農作業に励む亀田の人々に喜んでもらえる酒を造る」をモットーに、明治40年、石本龍三氏が創業したのが石本酒造です。昭和後期の地酒ブーム時には「幻の酒」と化し、淡麗辛口ブームを引っ張り、今もその威光は健在です。

越乃寒梅といえば、新潟の淡麗辛口の代表酒といえるでしょう。新潟酒といえば、二回火入れ殺菌処理(搾った酒を加熱することで、味を劣化させる火落菌を殺菌、酵素の働きを止める)と炭素濾過を行って製品化する印象です。火入れと炭素濾過をしっかり行うことで、厳しい環境に置いても劣化せず、味わいが一定なお酒を消費者に提供することを矜持としているのかもしれません。

45年ぶりの新商品も新潟酒の王道貫く

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この「灑」は、石本酒造の通年商品としてはなんと45年ぶりの新商品です。王冠も、一輪の梅花と雪の結晶を表した「六花」の新デザインにし、水色のラベルも越乃寒梅のふるさと亀田郷の阿賀野川と信濃川の流れを表現している凝りようです。

酒米は五百万石と山田錦を55%まで磨き、しっかりと火入れ、炭素濾過を行っています。「灑(さい)」とは「水を注いで洗い清める」「さっぱりとしたさま」などの意味を持つ言葉です。その言葉通り、ごく穏やかな吟醸香。口に含むと控えめな米のうまみ、甘味を感じます。まさに新潟酒らしい味わい。やわらかく、スッキリとした後口で後味もスッと切れていきます。これまでの越乃寒梅の純米系統のお酒よりさらにライトで控えめな、まさに呑み飽きない味わいです。とはいえ、かつてよく言われた「水のような淡麗」ではなく、米の旨みもきちんと出ています。

冷やしても燗でも最高の食中酒

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日本酒初心者から左党まで受け入れられるお酒だと感じます。良質な食中酒で、海鮮系、白身のお刺身、焼き魚、野菜のおひたしなどの定番料理はもちろん、「めふん」や「うるか」「粒ウニ」などの珍味とも好相性でしょう。

蔵元は冷や、冷酒を推奨していますが、お燗にするとシャープさや眠っていた酸も出てきて、これまた酒肴と合わせると最高です。華やかな吟醸香や濃醇旨口、ワインフレーバー、無濾過生酒という現代のトレンドとは一線を画した、新潟酒の王道を貫いた新商品。さすがというしかありません。北国や雪国の昔ながらの呑み助には特に大受けする一品でしょう。

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